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さて、これからどうしよう、何しよう?~GWにあたって~

日本は、コロナ禍が始まって3回目のゴールデンウィークに突入した。新型コロナウイルスの問題が起きてから丸2年以上経ったが、2年前を考えると、当時もこの先どうなるのだろうという心配はあったものの、新型コロナウイルスだけが大きな問題だったのに対して、今は新型コロナウイルス以外にも様々な問題が噴出しており、2年前よりもはるかに複雑で深刻な状況になっているという印象を受けている。

こういう状況の中で、新たな事業を考えたり、あるいは今の事業を発展させたりテコ入れしたりする時に、どんな事をすれば良いのだろうとずっと考えている。

正解があるわけではなく、考えていると気分が暗くなったり、出口のない無力感に苛まれたりするのだが、問題を整理して、そして一度そういう問題からひと時離れるタイミングとしても、このゴールデンウィークを過ごせたら良いかと思っている。そんなわけで最近私が考えていることの一部を書き出してみたい。

円安とインフレ

私は経済の専門家ではないが、日米の金利差と貿易赤字、特に原発が止まり電力が逼迫する中で化石燃料の輸入を増やしていることの2つが現在の円安を招いている要因と理解している。日銀は金利を上げる姿勢を見せていないし、また(その賛否はおいて客観的状況として)原発再稼働の機運もほぼないに等しいので、円安の状態が改善される見通しは薄い。

そして、日本だけでなく世界的にインフレが起きはじめている。特に日本は賃金上昇の見込めないなかでの物価上昇=スタグフレーションが進行する恐れがあるのだが、ともあれ、各国がコロナ対応の経済対策としてお金をばら撒いたことも手伝って、円に限らず世界的に通貨の価値が下がっている。

こうした状況で、アメリカを始め日本以外の主要国は金利を上げ、市中に流通する通貨量を減らす政策になっているので、日本円の価値が上がる要因を見出しにくいのだと思う。

これに対応して、ビジネス面では、外貨決済を前提としたビジネスをすることが考えられるだろう。海外でビジネスをすることもそうだし、これまでのビジネスを外貨建てで決済することもありうるかもしれない。私が関わっているある海外実施のプロジェクトについても、顧客は日本人・日本企業なのだが、料金を現地通貨建てに変更した。これまでなら日本円で価格設定していたものだ。もちろん、その現地通貨が日本円以上に不安定であれば無意味であるが、支払い先も現地企業等であるならなおさら、日本円で決済しないことで為替リスクを軽減できる可能性があるだろう。もちろん、経理の手間も増えるし、円高になるリスクもないわけではないが、リスク分散として円貨以外の通貨も入れておくことは有益ではないかと思う。

また、これまでデフレ基調であることをベースに日本のビジネス全体が、とにかく安くすること、コスト削減をすることに目がいっていたと思う。しかしこれでは値段が安くなっている上にさらに円が安くなっているのであるから、商品の経済的価値が一層低くなってしまうということになりかねない。このため「高かろう良かろう」の高付加価値のビジネスにしていかないと、安い円を前提としたビジネスにおいては一層苦しくなっていくのだろう。

そして、輸入の原材料を用いて作られる商品であればなおさらだ。原材料の値上がりだけでなく、そもそも手に入らない、という問題が起きている。エンドユーザーとしてだが、ある海外製品の修理を依頼したところ、部品の入荷のめどが立たないため納期未定での預かりになる、と言われた。いろいろな物事が「ジャストインタイム」で運ぶことに慣れきってしまっている私たちにとっては、なかなかしんどい変化であるし、それが果たして解消されるものなのかどうか、円安・インフレに付随して気にかけておきたい問題だ。

地域の地政学的不安定性

21世紀にもなって、隣国への一方的な侵攻を行い、そのために核戦力を使うことまでちらつかせるような国が存在していることは驚きではあるが、しかしこれが現実だ。そして、我が国はそうした動きに出る危険性のある中国・ロシアと国境を接する国である。こうした地政学的に非常に不安定な場所に日本があるということを改めて認識せざるをえなくなった。

