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AIにデータは必要か

 毎日のようにデータの重要性を強調した記事が新聞他のメディアで取り上げられている。実は、この議論に私は同意しない。
 約5年前、AIのブームが始まった。そして、この5年間に、実ビジネスへの適用も始まっているし、そのための人材の育成なども始まっている。そして、AIの活用にはデータが必要で、データを大量に持っている会社や国が強いという議論になっている。
 私は、これが違うと思うし、しかも、現在のAIの活用は、間違った方向に進んでいると思っている。
 現在のデータやAIを使っているケースは、多くの場合、大量のデータを集め、それを使って、過去の成功を繰り返し、過去の失敗を避けるために使っている。
 よく考えてほしい。上記のやり方では、所詮過去にやったような答えしか出ない。あるいは、実績や経験があることに関して、間違いを減らすことにしかならない。意味がないとは言わないが、あまり重要な問題だとは思えない。
 なぜなら、過去に大量の経験(データ)があった問題はもともと間違いにくい問題である。しかも、そんなに何度も経験している問題は、AIがなくてもうまくやる方法は沢山ある。仮にAIなどなくても、結果に影響が少ない問題なのである。
 むしろ価値の高い問題は、データや情報が限られる中で、未来に向かって的確に判断し、行動を起こすことである。未知の未来に向かって進む方法を見出すことである。こちらの方が、個人にとっても、企業にとっても、国にとっても重要である。
 従って、データが沢山ある問題ほど、解いた時の価値は低いのである。データが大量にある問題は解いても価値が低く、データがあまりない問題は解いたときの価値が高いのである。すなわち、関連するデータの量と解けたときの価値は反比例するといってもよい。
 データがないとAIが使えない、というのは、AIのことを知らない人の議論である。AIの価値はデータのあるなしには、全く関係ない。むしろ、データの少ない状況で、少ない情報から多くを学び、より確率の高い次の手を打つことを可能にするのが、AIの本当の威力である。
 既に我々が公開しているブランコや鉄棒をゼロから学んでいくデモでも、事前にデータは一切使っていない。これは、アルファ碁(アルファゼロ)でも同じである。
 だからデータを大量に持っているかどうかなど、重要ではない。データが沢山ないといけない、といっている人は、過去に何度も経験している問題に対し、更に精度を上げようとしているからである。それは価値がないとは言わないが、価値の低い問題なのである。
 そろそろ考え方を変える時だ。
https://www.youtube.com/watch?v=q8i6wHCefU4

 

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AIと人間社会行動や幸せについて研究しています。これがAIと合わさって大きなな変化をもたらすと考えています。著書『データの見えざる手:ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』http://amzn.to/1mgfZHF http://bit.ly/Unmhs6
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