18人しかいない皇族の一人、眞子内親王が「人生と心を守るため」に祖国を離れる決意をした本当の背景〜ジェンダーギャップ120位、男系皇位継承、夫婦別姓不可の日本〜
結局女性に優しくない岸田「アベがミックス」内閣で放置されるジェンダーギャップ問題
世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が2021年3月発表した男女格差を測るジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)において日本の総合スコアは0.656、順位は156か国中120位(前回は153か国中121位)だ。前回と比べてほぼ横ばい、先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となった。
ジェンダーギャップ指数において、G7各国が改善しているなか、日本はほぼ改善せず。
政治・経済分野において、どんどん発展途上国にも抜かれている。
低迷する株価
あがらない賃金
と並び、変われない失われた日本の象徴だ。
岸田総理も、今年4月の無役のときにはジェンダーギャップ指数の低さを問題視していた。
しかしながら、今回の2021秋の衆議院議員選挙においては、全く争点にしていない。(下記の政権公約日曜日の選挙に向けてさらっとでも目を通しておくべき)
キーワードとしても、ジェンダーギャップ問題は、数多くの政策キーワードとしても、「#畜産」、「#離島・半島振興」と並ぶ一つのキーワードとして「#女性」と書かれているだけ。
その「#女性」の政策の中身も、雇用の悪化、自殺、貧困、乳がん検診、性犯罪性暴力被害者支援等、あくまで社会的弱者としての女性を「支援」する内容だ。
多くの女性が訴える、男女平等、ジェンダーギャップ問題解消、男女共同参画社会や、選択的夫婦別姓の違憲等は言葉すら盛り込まれていない。
ジェンダーギャップ問題についてはほとんど触れず、伝統的な家制度存続・選択的夫婦別姓の反対の高市早苗政調会長等、自民党タカ派に配慮した政策となっている。
かつて菅氏が選択的夫婦別姓に賛成の立場を示していたことから、党内の賛成派が勢いづいた。ところが昨年末に決定した第5次男女共同参画基本計画の党内論議では、安倍氏に近い慎重派の激しい巻き返しで、第4次計画まで明記されてきた「選択的夫婦別氏制度」の文言自体が削除された。
結局、岸田総理も安倍元総理の意向が色濃く混ざり込んだ「アベがミックス」内閣だ。
日本において、ジェンダーギャップ問題が改善しない理由として、国民の無意識(Unconscious bias)に影響を与える日本にしかない2つの固有制度があると私は考えている。それは①男系のみの皇位継承、それと②選択的夫婦別姓を禁止し、夫婦同姓を強要する民法750条の存在だ。
①皇位後継者が危機的に少数になっても国家元首(天皇をして国家元首とするかは未だ結論付けられてないが)に女性がなる選択肢を認めない制度と、そして②夫婦同一姓でないと婚姻受理されず婚姻後96%の夫婦が男性姓を名乗るという事実は、国民の男女平等の意識に確実に影を落としている。
国家そのものが、制度上、男女平等を否定し男性優位を肯定しているのだ。
それらの制度は男女が平等であるとする憲法の精神に反している。
”婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。(中略)法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。”(憲法24条)
原因①男系天皇制と女性皇族の位置付け
まず最初に皇室が男系のみに皇位継承が認められている制度だ。
第1章 皇位継承
第1条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。(皇室典範、昭和22年1月16日法律第3号)
小泉内閣以降、皇位継承権を持つ男性皇族が少なく、また女性皇族も結婚等を期に皇族から離れていくため安定的な皇位継承策を議論する有識者会議が度々開かれてきた。
有識者の結論は、一貫して安定的な皇位継承のためには、女性天皇を認めるべき、さらには女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」の創設を求めるというものだ。また、国民の意識も女性天皇を認めるべきとの意見が多数を占める。