もちろん日本に生活の基盤がある以上は、なかなか動きの取りようがないのだが、そういう状況で、セーフティーネットとして海外とのネットワークをどう作り維持するか、ということも考えておきたいことの一つだと思っている。この一つのお手本は、いわゆる中華系の人たちにとっての華僑ネットワークだ。それは世界に張り巡らされたネットワークであり、基本的には個人のつながりなのだと理解しているが、それが幾重にも重なることで中華系の人たちにとってセーフティーネットあるいは情報収集のネットワークになっている部分があるのだと思う。中華圏以外の国に出ていく上での彼らの苦労というのは大きなものがあるとは承知しているので、そう簡単なことではないとはおもう。

日本人でも華僑を真似て「和僑」のネットワークを作ろうとしている人たちがいるが、これから一層、そうした国外におけるネットワークも意識した動きを少しでも進めていくことの必要性があるだろう。

特に、日本の若い世代が高齢世代によって活躍の機会を奪われ続けるのであれば、外に出て活躍してもらいつつ、和僑的なネットワークを通じて、機会が整えば日本に戻って活躍するといった人の往来が可能になるベースとしても機能するなら、若い人たちにとってのセーフティーネットにもなるのだろうと思う。

そしてコロナの問題

昨今の中国の状況が示しているように、いわゆる「ゼロコロナ」は現実には無理であろうというのが現状の認識だと思う。良いかどうかは別として、ヨーロッパやアメリカは早々にゼロコロナを放棄し、むしろ経済を優先した結果、かなりコロナの経済へのダメージは解消の糸口が見え始めている。日本もゼロコロナを志向しているわけではないとは言いながら、相変わらず制限されているうえに複雑で煩雑な入国手続きをみると、ゼロコロナに準じた動きをしている国と、世界の中では位置づけられるのではないだろうか。

一方で、様々なサービスや手続きの非接触化や非対面化は進んでいない。いつまでも2019年以前の状況が戻ることを前提に、待ちの姿勢でいるようにも受け取れてしまう。そろそろ元に戻るのをあきらめて、新型コロナウィルスが存在し続けることを前提に、いかにし非接触化や非対面化を進め、感染の可能性を最小限に留めながら経済活動を元に戻せるかということに、広い意味での投資を行うべき時期ではないか。そういう観点でDX化の推進も図られるべきだと思うのだが、部分的で中途半端な「まだらなデジタル化」がまだまだ目立つ。これではDXではなくD×(ディーバツ、ディーペケ)というべきだろう。

コミュニティネットワークというセーフティーネット

そして最後に、自給自足や物々交換などのコミュニティのネットワークによるセーフティーネットの構築が何とかならないものか、と思ったりもする。もちろん貨幣経済・資本主義経済の現状からすればささやかなものではあるかもしれないが、冒頭に述べたように通貨の価値が下落し、国境がいつどのようになるかも分からないという中で、「ご近所付き合い」の中でセーフティネットを形成していく重要性はこれまでになく高いように思う。ただその場合「ご近所」と言っても必ずしも物理的に距離が近い人たちだけではなく、デジタルの手段も活用しながら心理的に近いところにいる人たちがどのように物々交換あるいは自給自足的なネットワークを構築していけるかということになるだろうか。これは結局「和僑」ネットワークの形成と地続きの話になるようにも思う。


想定外を想定する

まとめると、「想定外を想定する」ことが、今私たちに求められている考え方や態度なのかもしれない。リスクをリスクとして見据えそれを織り込んだり、万が一が起きた時に、レジリエンスをどのように確保するか、考える必要があるのだろう。そして、かけられる(広い意味での)「保険」はかけておくこと、そして一極集中的な考え方ではなく多極分散の発想も国家や組織に限らず、ある程度個人でも考えておくことは、非常に大事なことだと思う。

このゴールデンウィークはせめて数日だけでもこうした騒がしい日常を離れて「何も考えない何もしない」日を作ることも心身の健康を保つことを保つために必要ではないかと、これは自戒を込めてそう思う。

皆様良いゴールデンウィークをお過ごしください 。


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