ロボットはめんどくさいの解消から、やりたいことを実現する技術へ
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
自動運転などの技術革新により、これまで人間でなければできなかったことが機械にまかせられるようになってきています。加えて、RPAや生成AIなどの技術により、ホワイトカラーの業務領域にもこれらの技術が導入されてきています。
いま盛んに議論されているのが「AIが人を代替する」可能性についてです。
特に日本においては人材不足が深刻化していますので、その領域で自動化が進むことにより不足が解消するかもしれないというプラスの側面があります。一方で、人と機械とが競合してしまう領域では、雇用が奪われるといった負の側面もあるのかもしれません。
現在日経電子版で連載されている特集「昭和99年 ニッポン反転」はとても面白い切り口です。昭和の時代は掃除機や洗濯機などの機械が家庭に浸透した結果、人の「めんどくさい」を解消する技術としての機械化・自動化が進みました。そして工業分野では生産性をあげるために産業ロボットが活躍するようになりました。
一般的に生産性が低いとされている日本企業においては、この延長での進化の余地はまだまだあるでしょう。では「令和時代」にはどうなるかと言えば、人の「やりたいことを実現する」ための応用かもしれません。
スポーツや楽器演奏では、熟練者になるためにいくつかの壁があります。ある時までは練習時間に比例して上達していくのですが、壁を越えるためにはそれまで以上の時間を費やすことになります。しかもその間はこれまでのように上達しているという実感が乏しいため、諦めてしまうことも多いです。(ギターで言えばFのコードだったり、ドラムで言えば8ビートを自然と叩けるようになるといった最初の壁)
要するに、頭で考えていることがうまく筋肉に伝わらない、もしくは必要な筋力または柔軟性がついていないことによってできないわけです。であれば、先に動かしてしまえばよいという発想が上記の記事です。
さらにその先をいく分野として「身体拡張」があります。2本の腕と2本の足という人間の形を拡張して、デバイスにより腕を増やして自分の思うように動かしたりする技術です。
本当に人と機械で増やした腕が直感的に協働できるようになるのか?という疑問が浮かびます。稲見先生によると「人間の脳には『可塑性』、つまり変化する力がある。」そうです。つまり、機械の腕をあたかも自分のもののように感じることができるのはないかとことです。
この話で思い出したのが、わたしのお気に入りのNASAのビデオです。国際宇宙ステーションに144日間滞在したアメリカの宇宙飛行士トーマス・マーシュバーン氏が、戻ってきて間もないころにインタビューに答えている映像です。そこには、重力をすっかり忘れてしまっているお茶目なシーンが記録されています。
わたしたちが思っている以上に、人間の脳は柔軟に対応する能力をもっているのかもしれませんね。
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タイトル画像提供:World Image / PIXTA(ピクスタ)
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