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いい対談を生み出す"邪道な王道"ファシリテーション術

 Potage代表 コミュニティ・アクセラレーター、そしてVoicyパーソナリティの河原あずさです。Voicyでは「つながりをデザインするコミュニティ思考AtoZ」という番組を2022年3月13日から毎日配信し、約650回の配信数を積み重ねています。たくさんのリスナーに日々聴いていただき、本当にありがたく思っています。

 10月には、COMEMOでも書いた「Voicyフェス2023」というイベントに登壇しました。おもちゃクリエーターの高橋晋平さんと「どうしてもやりたい企画を通すには」というテーマで40分の対談トークを行い、たくさんの方に聴いていただきました。Voicyパーソナリティとして、12,000人の有料観客が集まる日本最大規模の音声フェスへの対談は名誉なことで、2023年の一番の思い出と言ってもいい出来事でした。聴いて頂いた皆様、本当にありがとうございました。

 僕らの対談の他にもたくさんの対談が行われ、総勢70名近くのVoicyパーソナリティや特別ゲストが登壇しました。僕自身も1リスナーとしてたくさんの対談を聴き、笑い、泣き、大いにうなずき、学びを得ることができました。

 その過程で感じた「いい対談の条件」があります。それは対談するスピーカーの方々の目線の高さが一緒であることが大事だということです。

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 例えば、Voicyフェスの対談の中には、業界ですでに有名になっているカリスマと、その人に憧れる人というコンビが対談をするケースも存在していました。そのような組み合わせにおいても、先輩後輩や、有名無名など、そういう条件の違いにかかわらず、同じ目線で立って相手に食らいついていける人がいい対談を作れるし、話し手としての、ファシリテーターとしての、対談相手としての力を発揮できると思うのです。

 僕は、ファシリテーター稼業で食べている人間なので、色々な方々との対談、インタビューなどの「対話コンテンツ」を作ってきました。その中で意識してきたことが、この「相手と同じ目線にいかに立てるか」ということなのです。

 例えば、僕がファシリテーションしてきた相手には、上場企業の社長や役員などの経営者の方もいました。ベンチャー企業のCEOもいました。本を何冊も書いてる著名な方もいるし、業界の第一人者の方もいるし、いろんな方々と「対話」を作ってきたわけです。

 そこで大事なことが「相手と同じ景色を共有する」ことなのです。同じ景色を見せていくことで、対話相手に「共感」が生まれて「この人と話していると気持ちよく喋れるな」という状態を作っていくことが大事だと僕は思っています。

当記事の元となっているVoicyでの配信です。合わせてぜひチェック下さい!

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話の流れに新たな波を生む「邪道な王道」対談

 プラスアルファで僕がファシリテーターとして大事にしていることがあります。それは「いい聞き手では終わらない」ということです。

 僕が好きな漫画に「バクマン。」という作品があります。漫画家を目指す中学生がコンビを組んで、日本一の漫画雑誌である「週刊少年ジャンプ」の人気漫画家になっていくという、青春漫画ストーリーです。

 この漫画の中では、世の中の漫画を3種類のカテゴリーに分けて説明する場面が出てきます。それが「王道な漫画」「邪道な漫画」「邪道な王道」の3つです。

 まず、王道な漫画はどのようなものかというと、今のジャンプで例えると「ワンピース」昔で言うと「ドラゴンボール」などの、「ジャンプといえばこれだよね!」という印象がわく王道作品のことです。

 では邪道な漫画とはどのようなものかというと、例えば「デスノート」や「呪術廻戦」「暗殺教室」などの、いつもの少年ジャンプとはちょっと違う、ひねったテイストの作品のことを表しています。

 3つめが「邪道な王道」漫画です。これは作中で主人公たちが新しく切り開いた漫画のカテゴリーで、既存の作品で説明するのが難しい概念です。「バクマン。」では主人公2人組がペアで漫画を書いていきますが、その2人が、王道漫画をすらすらと描けるジャンプのライバルたち=息を吸って吐くように誰もが面白いと思う漫画描ける天才たちが跋扈する環境の中で、彼・彼女らに勝っていくために選んだのが「邪道な王道」というジャンルの作品なのです。

 「邪道な王道」というジャンルをファシリテーションに例えるとどういうことかと言うと、要するに「まっすぐ進まず、ただでは終わらない。けれども聴き終えた感じは「いいものを聴けた!」という爽快な感触がある」対話だと僕は考えています。そして、僕が目指したい理想の対談は、まさにこの「邪道な王道対談」なのです。

 ファシリテーターとして臨む時は、「邪道な王道」トークをつくるために、時々寄り道をしたり、時々コンテキストをずらしたり、時々ちょっとした跳躍を対話の中で作っていくことが多いです。けれども一方で、出てくる結論やメッセージは「まっすぐなものを出す」ことが多いのです。

 僕がファシリテーションをした今までの色々な対話コンテンツを振り返ってみた時に、自分のこだわりは、その「邪道な王道づくり」にあるなという風に改めて思います。

 「邪道な王道」対話コンテンツの進め方は、ある意味「邪道」です。ちょっとぐねぐねしたり、斜めの角度からの質問入れたり、一見聞きづらいことを聞いてしまったり、そういう、ちょっと聴き手がハラハラするような展開を混ぜたりします。

