実際に会うことの重要性とVR
某大学とのプロジェクトチームの中で、焚き火いいよねと、共有された記事がとても興味深いものでした。人との物理的距離が、チームとしての連携、創発、イノベーションなどへ影響するというもの。いま関わっている医療VRと相互正客という二つのプロジェクトから面白く感じたので、まとめてみたいと思います。
正客というシステムの役割と価値について前回書いてみたのですが、これをベースに「相互正客」という対話づくりを試みています。世界のありようを探求する人、未来の世界を追求する人。そうした人々同士が、互いの世界観を解釈し合うことによって、相互にアップデートされていく場。これについては、また別の機会に詳しく書きたいと思いますが、今回はそうした試みと先の人との物理的距離について書いてみたいと思います。
相互正客という解釈し合う形についての模索と、茶室的な狭い空間での実施について、先の文章を読むと、やはり意味がありそうだと思えます。茶室効果とでも言えそうです。
先日、プロジェクトメンバーでオンラインディスカッションをしました。東京、シンガポール(二箇所)、サンフランシスコという4箇所に分かれての参集しました。結果としては、狭い茶室に集まって膝付け合わせてやれたら、また違った空気感になったのだと思いました。話している際の、聞いてくれているであろう相手の空気感が分からず、ライブならではの創発が起きづらいように感じました。共に無言で感じあったりする「間」を持つことが難しかったのかもしれません。
最近はVR空間に遠隔アクセスする会議スタイルも出てきています。VR空間の「そこにいる感」は、かなりのものです。あえて狭いVR空間をつくることで、茶室効果を生むこともできるかもしれません。
また、医療VRでは人体の中に入り込むことができます。これもかなり不思議な感覚です。例えば、頭蓋骨の中に入り、脳動脈瘤を見るときなど、大きな頭蓋骨の中にいるのか自分が小さくなっているのかがわからなくなるというか、そうした大きさの概念自体が気にならなくなるというか、不思議な感じがします。この頭蓋内に遠隔からダイブすることで、茶室効果をもつ遠隔カンファレンスが実現するのかもしれません。
そこには、身体性を伴う参集が求められ、場と身体との密度が大きく影響しそうです。この身体性をどのようにVR空間に持ち込むことができ、それによってどのような体験の変革が起きるのか。ここがとても面白いタイミングだと思って注目しています。
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