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朝日放送「ビーバップ!ハイヒール」に出演して気付いた"TVの凄さ"を語りたい

2月6日に放映された朝日放送「ビーバップ!ハイヒール」の「マイブームが世界を変える!?バズる新奇事象」回に、ゲストブレーンとして出演させて頂きました。

これで私も「ハイヒールファミリー」の一員です。ありがとうございます。

「ビーバップ!ハイヒール」は、朝日放送(テレビ朝日系列)の毎週木曜日深夜23時台に放映されているTV番組です。関東圏で言えば、ちょうど「アメトーーク!やっている枠」と言えば伝わるでしょうか。

実は関西圏では23時17分~枠は「ナイトinナイト枠」と呼ばれ、関西圏独自のバラエティ番組を放映しています。あのオバケ番組「探偵!ナイトスクープ」を始め、全国区で活躍する芸人(岡村隆史さん、千鳥さん、今田耕司さん、ハイヒールさん、松本人志さん等)が帯番組を持っています。

関西人は、朝日放送の23時台の番組を見て、毎日放送(TBS系列)の24時台の番組を見るのが一般的です。そのように学校で習ったし、テストにも出たよね。それぐらい有名で面白い番組に出させて頂いたのは光栄の限りです。

TVerでは2月7日(金)から7日間、無料で見逃し配信やっています。関西圏じゃない方は、ぜひこちらからご覧いただければ幸いです。全体で44分あります。

今回のnoteは、TV出演のオファーから実際に出演するまでを振り返り、やっぱTVって凄いわ!を振り返ります。


出演のキッカケは1本のメール

TV出演のキッカケは、番組制作をされている方から私宛に1本のメールを頂いたことでした。

大阪のABC朝日放送「ビーバップハイヒール」という番組で構成作家をしております〇〇と申します。

先日ご出版されました「アイデア量産の思考法」を拝見しまして、「新規事象」に基づいた内容で番組ご出演頂けないか、というご相談でメールさせて頂きました。

メール見た瞬間、震えました。震えるってこういう状態なのか、というぐらい震えました。仕事中だったのですが、思わず「ついに来たっ!」と叫んでしまいました。

実は「ビーバップ!ハイヒール」の関西私鉄ミステリー回が大好きでして、それはもう録画して何度も見るくらい大好き。好きな番組に出れるってこんなにも嬉しいもんですか。

自分の出した書籍には、必ず著者連絡先を記載しているのですが、ついに有効活用される日が来たか!と感じました。


TV凄い①企画を考えるのは大変である

制作の方から出されたネタは「日常を豊かにする新奇事象」「新奇事象がアイデアになった商品事例」でした。

「アイデア量産の思考法」に掲載されている新奇事象のうち、いくつかは直ぐにでも日常に活かせる!という直感があったらしく「こういうネタいっぱい下さい」と言われました。

「これは、アイデア量産の思考法を参照にしよう…」

「新奇事象がアイデアになった商品事例」は、アサヒビールの氷点下のスーパードライが好印象だったらしく、同じように「こういう事例いっぱい下さい」と言われました。

「そうか、要はユーザーイノベーション事例か…」

そう考えた私は、ユーザーの声から生まれた商品、かつ「関西出身の企業を取り上げた方が喜ばれるかな…」という下心もあって、関西メーカーの「新奇事象がアイデアになった商品事例」を探してみました。

結構あるもんですね。サントリーや日清食品の事例を紹介してみました。

ジョッキでハイボールを飲む。最初は社内でも反対がありましたね。そんな飲み方は邪道だと。実はチームの一人にあまりウイスキーを飲めないメンバーがいて、「ビール感覚で飲んでもいいんじゃないか」の一言からジョッキという発想が生まれました。
きっかけは、2015年に芸人のマキタスポーツ氏がラジオで、「(カップ麺の)どん兵衛は10分待って食べるとおいしい」と発言し、SNSで話題になったことだった。これまで日清食品がパッケージなどで推奨してきた待ち時間は「5分」であり、それよりおいしい食べ方があったのであれば、食品会社としてはたいへんな失敗である。

さて、その結果ですが。

微妙。

むしろ却下…。そういうのじゃない…!

令和のご時世、ここまで露骨に「面白くない」って顔をする人に初めて出会ったというぐらい。会社ならパワハラですよ。

制作の方からは「この番組は、風呂上がりでスイッチがオフになった普通の主婦の方もご覧になられます。松本さんはマーケティングに慣れているかもしれませんが、これはハードルが高過ぎませんか?」と指摘を受けました。

ガーン!です。初めて口にしたぐらい。ガーン。

要は、松本さんは消費者心理をわかっていない、って言われたも同然です。インサイトを扱っている会社の人間なのに!

