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「新現場主義」ー実証実験主義のススメ

こんにちは、リデザインワーク代表&ベーシックCOOの林です!

「現場主義で得られたこと」というテーマで、日経COMEMOから募集があり、即、書きたい!と思ったので書いてみます。

経営環境の変化による「新現場主義」とは

現場主義、というとやはり製造業のイメージが強い気がします。
現場主義で成果を残されて有名な鈴木会長の下記の記事からもその要素やすごさを感じることができます。一方で、課題も感じることができます。


「現場力は日本のものづくりの宝なのは確かだ。現場で現物を見て現実的に対応するという『三現主義』が現場力の根幹にある。それは各自の持ち場で頑張るということにつながっている。とにかく何とかするという火事場のばか力もある」
ただ弊害もある。持ち場を守ることで目標や発想が矮小(わいしょう)化する。大きな目線で何が正しいことなのかを判断しなくてもよくなる。結果、思考停止に陥りがちだ。何かおかしいと思っても、どうすべきかということを考えなくなってしまう」

この記事にもあるように、現場主義の良さもありながら、経営環境が大きく変わる中で、現場で、持ち場単位で、小さな改善を積み重ねることに囚われてしまうという弊害も生まれてしまっています。そこで、これからの経営環境だからこそ必要な、成長戦略の根幹となる「新現場主義」へと進化が必要だと思っています。

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経営環境は大きく変わっていると思います。従来のように変化速度が遅く、情報の流動性が低い時代は、経営トップが情報を集め、中長期戦略/計画を立て、中長期戦略/計画を現場が着実に実行し、ミドルマネジメントが管理するという経営が一般的でした。

しかし、変化速度が速く、情報流動性が非常に高い今の経営環境において、ある領域テーマについては、トップよりも現場社員の方が詳しかったり、情報をじっくり集めている間に状況が刻一刻と変わっていく可能性が高い時代には、現場のインパクトを生みそうな事例をタイムリーに拾い上げ、その事例を拡大し、経営戦略をアップデートしていく必要があります。

「現場の改善」という意味合いが強かった現場主義から、イノベーションや新しい方法論の開発を目的とする新現場主義に移行が必要です。

「新現場主義」ー実証実験による方法論の開発について

では、どのようにして、新現場主義を推進し、方法論を開発し、イノベーションを加速するのか?について書きたいと思います。
以前、DX文脈にて、方法論の開発について書いているので参考になれば幸いです。

何か実現したいことがあっても、実現する方法がないと実現することはできません。そこで、実現に寄与する可能性があるアイディアや仮説を実際に、現場で小さく実証実験をしてみて、実現可能性が高まり、再現性が確認できたら、その方法を拡大するというように、方法論を開発していくやり方です。

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非常にシンプルですが、実際に現場で具体的に取り組むことが重要だと思っています。この取り組みは、僕自身様々なケースで取り組んできていますので、いくつか僕自身の実例をご紹介します。

営業改革
・サテライトオフィスを活用して営業の生産性を上げる方法開発
営業生産性を上げようと思っても、考えられることは取り組んでいるしな・・という中で、働き方の多様性文脈で活用していたサテライトオフィスを営業が活用することで、移動時間を減らし、生産性が高められないか?という仮説を実際に40人程度の営業部にて現場で実証実験をしてみた結果、1日あたり、営業一人当たり平均にて、移動時間が41分削減されることが実証されました。結果、部として40人×41分×20日≒533時間移動時間が短縮され、時間にして営業マン約3人分のインパクトが出たため、この方法を全社に展開して営業生産性を高めました。

コミュニケーション改革
・ビジネスチャットを活用し、コミュニケーション総量を増やす方法開発
リモートワークになる中で、コミュニケーションが減っている課題感があり、社内コミュニケーションにおいて、メールを辞め、ビジネスチャットに変えることで、コミュニケーションをもっと増やせないか?という仮説を元に、100人程度の組織でメールを禁止して、ビジネスチャットに載せ替える実証実験をしてみた結果、75%がコミュニケーション満足度が高まり、50%を超える人が組織の一体感が高まるという結果が実証されたため、社内メールを禁止し、ビジネスチャットを全社展開してコミュニケーション改革を進めました。
この例も、実証実験のデータを元に議論しないと、なぜチャットだとコミュニケーションが増えるのか?や、私は、チャットよりメールが好きだという議論で、変化を導けなかったと思います。

プロダクト開発
・顧客管理システムを増強することで、顧客価値を高める方法開発
マーケティングのSaaS事業において、日々顧客価値を高めるプロダクトアイディアはたくさんありますが、本当にそのアイディアが顧客価値を高めるのかがわかりません。そこで、大きく開発する前に、実証するための最低限の簡単な機能を作り、顧客に使ってもらい、満足度が何%上昇するか、この機能に追加でお金を払ってでも使いたいかを実証実験をし、確認をして、検証されれば本格的にサービスに実装することで事業成長を加速する取り組みをしています。

「新現場主義」ー実証実験主義のススメ

多くの企業でも、机上で戦略議論や方法論について、議論はしているが、時間ばかりかかって前に進んでいないことをよく拝見しますし、筋が本当に良いかどうかわからない施策をトップダウンで決定して、現場のリアリティの乖離などで、推進できなかったり、成果が出ないこともよく拝見します。

副業を解禁するべきか、営業生産性を上げるにはどうしたらよいか、顧客満足度を高めるサービスに進化させるにはどうしたらよいか、海外展開をするべきか、新規事業をどう作るかなどなど、経営課題は山積みです。

方針を決めても、現場でリアリティのある方法論が無ければ前には進みません。実際に、アイディアや仮説を持っている人が主体となって、実証実験をし、データや結果を踏まえて経営判断をすることが最も迅速で、早く、成果も最大化されていきます。

経営はじっくり戦略を立てる役割から、現場での実証実験の推奨・推進、挑戦の推奨、学びの推奨、そしてそこから出てきた実証実験を通り、インパクトを生みそうな方法論にリソースを投下し、育て、成長戦略を加速するという役割に変わったと思っています。

日本で培ってきた現場主義の強みを活かして、経営環境が変わったこれからの時代の「新現場主義」で実証実験を加速させ、加速度のついた成長を実現していきましょう!

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#COMEMO   #現場主義で得られたこと  

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林 宏昌(リデザインワーク・スキルキャンバス代表)
経営戦略、人事戦略、働き方について、自身の経験を通じて得た気づきや学びを書いていきます。フォローしてもらえると喜びます! リクルートにて営業→経営企画室長→広報ブランド推進室長→働き方変革推進室長→リデザインワークを創業+ベーシック取締役COO+情報イノベーション大学客員教授