見出し画像

2020年第一四半期の中国動画プラットフォームの通信簿。ビリビリ動画の成長は止まらない

日本では動画やYouTubeがどんどん盛り上がってきていますね。最近こんな記事を見ました↓

YouTubeも凄いでしょうが、中国の動画プラットフォームも規模とサービスレベルではひけをとりません。ただ最近は様子が変わってきました。

外出自粛などの影響でさぞ伸びてると想像してましたが、現実はそう甘くはないというデータが出てきています。

■中国動画プラットフォームたちの最近

中国ではYouTubeは見れないことになっており、それに代わる動画のプラットフォームがたくさん競い合っています。以前中国の動画プラットフォームについて紹介したnoteはたくさん読まれたので、もうみなさんご存知かもしれません↓

これらのプラットフォームの2020年第1四半期の成績ですが、「芒果TV」(マンゴーTV)と「bilibili動画」は好調、「Tencent」「aiqiyi」「Youku」のビックスリーは苦戦とはっきりとした数字が出てきました。

画像1

QUESTMOBILEのデータによると「aiqiyi」「Tencent」「Youku」「MangoTV」「bilibili」の5社それぞれの2020年3月のMAUは5.7/5.4/3.8/1.7/1.12億(同比 +6.4%/+0.7%/9.6%/+51.1%/+32.0%)、2020年第1四半期の総加入時間は125.2/117.8/68.7/41.2/543億(同比 +1.9%/+17.7%/+1.1%/+65.7%/+67.7%)。

「MangoTV」「bilibili」の伸びが凄いことがよくわかります。

■「(aiqiyi)」の苦戦

中でもビックスリーの一角「爱奇艺」(あいちーいー)が苦戦が取り上げられています。

画像2

2020年第1四半期の総売上高は76.50億元(YOY+9%)で市場のコンセンサス予想の73.1億を上回ったが、28.75億元の赤字

「爱奇艺」は無料でもかなり動画を見れるのですが、基本的にサブスクビジネスとして成立してます。

画像3

第一Qの売上の中で、有料会員数が1億1800万人、前年比21.85%増で会員数は堅調に伸びてます。会員制ビジネスの収入は46億3400万元(前年比35%増)で、全体の61%とのこと。

それでも赤字なのは広告費の伸び悩みとコンテンツ代が莫大だから。有料コンテンツの生産と購入は会員からの収入をはるかに上回ってます。ユーザーにGiveしてることは素晴らしい、日本企業も見習うべきだと思うのですが相当な赤字額、このモデルでいつまでいけるのか不明です。

今後は、会員制「パッケージ」サービスを充実させることやVRなどにトライしていくそうです。1億の会員を誇るサービスですが、ライバルも同様に強力なので行方に注目ですね。

個人的にもよく使う動画サイトなので思い入れがあります、頑張ってほしい。

■一方で「bilibili動画」は絶好調

bilibili動画の伸びは何度も紹介してきましたね。2020のQ1も好調、売上高は前年同期比68.6%増の23.16億元、売上総利益は前年同期比180%増の5.31億元、売上総利益率は4四半期連続で22.9%に上昇しました。

好調の理由はゲーム、広告、ライブ、電子商取引などのビジネスでも大きく成長し続けていること。 ゲーム事業の前年同期比成長率は2019Q4の22.0%から31.7%に大幅上昇しました。

最近では、代理店向けにリリースした「公主连结Re」(Princess Connect)が4月17日にオンライン化されました。

画像4

広告事業は業界全体が苦戦の中でも健闘。さらに会員数も伸びてきています。

画像5

現在の公式会員数は前年比66%増の8200万人を達成。さらにbilibiliの強みはユーザーの愛を集めるプラットフォーマーであることにあります。一度使ってくれた会員がなかなか離れません。12ヶ月目の定着率は80%を超えているとのこと(定着率の定義があいまいですが)

更にソニーが出資する件も話題となりました。

ソニーの子会社であるSony Corporation of Americaがビリビリ動画に4億ドル(約436億円)を出資して発行済みの株の4.98%を獲得したと報じられました。これからもエンターテイメントの面(特にアニメとオンラインゲーム)での提携が推進されるでしょう。日本でも身近になりそうです!

以上が中国の動画プラットフォームの現状報告でした(もっと詳しく知りたい方は参考資料のリンクを読むかDMください)。

自粛 → 「家で動画見るよね、動画プラットフォームは爆益でしょう」と短絡的に考えてしまいがちですが、ライバルが競い合う中国での現実はそんなに甘くないようです。

そして、こんな社会の変革期にYoutubeやNetflixと競争するようなサービスが日本からも誕生して欲しいなぁと思いました。(と言いつつYoutubeにはとってもお世話になってます)

(参考資料)

https://finance.sina.com.cn/stock/hkstock/hkstocknews/2020-05-20/doc-iirczymk2614671.shtml


よろしければサポートをお願いします。Twitterも良かったらどうぞ! https://twitter.com/bijingbball