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立地が店舗成功の9割!?

23年9月にMinimalが新業態となるパティスリーを小田急線祖師ヶ谷大蔵駅(東京世田谷区)に出店しました。「お店の場所はどうやって決めているのですか?」とよく聞かれますので、お店の立地戦略に関して考えてみたいと思います。僕は立地で失敗をしているので、それにも触れます。

立地は店舗成功の9割!?

ちょっとおおげさに聞こえるかもしれませんが、これまで店舗や工房などを複数手掛けてきた僕自身の実感としては、決しておおげさではないかもしれないと思います。
それほど、立地は店舗の成功において重要な要素であると思います。

ただ、立地がすべてといっても、その立地を選ぶための、ターゲットや提供商品サービスなどがセットで立地がきまるので、立地も含めて、しっかりと考えて店舗出店を決める事重要です。

実際に、これまで僕自身は立地による失敗を経験しています。
一番大きな失敗と思っているのは、銀座店の撤退です。2020年秋にMinimalの銀座店を閉店しています。要因はコロナ禍による外出自粛で、銀座という観光地・商業地に人がこなくなり、いなくなったことです。

コロナ禍なので、仕方ないとおっしゃってくださる優しい声があるものの、立地によって店舗が失敗した例として僕としては大きな教訓となっています。店舗は物理的な場所が固定されるがゆえに、その土地に来る人の流れにより売り上げが大きく左右されます。

コロナという環境変化を予め予想することは極めて困難であるものの、日本の中でも一等地と呼ばれる銀座は、集客という意味で絶対に失敗しない立地であったはずですが、その分家賃が高く、コロナにより僕は銀座店を閉じるという決断をしなければなりませんでした。

絶対に失敗しないことはないという教訓がありながらも、それでも店舗における立地選びに失敗しないために、どのようなことを考えなければならないかを次項よりまとめてみたいと思います。

立地選びの観点①業態(商品サービス)

Patisserie Minimal祖師ヶ谷大蔵の商品

最初に補足すると、観点①②は鶏と卵の関係であり、どちらが先というわけでもありません。相関があるので、同時に考えて、行ったり来たりすることが大事です。

まず店舗を出すときにある程度決まっているのは、業態であると思います。もっと言えば、その業態で提供する商品サービスまではある程度決まっているのではないでしょうか?(具体的な細かい部分はおいておいて)

業態によって立地は大きく左右されます
まず一般的に業態により、売上や利益の予測ができ、家賃をどの程度まで支払う事ができるかが決まります。その結果立地はある程度絞られていきます。

一般的に家賃が高い場所は集客力があり、一等地と言われます。実際に大事な観点ですが、この辺は散々触れられることなので本noteではあまり触れません。

では、業態という軸から23年9月に出店したMinimalの祖師ヶ谷大蔵店を例に考えてみます。

祖師ヶ谷大蔵のお店は、Minimalにおける新業態である「パティスリー」です。新しい業態である「パティスリー=洋菓子屋さん、ケーキ屋さん」を出す際に、どんな立地にあるべきかなと考えました。皆さんも想像してみてください。

ケーキ屋さんで提供する商品は、言うまでもなくスイーツです。
大きく分類すると、ケーキやガトーショコラなどの生菓子と、フィナンシェやクッキーなどの焼き菓子などになります。

これらの商品をお客さんはどんな時に買うかというと、手土産や自分ご褒美です。そうなったときに、スイーツはどこで買うことが多いかと想起するのは、自宅の近くではないでしょうか
もっと言えば、最寄りの駅の近くのお店で買ってお土産でもっていく、帰りにお店に立ち寄って家族や自分用に買って帰るというルートが想起されます。(もちろん、わざわざ買いに行くという事ありますが)

そう考えると、ケーキ屋さんは人が住んでいる街の中にあるべきだという立地の観点が見えてきます。
その観点で祖師ヶ谷大蔵を見てみると、隣が高級住宅街成城学園がありながら、半径数キロに10万人以上が住んでいる住宅街にある街です。
「パティスリー」という業態を出店するための場所としては好立地であると考えられます。

立地選びの観点②顧客・ターゲット

Patisserie Minimal 祖師ヶ谷大蔵でスイーツを楽しむお客さん達

店舗を出すときに、その店舗におけるターゲットはだれであるかを明確に考えることがとても大事です。
言うまでもなく店舗はお客さんになしには成り立ちません。では、自店舗に来てほしいお客さんはどんな人なのかを考えて、そのターゲットのお客さんにとってよい立地に店舗を出すことが重要です。