「そうか、僕は知らず知らずのうちに、人数が少ないセグメントを当たり前のものだと認識していたんだ…!」
「TVとは全く興味が無いけど、とりあえず映像だけは流れている状態から始まり、どんどん惹きつけ、面白いと思てもらうための異種格闘技!」

ここから試行錯誤が始まります。


TV凄い②「分かりやすい」って、なんだ!?

「普通」だけど「普通じゃない」を探し求める。

これは、なかなか難しい。自分の頭がいかに凝り固まっているかが、よく分かりました。

一足先に感覚を掴めたのは「日常を豊かにする新奇事象」でした。

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これは「良い。非常に良い」との評価。分かりやすいし、明日から実践できそう。困っている人も大勢いそう。

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これは「無し」との評価。普通じゃないですか? 新奇ですか? とのコメントを頂きました。関西ではみんなやってんのかな…。

「そうか…つまり①直ぐに真似できる、②目新しい、③身近、この3要素がマストで、さらに④奇抜が突出していたら良いのか」

何となくコツを掴んだのですが、採用された「日常を豊かにする新奇事象」は果たして何だったでしょう。それはTVerでご確認ください。


TV凄い③最後まで苦戦した「新奇事象の商品事例」

もう片方は、最後まで苦戦しました。どれくらい苦戦したかと言えば、収録当日の台本完成まで、どれにするか全て決まらなかったぐらい。

リクエストとしては「想定していなかった使い方を企業が認めたうえ、そっちの方向で新商品を出してビジネスを広げた」だったのですが、そんなのポンポン出るわけないですよね。

「それって日清食品の10分どん兵衛じゃないの? 新商品にまで至っていないから却下なんか…。せやけど、その縛りは厳しいなぁ…」

事例を出しては却下、事例を出しては却下。かなり迷走しました。

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要はユーザーイノベーション事例なんでしょ?とは思うものの、ドンピシャが無かったようです。ちなみに、ボツになった事例はこちらです。

■サランラップ
戦後、ダウ・ケミカルの二人の技術者がピクニックに行った時にラップでレタスを包んで行ったことがきっかけとなり、食品の保管としての用途に注目し、食品用ラップとして販売することになった。
■ティッシュ
市場調査を実施したところ、ハンカチがわりに使っている消費者が多いことが分かり「使い捨ての出来るハンカチ」として広告を展開。ティシュはアメリカ人の日常生活に浸透していきました。
(略)
(日本では)当初は高級化粧紙としての用途を想定していましたが、多目的に使える「アメリカ生まれの万能ハンカチ」として消費者に受け入れられ…
■ゲーム&ウオッチ
横井さんが新幹線で、電卓で遊ぶサラリーマンを見かけたことがきっかけでした。電卓で遊ぶというのは、初めは意味がよくわからなかったのですが、当時は『電卓で遊ぶ本』というものが出版されていて、「12345679×9」という計算をすると、液晶に1の数字がずらりと並ぶ、といったものだったそうです。
■GoPro
オーストラリアに行った創業者が「自分のサーフィン姿を撮影して貰いたかったのに、市販の商品ではできなかった」ため、適当な素材を組み合わせて制作したのが始まり。最初は「サーフィン撮影用」だったが「被写体目線で動画が見れる」(今までは小型ハンディが精一杯でバランスを要するスポーツ、スキー、ロッククライミングなど)ことがウケて、一気に市場が拡大。

結局、みんな知っているベタな「アレ」が採用されたのですが、それが何なのかはTVerでご確認ください。

大勢の人が「TVっていい加減なんでしょ?」と思われているようですが、今回ご一緒させていただいた「ビーバップ!ハイヒール」のスタッフの方は、そうではありません。ギリギリの土壇場まで一緒に「いかに面白いと思って貰えるか」に知恵を絞り続けました。

考え過ぎて「面白いって何だろう?」と迷うようになったのですが、僕の意見としては「FUN」という結論に至りました。

嫁と買い物している時はFUNだし、犬と散歩している時はFUN。それって理屈じゃなくて、居心地が良くて、自分を解放できて、気持ちがアゲで、なんとなくワクワクする。定量化するもんじゃないんですよ。

