2050年の食生活を想像する ー昆虫食・畜産の影響
2児の父として日々子育てをしていると「この子たちが大人になる頃にはどんな社会になるのだろう」とふと考えることがあります。例えば、2050年の世界をさまざまなデータをもとに想像してみると、子どもたちよりも自分達大人のほうがやるべきことが多いと気付かされます。
つい先日、知人から「昆虫食」の文化が広がっていることを教えてもらいました。
2050年に地球の人口は100億人に達すると言われています。そのとき、2030年には現在の畜産業では人類に必要なタンパク質が補えなくなることがわかっているそうです。そこで、家畜の代替として昆虫食が注目を集めているといいます。
しかし、もしそうなったとして、本当にぼくたちは昆虫をぱくぱく食べられるようになるでしょうか?
知人とZOOMで話をした日の夕方、妻と食事の席でこの話をしてみました。手元のスマホで「昆虫食」と調べると、コオロギ、タガメ、カイコ、ザザムシなどの画像が出てきます。これらを食べるイメージが湧かず、いや、正直に言えば、無理なんじゃないか…と思ってしまいました。
「本当にタンパク質不足になるのかなぁ。畜産は地球温暖化にも大きな影響があると聞いたことがあるなぁ」と思いNETFLIXでドキュメンタリー映画『CowSpiracy サスティナビリティの秘密』を見てみました。この映画でも衝撃のデータが提示されていました。
この映画によれば、畜産には4つの問題があるといいます。「温室効果ガス」「水資源の大量使用」「穀類の大量使用」「排泄物による土壌・海洋汚染」この4つです。
まず、メタンガスです。この映画によれば、温室効果ガスの排出量は、車・飛行機・大型船などの化石燃料を使用した輸送によって出る温室効果ガスよりも、牛のゲップによって出されるメタンガスのほうが上回るといいます。
続いて、水の使用量。アメリカでは1年間で130兆リットルの水が畜産で使われるといいます。ちょっとスケールが大きすぎてわかりませんね。500gの食用牛肉をつくるために、1万リットルの水が使われる計算になるそうです。1万リットル。ちょっと大きめのハンバーグ1つに、5000本の2lボトルの水が使われるのを想像してみるとわかりやすいかもしれません。
気候変動の影響で、飲水が蒸発発散し、水温上昇に伴い綺麗な水が作られなくなって水質が悪化すると予測されているなかで、水資源が大量に使われる原因を特定し、改善しなければ、水不足が改善しないとされています。
他にも、アメリカで毎秒53tの排泄物がされ、それが水に流れることで海洋汚染につながっていることも示されました。
また、畜産で使われる穀類の量も非常に多いといいます。アメリカでは生産される大豆の90%が畜産に使われているといいます。こうした植物性タンパク質を人間に配分すれば、人類がサスティナブルな食を続けることは不可能でないことが、この映画で示されています。
この映画の結論は、「人類皆、完全菜食主義になること」でした。
たしかに、この映画を見て、大量の畜産が環境に大きな影響を与えていると感じることができました。しかし、山積する問題があります。
現在畜産で生計を立てている人はどうすべきなのか。もし代替案があったとしても、それに納得できるのか。そしてそれをぼくは支援できるのか。
あるいは、ぼくたちはあの美味しい肉を食べることを本当にやめることができるのか。あのジューシーでやわらかく、旨味たっぷりの脂で口の中が満たされていく快楽を捨てることができるのか。
ぼく自身は、牛肉・豚肉の脂が体質にあわないこともあり、あまり好んで食べません。しかし、鶏肉は大好きで、今日も焼き鳥をテイクアウトして家族で食べました。2歳の娘も「やきとりおいしいね〜!」と言って嬉しそうに食べていました。こうした食の幸せを、やめることができるのでしょうか。
2030年に世界的なタンパク質不足になること、大量の畜産は今も環境にダメージを与えていることなどは事実でしょう。目を背けたくなる事実ですが、背けていては、後でもっと悪いことになります。
2050年、ぼくは63歳です。まだまだ仕事をして楽しく生きていたいなぁと思います。子どもたちは今の自分と同じぐらいの年齢に育っています。
しかし、その頃には肉を食べることが難しくなり、タンパク源の確保のためにさまざまな工夫をしなければならないかもしれません。子どもたちに何かを教える前に、自分たちが試行錯誤し学ばなければならないことがあると、この映画を通じて気付かされてしまいました。
まず、動物性タンパク質の摂取量を減らしつつタンパク源を確保する方法と、持続可能な食について、あれこれ調べてみたいと考えています。