花開くか、宇宙太陽光発電。
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
昨今の4GやWiFiの普及により、インターネットが有線であったことを忘れつつあります。ヘッドホンやイヤホンもBluetooth接続がメインになり、キーボードやマウスも言わずもがなです。かつて、これらの機器はすべてメインPCに有線のコードによって接続されていました。
残るものは、ディスプレイ(HDMI)と電源コードです。
HDMIについてはワイヤレスで送受信できる機器も安価になってきました。AirPlayやGoogle CastやMiracastなども出てきており、アプリ単位ないしは画面そのものをワイヤレスで離れたTVモニタに出力することも簡単にできる環境は整ってきました。
電源については、技術的なハードルを越えて普及するまでは、まだまだ時間がかかりそうです。スマホについては接触型ではありますが、Qiのような規格も普及してきています。コネクタにコードを刺さなくて良いという意味では、大きな進歩です。
最近ではEVの普及を見据えて、大電力無線送電の技術革新が起こりそうな気配がしてきました。
いつでもどこでも電力を供給できるようになれば、社会が一変する。無線送電は水面を叩いて発生した波紋で、離れた場所にある小さなヨットのおもちゃを動かすイメージだ。街中に並ぶマイクロ波発生装置の横を通りかかるだけで、身につけた電子機器の充電ができる。電源のコンセントが使えるカフェを探していたのは過去の話となる。
電源から解放されたとき、これまでの前提が崩れる。意識の変化はイノベーションをもたらす。1回の充電でガソリン車並みの長距離走行を目指してきたEVは充電設備が命綱だ。宙を電力が飛び交うインフラが整えば、充電設備に立ち寄る必要がなくなる。近距離走行車でも競争力を発揮できる。
EVの普及の足かせになっているのが、航続距離と出先での充電スポットの少なさ、そして充電時間です。例えば無線送電対応の高速道路が生まれたら(当初は限られた区間の1レーンでも)、継ぎ足し充電しながら走行することで航続距離が大きく伸びるでしょう。EVトラックに対して充電も高速料金も無料にすれば、普及の後押しになり温室効果ガスの削減にもつながるでしょう。
カーボンゼロの動きが周辺技術の開発競争を加速させています。各国で100年以上の研究開発の歴史がありながら、実用化までは遠いと言われていた「宇宙太陽光発電」もその1つです。天候に左右されず強力な太陽光が降り注ぐ宇宙空間に太陽光パネルを持ち込み、そこで発電した電力をマイクロ波に変換して地上に送電する技術です。
かつて都市開発ゲーム「シムシティ」で次世代発電所として登場したこともある未来の象徴とも呼べる技術。太陽で起きる核融合反応でエネルギーを取り出す核融合発電と並び、構想こそ優れるものの実用時期は見通せない夢のエネルギーとみられていた。ただ、近年ではカーボンゼロの流れを受けて、国が策定する宇宙基本計画に新たに宇宙太陽光発電の検討が記載されるなど再び実用化に向けた前進の兆しを見せている。
地球上で太陽光発電をした場合、夜間や曇りの場合には発電できないため、平均で太陽光パネルの稼働率は15%とも言われる。夜のない宇宙空間では24時間発電できる。送電線の代わりにビームで送れば地球でエネルギーを受けたり、月面の裏側や他の星に電気を送ったりといったことも理論上可能になる。
原発事故により日本で再び大規模な原子力発電施設を建設することは、現実的にかなり難しいでしょう。現在は石炭・石油による火力発電が支えていますが、世界的なカーボンゼロの動きの中ではこのままの形で継続することも難しい。代替案として宇宙太陽光発電のような「飛び道具」も視野に入れる必要があるでしょう。
宇宙まで行かなくても、雲の上に出てしまえば天候に左右されずに太陽光を捕まえることはできます。飛行機に乗っていて、空港は雨だったのにしばらくすると眩しいくらいの晴天になるのを経験した方も多いかと思います。もし、雲の上にずっと太陽光パネルが置くことができ、それを地上に送電する手段が確保できれば有力な案となるかもしれません。
最近では発電用途ではありませんが、ずっと発電しつづけることにより長時間飛行できるドローンなども開発されています。
SULEは、スパン22mの飛行翼の上面に太陽光パネルを搭載し、成層圏付近の高度約21kmを24時間連続で自律飛行できる。機体重量は82kg、ペイロードは6.8kg。商業、モニタリング、通信、防衛などの多用途での使用を想定する。
SFのような話ではありますが、このような技術を元に日々の生活が完全なる「ケーブルフリー」になる日を待ち望んでいます。
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タイトル画像提供:ツネオMP / PIXTA(ピクスタ)