人それぞれに「FUN」の中身は違うのでしょうが、100人居たら90人ぐらいは「FUN」と感じて貰えるシーンがあるのだと思います。大事なのは、そういう感覚を再現できる内容かどうかなんでしょう。

ロジックで詰めて、感覚で判断する重要性を学びました。


(幕間)事前収録カミカミ事件

番組で取り上げる「新奇事象」の案内人として、まず最初に松本が紹介されるVTRが流れるのですが、その紹介VTR制作から事件勃発。

とにかく噛む。セリフを忘れる。「すいません(記憶)飛びました!」と2回やってしまいました。

schooは台本が無いので好き勝手に喋れる分、かなり饒舌になるのですが、決まった台本があって「これを喋って下さい」「でも台本は見ないで下さい」と言われると、急にカチンコチンに…。

紹介VTRだって、めちゃくちゃ「寄り」で取るんですよ。嫁にも最近そんなに接近されてないぞ、ってぐらい寄って撮影する。

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そんぐらい寄った結果の紹介VTR、ぜひご覧ください。


TV凄い④芸能人のワイプ芸

さて、収録当日。

楽屋に通されると、ようやく完成稿の台本が渡されました。やべぇ、早く目を通さないと!と焦ります。事前に台本(仮)は渡されていたのですが、完成稿が当日なのは、さすがに焦ります。しかも、後半けっこう変わってる。

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真剣に読む時間も余りなく、直ぐにメイク室に移動します。

ドーラン塗って、髪形をセットして貰い、そのまま楽屋に戻ると、台本を覚える間もなく「じゃあ本番です」となりました。

「えっ! もう?」

焦ります。以前、NHKのBS番組に出演させて頂いた際は、事前打ち合わせがあり、そこで元メジャーリーガーの小宮山悟さんや高橋尚成さんと顔合わせを行い、台本の読み合わせをして「段取り」を確認できました。

何が何だか分からないまま、そのままスタジオへ移動します。

「ここに座って待っていて下さい」と案内されたのもつかの間、すぐさまハイヒールさん、筒井康隆先生、江川達也先生、チュートリアル福田さん、ノンスタイル石田さん、たむらけんじさん、菊地亜美さんがスタジオ入り。

驚いたのは、ハイヒールリンゴ師匠以外、手ぶら!

全員が着席すると、何の話もなく「それでは収録5秒前!」の掛け声。

「うそー!」

ビビりますよね。心の準備ができていない選手権入賞ですよね。

最初は私が参加せず、フリートーク。ワイワイ盛り上がって、良きところでハイヒールリンゴ師匠が「はい、それでは参りましょう」と進行。まず7分程度の冒頭VTRを見ます。その間に私はゲスト席に着席します。

「うわー!スゴイ!」

「何それ、知らなかった―!」

「へぇ~面白いなぁ!」

着席して早々、芸能人のワイプ芸大会ですよ。

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モニターを真正面に据えて、横も向かず言葉だけ組み交わす芸能人の姿。日常風景ではありえませんが、スタジオだけは成立するようです。

とにかく大声。はっきりと。しゃきしゃきと。

とにかくオーバー。そうか、これがリアクションか。

伝わるって、ここまで表現しないといけないのか。

実は僕もワイプ芸したんですが、果たして使われているでしょうか。


反省点:台本見過ぎた

収録が無事に終わって、制作の方から1つダメ出しを頂きました。

「松本さん、あなたは今後もっとTVに出るような人だからズバリ言います。台本を見過ぎです。下を見過ぎ」

うわぁ。前半の言葉が嬉しくて書いたんだけど、後半の言葉が悲し過ぎて切腹したい。ごめんなさい。

実は事前に製作の方が「台本に囚われず、リラックスして下さい。失敗したって良いんだから」と言って下さったんですけど、大勢のプロを前に失敗なんてできなかった。結果、台本を見過ぎるというご指摘…。

反省。皆さんがご覧になって、どうでしたか? 台本見過ぎでしたか?

この反省を次回に活かしたいので、ぜひ私を再び地上波に放映して頂ければ幸いです。連絡先はこちら。

収録終了後、筒井康隆先生と江川達也先生は直ぐにスタジオを後にされたのですが、無理をお願いして集合写真を撮影させて頂きました。写真は「ネットには上げないで下さい」と釘を刺されたので、イラストで。

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本当に良い機会でした。

TVって凄いなと思いました。

自分の中で「より社会に広めるためには何をすべきか」という座標が生まれたような気がします。



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松本健太郎
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