2019年4月の時事通信の世論調査では、「男系男子に限られている現在の皇位継承資格を、女系・女性皇族にも広げるべきか」を尋ねたところ、「広げるべきだ」が69.8%だった。「広げるべきではない」は11.2%、「どちらとも言えない・分からない」は19.0%だった。 また、同年5月1,2日に共同通信社が実施した全国緊急電話世論調査によると、女性天皇を認めることに賛成は79.6%で、反対の13.3%を上回った。
ヨーロッパの王室では、男女関係なく第1子が王位継承者になるのがもはや主流だ。ヨーロッパでは7カ国に王室がありイギリスとデンマークは現在女王が在位している。さらに、スウェーデン、オランダ、ベルギー、スペインでは、王女が第一位の王位継承者として控えているので、今後続々と女王が誕生する見込みだ。
各国とも、1980年代以降、男女共同参画の潮流に従い長子継承に法改正を行い制度整備を行った。要するに、男女共同参画社会と謳いつつ、元首が男性しかなれない、もしくは男性が優先されるのは矛盾だという判断だ。2010年イギリスにおいても「王位継承順位において、男女は平等であるべきですか」との世論調査があり平等であるべき思うと回答した人が70%となった。デービッド・キャメロン首相は男性優先の王位継承について「異常であり、男女平等に反する」と述べ2011年王位継承法の改正し施行されている。
有識者会議が、皇室の安定的存続から、女性宮家の創設と女性天皇を認める意見を述べ、国民の大多数がそれを支持しているなかで、自民党政権は、小泉政権以降、第1次2次安倍政権、菅政権の時も、ひたすら
「静かな環境の中で、検討が行われるよう配慮していく必要がある」
とし問題の先送りをしてきた。
原因②「選択的夫婦別姓」と内親王臣籍降下
皇室の男系相続と、眞子さんなどの内親王の婚姻による臣籍降下は、日本独自の「家(イエ)」制度の問題だ。
そしてその問題は「選択的夫婦別姓」の議論にも行き着く。
保守系の人にとって「家」は社会の基本単位であり、その家長は皇室と同じく男性であり男性が相続するものだ。その「家」の集合体が日本でありその頂点に、万世一系の天皇家が存在すると考えている。「女」性は「家」に入って家の女としてまさに「嫁」(ヨメ)になるのだ。「家」に別々の姓が存在するという事態は、それは「家」ではないという論理になる。
皇室の内親王であろうとも結婚したら他の家の嫁、小室眞子となり皇族という「イエ」からは離れる。これまでの戦後結婚した6人のプリンセスは、出雲大社の権宮司千家家、島津家、近衛家、千家(宗室)」等、旧華族か皇室ゆかりの家柄に嫁ぐ事が多く国民はそれを祝福してきた。天皇陛下、秋篠宮皇嗣殿下の妹、清子さん(サーヤ)の夫、黒田さんは東京都職員だが、学習院で秋篠宮殿下の初等科からの御学友、紀子様のサークル仲間だ。
いわば皇室や旧華族や学習院のインナーサークルのなかでプリンセスは臣籍降下されてきた。
眞子様とメディア・ネット誹謗中傷との戦いと「複雑性PTSD」
それが今回は、全くインナーサークルの外の一般家庭(しかもやや問題がある)への臣籍降下だ。仮に母親の金銭問題がなくても、SNS時代に様々に取り沙汰され炎上する可能性は高かったように思う。今回の騒動は小室家の金銭問題や母親の奇行等が面白おかしく取り沙汰されたのがきっかけだが、メディアとSNSが皇室の当事者を精神疾患に追い詰める程炎上させた。
「国民感情としては説明不足」、「国民は納得していない」という言葉によるメディアの攻撃が続いたが、マスコミが使う「国民感情」ほど適当なものはない。「説明が不十分だ」というのは、「まだまだ記事になるからネタを寄越せ」でしかない。小室圭氏は、文章で経緯説明している。
ネット民の誹謗中傷は「国民の感情」などではない、視聴率・ビューを稼ぎたいメディアやYouTuber、ネットいじめの匿名発信者の犠牲に眞子さんはなっただけだ。ネットのいじめは、芸能人・公務員等有名で反論できない立場の人を安全な場所から叩くのが常套手段だ。それも特権階級のイメージがあればあるほど、いじめの快楽はビューは増す。ヤフーコメント欄の多くのコメントは反論できない個人への誹謗中傷だ。いじめが起きたときに、いじめられた対象が、何をどう説明しても炎上は終わらない。炎上させ続けることが目的だからだ。
