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アナログなデジタルネイティブ世代は、将来の国際競争で戦える人材に育つのか

仕事で使うデジタルと遊びで使うデジタルは違う

今の20代前半よりも若い世代は、デジタルネイティブと呼ばれることがある。生まれたときからスマートフォンがあり、SNSに慣れ親しんだ世代だ。デジタルネイティブという言葉の響きには、インターネットやSNSが当たり前の世代のため、常にデジタルツールに触れ、一見するとそのまま仕事でもDXの担い手となってくれそうな期待感もある言葉だ。しかし、大学教員として実際に学生と触れていると思わず首をかしげたくなる場面も多い。それというのも、テクノロジーに疎い学生が非常に多いのだ。

日本経済新聞の記事でも、現場感覚を後押しするような結果が出ている。パソコンやタブレットを学校以外で使う子供は少なく、企業が求めるようなデジタルコンテンツを作成するようなクリエイティブな活動も行わない。加えて、日本の現状は諸外国と比べたときに明らかな低水準にあるという。つまり、自主的に将来の仕事に役立ちそうなデジタル・スキルが身についていない可能性が高い。

エンジニアとテクノロジストは違う

DXで重要な役割を果たす人材は2つの種類に分けられる。1つはエンジニアであり、もう1つはテクノロジストだ。
エンジニアは一般的に使われる用語とほぼ近しい人たちだ。テクノロジーに精通し、技術者として製品やサービスを開発し、保守・運用に携わる。実際にコードを書いたり、最新のツールを使いこなす。
もう1つのテクノロジストは、起源としてはピーター・ドラッカーの提唱するマネジメント理論で取り上げられた概念だ。先端技術について詳しく、新技術に関する情報を広く集め、ビジネスとしての付加価値を生み出す専門家だ。彼らは必ずしもコードを書いたり、直接作業をして製品やサービスを作り出すことはしないが、技術を基として価値を生み出すことに長ける。一般的な印象で言うと、ビジネススクールなどで教えるMOT人材のイメージに近い存在だ。

学生の現状をみていると、テクノロジーは遊びで使うものか、エンジニアを目指す人が特別に勉強をするような印象を持っている人が多いように思われる。しかし、実際のビジネスではテクノロジストとしての素養を持つことが重視されている。
特に、欧米やスタートアップが盛んな新興国では顕著だ。新しいテクノロジーに対する開かれた姿勢と好奇心は、多くの企業で必須に近い人材要件として設定されていることが多い。
子供たちや若者への教育において、テクノロジーとの向き合う姿勢や付き合い方について、既存のアプローチの見直しが必要だろう。


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