 ただの邪道な対談においては「斜めな結論」で終わったり「ふわっとした展開」になって「なんか不思議な感じだったけど、これはこれで面白いかもな」というサブ感やB級感が出てきます。これはこれでいいのですが、僕は、聞いた後の感触としては「なんかすごい気づきのあるいいお話を聞けたぞ!」という感覚を聴き手に提供したいのです。

対等な目線で織りなす深い対話の技術

 僕は、対談コンテンツづくりにおいて「相手との対等な目線」に強くこだわっています。その理由はこの「邪道な王道」を作りたいからなのです。

 そもそもの話として「王道なインタビュー」は、ファシリテーターがいい聞き手であれば作れます。もうちょっと言い方を変えると、対談相手を敬って先生扱いして「先生教えてください!」というスタンスで、ひたすら話を聞いてたら、聞き上手かつ引き出し上手な方であれば、いいインタビューが作れるのです。

 それはそれでとてもいいことなんですけど、ファシリテーターとしての僕は、それだと物足りなさを感じるのです。

 では「邪道な対談」だとどうなるかというと、ちょっと斜めの目線でずっと進めていくので、フラットというよりは、どちらかというと自分が相手の流れみたいなものをちょっとコントロールしていこうという「思惑」が働くことが傾向として多い気がしています。

 これも決して悪いことではないですが、僕の場合は対話全体のメッセージは王道でまっすぐなものにしたいので、相手の目線に寄り添いながら、その王道なメッセージにつなげていくチャンスというのを伺って話を進めます。そのようにして、相手が話していく中で新しい発見が生まれる状態を担保して「こういうことが大事ですよね!」という種の共感を作って、最後の結論に落としこんでまとめていくプロセスを作ることに、こだわりを持っているのです。

 そのため、僕はどんな相手であろうとも、相手と対等な目線で、多少自分に下駄を履かせてても対談に臨んでいきたいといつも思っていますし、雑談と対談の違いを生み出すのはその「対等な目線づくり」にあると心の底から信じています。

遊び心を持った対話が革新的アイディアを育む

 「バクマン。」になぞらえて色々書いてきましたが、対話を進めるうえで、僕がファシリテーターとして特に重視しているのは「相手の話をただ聞くだけでなく、その中に潜む可能性を引き出すこと」です。相手が話す内容は、表面的な言葉だけではなく、その背景にある思いや情熱、未来へのビジョンなどに焦点を当てます。これはただの質問応答では得られない、深い理解と共感を生むために必要なステップです。

 僕の経験からお伝えすると、対話の中で「予期せぬ発見」を導き出すことが、対談を豊かで価値あるものに変えるカギです。このプロセスは、対話相手の言葉の背後にある「本当の意味」を読み解くことから始まります。時には対話相手が意識していなかった思考や感情を掘り起こし、新しい視点やアイデアを生み出す機会を提供することがファシリテーターとしての役割です。

 また、対話の中で相手を尊重し、その人らしさを最大限に引き出すためには、やはり、対等な立場で臨むことが不可欠なのです。対話相手をただの情報源としてではなく、共に成長し、共に学ぶパートナーとして接することで、対話の質は格段に向上します。この姿勢こそが、信頼関係を築き、お互いの成長につながるのです。

 僕は、ファシリテーションを通して、対話の中で「一緒に学び合う」文化を育むことを目指しています。お互いがお互いから学び、刺激を受け合うことで、単なる情報交換を超えた、創造的で革新的なアイディアが生まれる環境を作り出します。これは、個人だけでなく組織全体の成長にも大きく貢献すると信じています。

 最後に、僕が皆さんに伝えたいことは、対話の中で「遊び心」を忘れないように、ということです。硬い話題であっても、遊び心を持って接することで、新たな発見やアイデアが生まれやすくなります。自分自身が楽しむことで、相手も楽しみ、結果として対話が豊かなものになります。「邪道な王道」は、この「遊び心」が発揮されるからこそ、発見に満ちた対話を生み出せるのです。プロフェッショナルであることと、遊び心を持つことは決して矛盾しません。どちらも大切にしながら、対話を通じてお互いが成長し合える関係を築いていきたいと思います。

当原稿は「ファシリテーターAdvent Calender2023」の記事として制作されました。

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※編集協力 横田真弓(THE MODERATORS & FACILITATORS受講生)
※この記事の一部はChatGPT(GPT-4)を活用して執筆されています。

※カバー画像について
Canvaの生成AIアプリ「マジック生成」で「日本人の黒いハットをかぶり眼鏡をかけた天才ファシリテーターと、ハリウッドの有名な映画俳優(白人の女性、帽子はかぶっておらずドレスで着飾っている)がステージ上で対談をしています。観客はヨーロッパ系の白人で、拍手喝さいしています。ホールの中で天才的な対談に魅了される人たちの客席と、ステージの様子を描いてください」という指示文で作成した画像です


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