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いかがわしくあれ!伝説の名著『あのバカ』が復刊

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

スタートアップや起業というものが広く理解されるようになったのはここ10年くらいのことかと思います。現在であってもスタートアップというのはハードルが高く、国内における起業家人口はまだまだ少ないのが現状です。

スタートアップなんていかがわしい。真っ当な大企業に務めるのが望ましい。そう思う人がたくさんいるであろうことは理解できます。

しかしながら、未来をつくるのはいつだって起業家。そして高いリスクをとってそれを応援する投資家や資本家。そのエコシステムが、今日の社会の発展を支えています。縮小均衡という言葉がありますが、均衡という言葉に気をつける必要があるでしょう。なぜなら、世界市場全体でみれば成長しているわけであり、そこでの「均衡」は平均的な成長率と同等であることを指しているからです。自身だけみて均衡している(年間成長率ゼロ)ということは、市場と比較すれば下がっていることに他なりません。

投資家は基本的に利益が出ている、バランスシートを見れば分かる会社に興味があるわけです。我々が投資している会社で利益が出ているのは3~5%しかない。テクノロジーもまだ進化途中でビジネスモデルだってまだ柔らかくてほわほわしている。日本的常識で言えばいかがわしい会社だらけ。まあ、ソフトバンクも多くの大人たちはいまだにいかがわしいと思っているんでしょうけどね(笑)。

 誤解を恐れずに言えば、我々は若者や起業家に「いかがわしくあれ」と言っているぐらいなんです。世の中が「立派な会社だ、安心な会社だ」と思うころには、成長しない成熟した会社になってしまう。ですからまだまだ僕も、いかがわしくありたいと思っているんですよね。

 決算発表で「冬の大嵐の真っただ中」と表現したように、毎日が春では決してない。常に挑戦し続けて、少しはらはらどきどきするくらいがドラマがあって楽しいと思うんですけど(笑)。

日経ビジネス

日本のネット企業の歴史を紐解けば、ダイアルQ2ビジネスがその原点として挙げられます。1980年代後半、電話回線を使った情報コンテンツビジネス「ダイアルQ2」が一大ブームとなりました。ここで活躍していた起業家達がインターネットブームにシフトして成功を収めたのが第一世代でしょう。そしてWindows95のブームによってインターネットサービスが一般に行き渡り始めた1995-97年あたりに、若者たちが熱狂してはじめたネット企業群が第2世代。わたしはまさにこの熱狂の中におり、いくつかの個人事業や電脳隊などに参画した結果、今日までインターネットビジネスの中でキャリアを積み重ねてきました。

この熱狂の様子をまとめたのが『ネット企業!あのバカにやらせてみよう』という名著です。2000年に刊行されたこの本は、インターネット前夜の第一世代の起業家達のリアルな様子をまとめた痛快なビジネス書です。といっても、真実は小説より奇なり。破天荒な起業家達のリアルストーリーは、ビジネス書とくくるには面白すぎる話で溢れています。20年以上経った今でもその魅力は褪せることなく、次の世代の起業家に影響を与えています。

長らく絶版となっていましたが、この度なんと復刊されることになりました。しかも、当時のボツ原稿と新たなインタビューを追加したアップデート版です。私が関わっていた部分も含まれていることから、編集の方よりご恵投いただきました(ありがとうございます!)。

改めて読んでみると、本当にむちゃくちゃな話ばかりで、まさに「いかがわしさ」全開です(笑)。生々しいストーリーはむしろ今の我々にも勇気を与えてくれます。

インターネットの夜明けからの話は、日経電子版で連載されていた「ネット興亡記」をおすすめします。こちらもいかがわしさとダイナミックさ、そして、結局ひとりの人の想いが新しいビジネスを生み出すということを肌身に感じることでしょう。

GWの合間に、起業家たちの熱い想いに触れてみていただければと思います。


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※ タイトル画像は筆者撮影


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