見出し画像

サステナブルの世界的需要の高まりをリサイクル最先端の日本企業は掴めるか?【第24回日経フォーラム 世界経営者会議_ザ コカ・コーラ カンパニープレジデント 兼 CFOジョン・マーフィー氏】

ありがたいことに、今年も日本経済新聞が主催する『第24回日経フォーラム世界経営者会議』をオンライン視聴させていただく機会を得ることができた。世界に名だたるグローバル企業の経営者による講演は、非常に聞きごたえがあり、どれも素晴らしいものだった。その中でも、『第24回世界経営者会議』を視聴して、特に気になったスピーチを5つ選び、考察をしていきたい。
第5回目は、ザ コカ・コーラ カンパニープレジデント 兼 CFOジョン・マーフィーによる「不確実な時代における新たな成長戦略」だ。

不確実性が増す世界の中で変わり続ける

コカ・コーラと言うと、知らない人はいない世界で最も有名な清涼飲料水だ。世界中のどこにいっても流通し、圧倒的な人気を誇る。その一方で、同社は独自の商品開発や環境変化への適応にも躊躇なく、変わり続ける会社としても知られる。例えば、ミネラルウォーターのいろはすやラベル無しペットボトルなど、日本の市場に合わせた商品開発にも余念がない。歴史と伝統のある大企業では、変化に対して保守的な姿勢を示すのかと思いきや、そうではないところが世界トップの飲料メーカーで居続ける要因の1つなのだろう。
コロナ禍にあっても、同社の変化への対応力は変わっていない。世界中の人々の生活と働き方が変わる中で、それにふさわしい商品を創り出している。夫婦のみや核家族が増える中で大きなペットボトルよりも、1人で気軽に飲み切ることができる小ぶりなペットボトルの需要が高まっている。また、世界的な健康意識の向上から、ダイエットを意識した商品の開発にも注力しているところだ。

「サステナブル」が重視されるなかで日本の強みが活きる

私たちの生活が変化する中で、近年、最も大きな変化であり、今後より重要度が上がると考えられているのがサステナブルへの対応だ。特に、大手コーヒーショップチェーンがプラスチック製のストローを廃止するなど、プラスチック製品による環境負荷を減らそうという試みはこれからも激しくなると思われる。
日本のプラスチックゴミの1人当たり廃棄量は世界第2位であり、アメリカに次いでいる。そのうちの約4割が使い捨てプラスチック容器だ。一方で、プラスチックゴミのリサイクルの割合は約8割を超えている。これはペットボトルのほうが顕著で、約9割がリサイクルされている。欧州でも4割弱、米国では2割弱なことを考えると、日本のリサイクルの比率は世界でも最先端だと言える。
つまり、日本は大量のペットボトルゴミを廃棄しているものの、その多くをリサイクルとして有効活用していると言える。日本コカ・コーラは、このような日本の方針を支持し、広めていくべきだと述べている。

いたずらに脱プラスチックを標榜するよりも、既にある優れたリサイクルの仕組みを発展させるべきだという。ザ コカ・コーラ カンパニーが2018年1月に打ち出したグローバルプランでは、「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」を実現するために、「2030年までに、世界のコカ・コーラシステムが販売する製品と同等量の容器を100%回収し、すべてリサイクルする」という目標を設定している。その取り組みの最先端を行っているのが、日本のリサイクルの仕組みだ。
サステナブルな社会を実現するために、そのアプローチ方法はいくつもある。日本は今持っている得意なところを大切にし、世界に啓蒙していくことも重要な戦略だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?