Minimalの祖師ヶ谷大蔵店の例で考えると、まずMinimalというブランドのお客さんがどこにいるかという観点で考えて、データで分析をしました。

SNSも含めてMinimalといううブランドにおいて反応の良いお客さんは、地域別でみると、「世田谷区」「横浜市」が1位でした。2位が「渋谷区」

既存店舗が代々木八幡と代々木上原であることを考えると、「世田谷区」や「渋谷区」で立地を探すと親和性の高いお客さんがたくさんいる可能性が高いと考えました。

次に、ブランドターゲットとなるお客さん像を考えていくと、Minimalは20代後半~30代・40代の男女が最も親和性が高く、ライフスタイルにこだわりがある層をターゲットとしています。

上記を考慮すると、世田谷区や渋谷区の中でも、老若男女が幅広くいる地域が良いと考えました。特に30代40代の若い家族も多い地域を探しました。

祖師谷大蔵は、隣の成城学園という高級住宅街があるので、裕福でご年配の方々も多い一方で、広く住宅街が分布しています。大きな商店街が南北に延びて住みやすく、砧公園があり、さらには妊娠出産や小児向けの病院として大きな国立成育医療研究センターがあります。そのため若い世代の家族が多いのです。

立地選びの観点③立地分析・競合分析

①②である程度地域を絞り、具体的な物件がでてきて、物理的な物件条件が良く具体的に詰めていく段階に入るときに、立地選びの観点として忘れていけないことはその地域の立地分析と競合分析です。

まず立地分析から考えます。

これは具体的な物件候補がみえてきたら、具体的なデータをとって考えます。Minimalの祖師ヶ谷大蔵店の例であれば、小田急線の祖師ヶ谷大蔵駅の乗降人数や周辺の人口、男女や年齢などデモグラのデータを調べていきます。その中で、自店舗の商品サービスを必要としてくれるターゲットとなる層がどの程度想定できるかを予想して考えていきます。

次に競合分析において大事な点は、競合がいることが必ずしもマイナスの面ばかりであるわけではないという事です。

まず、地域を絞り具体的な立地で検討する際に、近くに同業態や、類似で競合になりうるお店があるかないか、あるならどの程度の数あるか、そのお店と自店は差別化できるかなどを検証しなければなりません。

やはり競合が多い地域にでるということは、それだけ成功する確率が下がります。

一方で競合がいない立地がいいのかというとここも慎重に考える必要があります。自店舗にとって良い立地であるにも関わらず、競合が全くいない場合は、「もしかしたら、自店舗の提供する商品やサービスのニーズがないのではないか?」という可能性があることを常に念頭に置いておく必要があります。

Minimalの祖師ヶ谷大蔵店の例で考えると、祖師ヶ谷大蔵駅の最寄りには、老舗の洋菓子屋さんが数件存在します。また、新しい洋菓子屋さんは駅から少し離れたところにすこしずつ増えていました。駅前はある程度家賃が高いため新規店舗はなかなか出にくいと考えました。そのため、街に昔からある老舗は駅前に、駅から離れた住宅街に新しい店舗があるのではと仮説を立てました。

立地条件や競合分析を経て、祖師ヶ谷大蔵という地域は、住んでいる人数や競合の数に対して、「パティスリー」とう業態はまだまだニーズがあり、成り立つのではないかと結論を出しました。

立地を決めたら、立地に店舗を馴染ませていく

このように立地を選ぶ観点を紹介してきました。
ある程度立地を決めるまでに分析をしていくことはとても重要です。
そして、いよいよ具体的な立地が決まったら、そこから本番です。
その立地に何度も足を運び、実際にどんな人がいるのか、平日休日、朝昼晩それぞれ人通りはどうかなど、具体的に街を観察します
そういう生の感覚と観察から、実際にお店での商品やサービスを本当に街に必要とされるように馴染ませていきます

上記の記事にあるように、環境が変化しつづける中で成功体験は通用しなくなりますし、大手企業のチェーンストアですら、出店立地を決めてからオペレーションやメニューを馴染ませていく努力をし続けています。

上記の記事からもわかるように、店舗ビジネスの難しいところで面白いところは、どれだけデータや事前に予想しても、全然予想通りにいかない点です。
だからこそ、立地を具体的に決めて、店舗をつくっていくプロセスにおいて、店舗事態を街になじませていくポイントを怠ってはいけません。

Minimalの新業態である「Patisserie Minimal 祖師ヶ谷大蔵」を例に立地戦略の考え方を見てきましたが、実際にこのお店がうまくいくかはまだまだわかりません。9月16日オープンから2週間経過の現在は連日売り切れというありがたい状況が続いていることが、このnoteを書いている救いとなっています。

立地の選び方に絶対はないですし、どれだけ変数を考慮に入れれるかはどこまでいっても難しいものです。
同じ街でも通り一つ違うだけで全然売上が違ってしまうということが当たり前のように起こります。絶対はないからこそ、どんな立地に、どんな街に自分たちの店舗を出すかを徹底的に考えなければならないと思います。

すこしでも、店舗立地を悩み考えている人に参考になれば幸いです。

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山下貴嗣_Minimalチョコレート
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