中国で感じるClubhouseの温度差。中国の類似サービスの歴史から未来を予想
最近アメリカや日本ではClubhouseについて盛り上がってますね。noteユーザーの方はトレンドに敏感だと思います、もうだいぶ使いこなしているでしょうか?僕も夜な夜なイーロンマスクをClubhouseストーキングしたりしてます。
招待枠がメルカリで1万円超えだったなんて記事も見ました、熱狂ですね。
しかし、この流行についてオフィスの中国人研究員たちに聞いたら、「YYじゃん!」(のちに紹介します)「これが次世代のSNSになるの?今更?何が面白いですか?」と全く予想外のコメント。
ということで、今回は中国でClubhouseがどう思われているか、流行るのかどうかについて調べてみました。
早速僕がいつもチェックしているWeiboとZhihuのトレンドを↓
↑Weiboはランキング50に入りました、ギリ!
↑Zhihuのランキング50にも入ってない。見つけたけど関連質問に24の回答しかないです。(2/1現在)
↑そしてWeiboでは辛口コメント多数。「誰がお金出してトレンド買ったの?」「わけのわからないトレンドだ」「国内ストアにないアプリが話題になれるの」「話題作り?」などの意見が。
そしてやはり、「YYじゃん!」という声が多いです。
↑「Clubhouseはyyじゃないですか?特に昔のものだけどyyはこれでなんとかできないかな?海外で人気になったから。でもこういう機能は珍しくないでしょ、売れるかな?」
↑「(人気の)理由がわからない、中国の音声ライブと変わらないじゃないですか。」
↑「わけわからないですが、Clubhouseなんで流行ってるの?誰か招待してよ、見学に行ってみたい。」
↑ (Clubhouse Inviteが高く売れることに)「YYと一緒だよね」「なぜに人気あるの?有名人が使ってる?」
↑「Clubhouseみてきましたが、高校時代に使ったYYとあまり変わらないですね。
ー5年以上使ってないわ
ー10年かも」
↑「Clubhouseって国内の音声チャットアプリや、大昔のYYと何か違いがありますか?(やばい、年齢バレる)
ー同感です。すでに捨てたものだし
ー招待制で接続も安定しない時があるって、ルネッサンス?
ー YYと似てますね。今の国内の音声アプリはよほど機能がいいです。
ーYY中学の時使ったな。もう大学卒業しましたよ、Clubhouseみたら10年前にタイムスリップしたかと。」
↑「中国には似てるものあるの?
ーとっくにあったぜ。YYとか
ー2000なん年くらいの時に結構やったよね
ーテンセント会議や釘釘とか
ー(ライブ中継アプリ)虎牙の前身のyyとか、Tsとか、ゲーマーなら知ってるぞ」
とまぁなかなかな酷評ぶり(ちなみに中国のストアにはないから僻みも笑)。頻繁に出てきたなぞの「YY」を簡単に紹介しますね。さすがに十数年前の中国インターネット事情なのでリサーチしました。
YYというのは、広州の「欢聚时代」という会社が2008年にリリースした音声IM。元々ゲーム系情報サイトを運営している会社で、ゲーマーのニーズに合わせて開発されたから、最初の頃はオンラインゲームのウォークラフトのプレイヤーの対戦コミュニケーションソフトとして広く使われてます。(ちなみにまだスマホなんて全く普及していない時代、PCメイン。この頃にすでに流行ってたなんて凄まじい。。)
その後は中国の人気オンライン対戦ゲームに普及、チーム対戦系ゲームの必須ソフトの地位を得ています。でも、多人数オンライン通話機能がとても優秀なので、友だちとの音声・ビデオグループチャット、大人数のカラオケ、ライブ中継などゲーム以外の様々な用途で利用され始めました。
2009年ごろにはゲーマーと他の娯楽系ユーザーの割合が半分半分に。2012年11月にナスダックで上場。あまりにも同時通話機能が素晴らしくて、その後はオンライン教育などでも広く使われてます。
そして、2016年に中国のライブ中継が爆発的成長を迎え、音声でのコミュニティサービスは落ち着く感じになったのですが、2020年3月のデータではYYのMAUは4120.4万人で市場シェアの40%を持っています。最新の情報では、百度が約36億ドルの金額でYYの音声とライブ中継事業を買収、手続きが2021年上半期に終了するそうです。
ここまできて、ちょっと大胆すぎる考えと僕の予想を!
ここまでお話してたように中国のClubhouseことYYは機能もUIUX設計も同様に秀逸でブームを迎えましたが、後に音声チャットを上回るライブ中継ブームを迎えました。次世代SNSと評価されているClubhouseの次に、アメリカ(日本)でもついにライブ中継のブームが到来するかも、と思います。
ライブ中継は日本でも欧米でもあるでしょ?インスタライブやYoutubeで十分じゃない?と思ってるかもしれませんが、中国のライブアプリとそれらとは機能と使われるモチベーションとは雲泥の差があります。
あと、ZhihuでClubhouseの発展について分析する専門家がいましたのでシェアしておきます。
人気急上昇の理由については、
・コロナの影響でソーシャルの場がほしいアメリカ人が増えてる。
・招待制の優越感(Zhihuも最初そうでした。)
・中国にはいくつか音声SNSがあったが、アメリカでは今までなかった。
・機能とUIは確かに優秀。
長期的には、
・broadcastの市場シェアが取られる。Podcastのユーザーは大量に移行するかも。
・中国の音声SNSと同じくボトルネックに直面し、ユーザーの成長に合わせていかにソーシャルの質を保つか、匿名と実名のバランスなど。
・今はユーザー数が少ないからオープン会議から小さい交流会まで様々があるが、これからの発展性は明確なのか。
そして余計な心配かもですが、良くない方向に発展していく未来も予想できます。クローズなコミュニティを簡単に作れるので犯罪や売春なんかに利用されそう、英語のルームを覗いてたら既にそんな感じの部屋が多数ありますよね。電話番号登録といっても実名でもないわけで。
そのうち何か大きな事件が起こって、完全実名登録制になって、政府に規制された息苦しいプラットフォームになる、なんて未来にならなければ良いなぁと思います。
次回以降で、すでに過ぎ去りつつある中国のライブ中継ブームを紹介しましょう。
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