パリ暴動の読み方

パリ暴動はついに増税取り止めの決断にまで至りました。この裏側ではメルケルなきドイツおよびEUの第一歩とも言えるCDU党首選が実施され、とりあえずはクランプカレンバウアー勝利によって現状維持を決めました。しかし、2大国の元首が揃って同時退場に追い込まれそうというのはユーロの歴史上、実は初めての事です(メルケルが18年も党首をやっているので当然なのですが)。

思えば、マクロン大統領が華々しく就任した2017年5月はトランプ大統領誕生やブレグジットを受けて米英政治が混乱を極め、「ドイツのメルケル首相とフランスのマクロン大統領が欧州だけではなく世界の政治をリードし、安定を取り戻していく」という評論が現実味をもって展開されていました。市場もそれをあまり疑わなかったからこそ、2017年は春先からユーロが実効ベースでも上昇していたわけです。しかし、1年半余りで風景は激変してしまいました。

今後についてはパリ暴動がマクロン退場に繋がる展開は当然懸念すべきものであり、合理的に予想されるものです。しかし、パリ暴動から地続きになる最大の問題は独仏という2大国の一角で「リベラルに賭けてみたけどやっぱりダメだった」という空気感が醸成されてしまったことでしょう。次期フランス大統領選挙まで目をやれば、あまり考えたくない光景が拡がっていそうです。そしてそれはその他加盟国のポピュリスト勢力にとっても追い風となるでしょう。ドイツにしてもクランプカレンバウアーは「メルケル2.0」だとか「メルケルのコピー」だとか言われている以上、極右は付け入る隙を大いに見出していそうです。

2018年、相場は静かな年でしたが欧州政治とっては極めて重要なターニングポイントになった年ということで記録(記憶)されていくのではないかと思います。



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