外国の大学での集中講義に呼ばれる欧州の先生たち

私はアカデミックな人間ではなく、ビジネス領域に軸足をおく人間ですが、大学人とのお付き合いも多いです。ミラノではミラノ工科大学のデザインや経営学の先生たちとの交流が多いです。そこでよく感じるのは、彼らの海外出張の多さです。 

「来週はじめ、会えますか?」と聞くと、「ああ、ごめん。その日はフィンランドなんだ」とか「中国だよ」という答えをもらうことが頻繁にあります。その理由も、大学の先生の得意技である「学会出席」「研究会出席」だけでなく、「先方の大学から集中講義を依頼されて」というのが多いのですね。もちろん、一般聴衆向けの講演もありますが、圧倒的に多いと思うのは講義です。サマースクールのような特別な期間のイベントだけではなく、です。

私はこの世界の人間ではないので、全くの印象です。

これが平均的な「動き方」かどうかは全然分かりませんが、少なくても日本の大学の先生たちよりも外国の大学で講義をするために呼ばれるのが多い、という気がします。授業のシステムの違いなどいくつかの要因はあるからもしれませんが、気になる差異です。

「あなたの専門分野を本学で話して欲しい」というのは、例えば、デザインならイタリアが進んでいるからイタリアのデザインの話をしてくれ、ということでなく、「デザインとは何か?」との定義のところから入るテーマでの依頼をされるのです。それも新興国の大学からのリクエストではなく、先進国も多いです。そうして違った国で違った学生たちを教える経験を豊富にもっています。

EUには各種の交流システムがありますから、EU内の大学間交流が盛んなのは当たり前の現象です。「論文の成果?」という問いもありそうですが、結構、新人の助教クラスに「仕事をまわしている」のをみると、必ずしも個人指名ではないケースも多いと言えそうです。

こうした欧州の先生たちは、だいたい母国語以外の2-3の言語の素養があります。英語だけで世界を見ていない、ということですね。複眼的に状況を見る素養と経験が自然とあるわけですから、こう言ってはなんですが、たいして優秀な先生でなくても、結構、大局的なことが自分の考えとして語れるのです。やはり、コミュニティのメンバーになっているんだろうなあ、と思います。ですから気楽に呼んで呼ばれる関係があるのでしょう。「あの先生を呼ぶとなると、すごく高いかな」とか、あまり気にせず、声をかけやすいのだと思います。

繰り返しますが、私の印象です。でも、こういう印象をもたせる動きを彼らがしている、という点でみるのが良いでしょう。

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