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個人クリエイターの皆さん必見、インボイス制度の話(2023年3月までに準備しないとダメなやつ)

唐突ですが、およそ半年後の2023年の3月31日に、次年度(2023年度)の「適格請求書発行事業者」の登録申請が締め切られます。この一文の意味がわからなかったクリエイター様や個人事業主様がいらっしゃったら、僭越ながら相当状況はやばいです。このヤバさをどういうふうに伝えたらいいのかわからないのですが、ものすごく端折って言っちゃうと、

2023年10月以降、インボイス制度に対応しない個人のクリエイターは仕事が減っていく可能性がかなり高い

となります。ことの発端は、数年前に導入が決定されたインボイス制度です。詳しくは政府のページを見てもらいましょう。こちら。

うがー、見づらい。しょうがないです、役所の文書というのは、正確を期するために、こういう感じになるんです。だからあんまり伝わらない。僕も普段は税関連のことは全て税理士さんに丸投げしているので、始めてインボイス制度のことを聞いた時は「で、一体何が変わるの?」と、あんまり気にもとめていませんでした

その後色々と耳にするうちに、徐々にヤバさが身に染みてきたんですが、最近同い年の友人と話している時に、何かの流れでこのインボイス制度の話になりました。その友人が言うには、若いクリエイターたちはほとんどこのインボイス制度について知らなかったり、気にしてないっていうんですね。確かに、あんまり写真界隈やクリエイター界隈で話題に上がってないように見える。僕の周囲だけがのんびりしてるってこともないだろうから、こいつはやべえかも、マジで。ってなったタイミングで、こんな記事が出ました。これをぜひみてくださいな。

この漫画を読んでもらうと、ヤバさが端的に伝わると思います。震えてきました?

(1)インボイス制度を8項目でまとめる

漫画さえ読むのが面倒って人にさらにまとめると、2023年のインボイス制度によって変わる点は以下になります。間違ってたらごめんなさい、でも大体合ってるはず。

  1. 2023年10月より「インボイス(適格請求書)制度」が始まる。

  2. インボイスとは、政府が定めたルールに則って作成された請求書のこと。

  3. インボイスを発行するには「課税事業者」でなくてはならず、「適格請求書発行事業者」の登録申請をしなくてはいけない。

  4. 「課税事業者」とは、年間1000万以上の売り上げがある事業者で、消費税分を納める事務が発生する。一方、1000万円以下の事業者は、これまで「免税事業者」として消費税分の納税をしなくてよかった。

  5. インボイス導入以後は、「インボイス」で請求書を発行しないと、お金を払う側(つまりクライアント側)が「仕入税額控除」の適用を受けることができない。平たくいうと、インボイス発行できない事業者と取引すると、クライアント側が税金的に損することになる。

  6. なので、2023年10月以降、事業者側は「課税事業者」登録を求められる可能性が高い。もしあなたがこれまで「免税事業者」だったとしたら、それだけで、消費税分の税金が今後必ずかかることになる。

  7. 「そんなのは嫌だ!免税事業者のままでいる!」と選択することも可能だけど、上に書いたようにそういう事業者相手との取引は今後減っていくことが想定される。だってクライアント側が損を引き受けることになるから。

  8. というわけで、前面のオオカミ後門のトラ状態なのが、2023年10月に始まるインボイス制度。そしてその適用のための「適格請求書発行事業者」の登録申請は、半年後の2023年3月31日に締切。それ以後での申請は、次々年度(2024年度)からしか「適格請求書発行事業者」になれない。(この部分間違っておりました!なんらかの理由がある場合は、2023年9月30日まで、事情を記した書類と一緒に登録申請書を提出すれば、2023年10月から適格請求書発行事業者の登録を受けたものとみなされるとのことです。)

という状況です。漫画の方がわかりやすいんで、ぜひそっち見てください。

(2)フリーランスの世界

そろそろヤバさが身に染みたでしょうか。僕はもうガクガク震えてます。まだ「でもなんとかなるんちゃうのん?」と思ってる人がいるかもしれませんが、これって色々見れば見るほどほんとに地獄の入り口に見えちゃうんです。というのは、日本の事業者の大半って、実は「免税事業者」なんです。

上の記事によると、事業者の60%、個人事業主の75%が売り上げ1000万円以下の免税事業者です。この全てが「課税事業者」として登録できるかというと、絶対無理だと思うんですね。そうすると起こりうるのは

  1. 優良な課税事業者への仕事の集中

  2. 免税事業者に対するダンピング(価格引き下げ要求)

が起こると思うんですね。どっちも地獄です。1が起これば、せっかく少しだけ目が出てきたフリーランス的な働き方が萎縮して硬直してしまいそうですし、2が起これば、フリーランスが再び買い叩かれる未来が来る。てか、両方同時で来そうです。クリエイティブもインフルエンサーも、もはやクライアント側が選び放題なコモディティ状況に加えて、このインボイス制度がかぶさってくると、強烈な選別の「圧」が掛かる予感がします。

僕はいつも同じ発想をするんですが、少数側が美味しい思いをする経済システムって、巡り巡ってその少数側さえ滅ぼしかねない、全体的な地盤沈下を生み出すと思うんです。今の日本が、気づいたら思いっきり地盤沈下してたみたいに。そうならないようにできるだけパイは増大しなきゃいけないし、全体的に経済的な幸福が増えないと、自分も負の連鎖に巻き込まれてしまう。

でも、この数年で少し回り始めているように見えたフリーランス業界のポジティブフィードバック的な流れが、インボイス以後で停滞しまうかもしれない。少なくとも「よーしフリーランスで働くぞー!!」ってなった時、最初から課税事業者として振る舞うように求められるのって、相当ハードルが高い気がするんです。

こうなると入り口のところでネガティブスパイラルが起きて、ようやく動き始めたように見えた「個人が自らの働き方を模索できる社会」が潰れちゃうかもしれない。それくらいの危機的な状況になるかもしれない、ってのがインボイス制度な訳です。

(3)レミングスにならないように

もちろん、そうならない可能性だってあります。本来はインボイスってのは、税処理をシンプルにするために設計された制度のはずですから。上の記事にもあるように「国民の意欲高めるインボイス制度」になる可能性だって、もしかしたら政府や官僚の皆さんは考えてるのかもしれない。

でもね、相当その確率は低いだろうなって思うんです。おそらく粛々と物事は進んで、2023年10月以降、最初はゆっくりと、その後気づいたら「あれ、もう逃げ道なくね?」みたいな袋小路に追い込まれてしまうフリーランスたち、個人事業主たちが一気に溢れ出てくる未来しか見えないのですよね。

そうならないためにも、皆さんぜひインボイスご対応ください。もう始まっちゃうのは決まってるんです。決まってることにはとりあえずは腹括って対応しなきゃいけない。特に心配しているのは写真業界の若い友人や仲間の皆々様です。うまく乗り越えてくださいね。一番手っ取り早いのは、ちゃんと税理士さんと契約することですわ。で、きっちりやりさえすれば、多分制度設計はちゃんとしてて、恩恵もあるはずなんです。そうでないと、やる意味ないですもん。

…やる意味あるんですよね?ほんと、お願いします。来年12月頃、「あー、ほんとインボイスやばい」とかなってませんように…


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別所隆弘
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