宮内庁は、結婚前の眞子様は「複雑性PTSD」だと異例の公表をした。
精神科医の和田秀樹は、本当に複雑性PTSDだとしたら自傷行為や多重人格状態に陥るほどの大変な重病だとする。「複雑性PTSDは言葉の暴力、インターネット上の攻撃、いじめ、ハラスメントでも起こると、診断したのは拡大解釈だ」としたが、実際に深刻なPTSDの可能性が高い。
前日10/25の19時に、急遽会見の記者との質疑応答が取りやめになった。「質問のなかに誤った情報が事実であるかのような印象を与えかねないものが含まれていたことに強い衝撃を受けられたから」という。
実際に取りやめになった記事にも15,000件以上、「内親王が国民への説明から逃げるのか」等、コメント欄が非表示になるほど誹謗中傷が殺到した。
皇族にとってのネット中傷は一般人と同じに片付けられない。唯一の機会になるかもしれない自身の結婚と育った皇室の品位に関わることだ。
恐怖心が再燃し心の傷が更に広がりそうで、口頭で質問にお答えすることは不可能であると思いました。誤った情報が事実であるかのような印象を与えかねない質問をいただいたことは、誠に残念に思います。(【はじめに】【日本雑誌協会質問への回答】で2度言及)
一番大きな不安を挙げるのであれば、私や私の家族、圭さんや圭さんのご家族に対する誹謗(ひぼう)中傷がこれからも続くのではないかということです。
否定的な報道やインターネット上の書き込みについてですが、誤った情報が、なぜか間違いのない事実であるかのように取り上げられ、いわれのない物語となって広がっていくことには、強い恐怖心を覚えました。
複雑性PTSDについては、結婚との関係で公表することを決めました。現在の体調は決して良くありませんが、周りの方々の助けにより何とか今日まで過ごしてこられました。
回答の全文を読んでも昭和の頃の皇室ジャーナリストと皇族の親密な慶事のやりとりではない。想像以上の激しい言葉が並んでいる。
祖母美智子皇太后や母紀子様と違い生まれついての内親王として特別のお育ちと境遇が、一般人に計り知れない精神的ダメージ与え「複雑性PTSD症状」を現に起こされているとしてもおかしくない。
「幸せな時も不幸せな時も寄り添い合えるかけがえのない存在であり、結婚は、私たちにとって自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択です」
一人の優秀な女性が「人生と心を守る」ことができない日本
そして結婚は「心を守る」ために「必要なこと」と最後に話して、結婚を期に日本を離れることを決意したのは眞子さんだ。
”圭さんが将来計画していた留学を前倒しして、海外に拠点を作って欲しいと私がお願いしました。”
「この国を逃げましょう。誰も知らない国で一緒に静かに暮らしましょう。」といったのはこの私だ、と公式に宣言したのだ。
もし仮に、女性宮家の創設が認められ、夫婦別姓が選択的に皇室にも許容されていれば、今日から小室眞子さんとなられた元内親王は、ここまで精神的に追い詰められ日本を離れることもなかったかもしれない。
新しい女性宮家の長として、〇〇宮眞子殿下として、別姓の小室圭氏をパートナーとして幸福な家庭を築きながら、国際親善や公務を行いつつ日本の皇室の一員として将来の天皇となる弟(悠仁様)かいとこ(愛子様)を支える存在であり続けることができたかもしれない。
皇室において選択的に別姓でパートナー関係になることで、一般庶民の小室家に嫁ぐといったことからのバッシングも緩和されたかもしれない。(外部から女性でなく男性が皇室に入ることへの別のバッシングはあるかもしれないが、天皇家でなく宮家だ。」
日本国民は、上皇陛下の初孫、18名しかいない皇族の聡明なお一人を、こころから祝福できない形で失った。渡米後は現地で共働きで暮らされるそうだ。日本に帰国されることも、ほとんどないだろう。我々が、再びお顔をみることも。
本当に日本を愛する国民は、
・ジェンダーギャップ指数が世界120位で下がり続け
・96%の夫婦が男性姓として婚姻届を出す状態、婚姻時に苗字を選択する権利すらない事実が、男女平等を謳う憲法に違反しないと最高裁が判断し、
・6人しかいない結婚適齢期の内親王の一人が「人生と心を守るために」「愛する人と」祖国日本を離れる決断をした。
この事実の重みと背景を理解し噛みしめる必要があると思う、
お二人の記者会見を観て強く感じたこと。