海外アニメ配信市場はまだ開拓の余地あり?=ドイツから考える
ドイツのアニメ販売会社3社はこの夏、アマゾンに日本アニメの共同配信チャンネル「aniverse」を開設しました。(以下の画像は公式サイトからのスクリーンショット)
コロナによるいわゆる「巣ごもり」需要などにより映像配信サービスが伸びているようですが、今回はドイツのアニメ配信の最新事例を手がかりに今後の可能性を考えてみたいと思います。
日本でも8月に東映アニメと講談社が共同でYoutubeにアニメ配信チャンネルを開設し、世界のアニメ配信市場をうかがう動きが出ています。
ドイツのアマゾンでスタートしたアニメ専門チャンネル「aniverse」は月額利用料が6.81ユーロ(日本円で約850円)。7月末のスタート時に提供されたアニメ作品はTVシリーズ29本、映画22本でした。(ドイツ語の関連報道)
共同開設したのは、ドイツの映画配給会社コッホ・フィルムのアニメレーベル「KSM Anime」、日本のアニメ制作大手アニプレックスと現地企業との合弁会社によるレーベル「Peppermint Anime」と老舗アニメ専門販売会社Anime Houseです。いずれもメインのビジネスは日本アニメのディスク版(DVD/Blu-ray)のローカライズ販売です。
ドイツではというか、ドイツでも配信大手Netflixの人気は高く総合配信サービスに加えて、アニメ専門の配信サービスである米クランチロールや仏Wakanim、独Anime on Demandなどがしのぎを削っています。
ドイツのアニメ販売会社3社が協力することでタイトルの充実などのメリットがあると踏んだアマゾンプライムへの参入ですが、実は他にも明確な実利が見えてきました。
「KSM Anime」の広報スタッフは、9月上旬にオンラインで開催されたドイツの大型アニメファンイベント「Connichi online」におけるトークセッション(録画映像、ドイツ語)に参加しました。その際に、アマゾンプライムに参入する理由として、会員数の大きさが無視できない規模である旨をおよそ語っていました。
筆者も気になり改めて調べてみましたが、ドイツの報道によるとドイツのアマゾンプライムの会員数は1700万人だそうです。記事は去年のものですが今もそれほど変わらないか、むしろコロナによる「巣ごもり」需要でさらに増加していることでしょう。
さらにこの「aniverse」は7月末の開設以降、堅実にどんどん作品を追加しています。それまでは各社が権利をすでに保有する作品の配信にとどまっていましたが、先週のニュースによるとサイマル配信も提供することが発表されたようです。つまり日本の新作アニメをほぼリアルタイムで視聴できてしまいます。
さて、ここで少し考えてみましょう。
ドイツでは日本のアニメの配信サービスは、さまざまなチャンネルを通じて視聴できる環境が出来つつあります。もちろん、正規の配信サービスの充実により海賊版サイトはさらに現象することでしょう。
そして、オンラインでアニメを視聴するカジュアルなユーザーは増加し、結果として特典グッズなどが付属するディスク版を購入するコアなコレクター層を拡大させる効果にも期待ができるでしょう。関連グッズなどの販売増も見込めるかもしれません。
一方で、この手のニュース記事のコメント欄を見ると、視聴者はすでに複数のサブスクリプション契約を保有しており、これ以上の出費は無理だといった悲鳴も見かけます。
とすれば、今後は市場でプレイヤーの淘汰が起こるのかもしれません。
ドイツの事例をご紹介しました。こういった動きはアニメが世界中で支持されている以上は、他の国でも起こり得る、もしくはすでに起こっているかもしれません。
皆さんはアニメ配信サービスの未来をどう見ますか?
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タイトル画像:ドイツのアマゾンプライム内のアニメ配信チャンネル「aniverse」からのスクリーンショット
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