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宇宙港の灯を絶やすな!宇宙ビジネスで世界のトップを目指せ!

大分宇宙港の新たなパートナー

ヴァージン・オービットの経営破綻から先行きの不透明感が危惧されていた大分県の宇宙港だが、新たな動きがあった。三菱UFJ銀行、東京海上日動火災保険、兼松の3社がアメリカのシエラ・スペースと宇宙事業で資本業務提携するという。新たなパートナー候補が見つかったことで、大分宇宙港への期待感が高まっている。

宇宙ビジネスへの期待

私自身もヴァージン・オービットの経営破綻が報じられたとき、Reutersからの取材に応じたが、宇宙港事業はそう簡単にとん挫するものではないと考えている。というのも、宇宙港となることができる空港は世界的にもかなり恵まれた条件ではないと難しいのだ。

宇宙港を建設するには、さまざまな要因を満たす必要があるが、日本は大きなアドバンテージを持つという。それは東側に太平洋があるということだ。垂直式にしろ、水平式にしろ、宇宙に飛ばすときには地球の自転の関係上、東に向かって飛ばすことになる。そのため、東には何もない立地であることが望ましい。カリフォルニアに本社を持つスペースXが、わざわざ打ち上げのためにフロリダやテキサスまでロケットをもっていく理由でもある。
加えて、水平式の場合には滑走路や管制室など、空港の設備も高品質なものである必要がある。海外でよくみられるような、空軍基地と併用しているような空港では滑走路の状態や広さ、地盤などの条件で適さない。
また、宇宙港近くにロケットなどが整備できるような製造業の存在が重要になる。大分県は別府や湯布院の温泉が有名なために観光が産業だと思われがちだが、産業構造を見ると工業が主要産業だったりする。しかも、鉄鋼、石油、科学、半導体、電気、自動車、精密機器など、幅広い分野の産業が分散し、製造品出荷額等は福岡県に次いで九州2位だ。

宇宙産業は自動車の次の日本の基幹産業候補

歴史を紐解いても、新産業を興すときに、その産業を支える工業力を持っているかどうかが重要なポイントとなる。例えば、幕末に欧州の植民地支配の危機があった九州では、大砲つくりのために反射炉による製鉄業を興すことから始めている。それまでの大砲は主に青銅製で、鉄は砂鉄を使ったたたら製鉄(溶解炉)だった。しかし、大砲の製鉄では従来の溶解炉では能力不足だった。つまり、大砲を作るためには、まずは製鉄産業を興す必要があった。
自動車産業も近代化の要因の1つとして、戦後に連合国によって航空機の開発、生産が禁止された期間の影響で、航空機の開発に携わっていた技術者が自動車産業へ流れたことが大きい。中島飛行機を源流に持つSUBARUは代表的だ。宇宙産業も同様で、興すには基盤となる工業力が不可欠になる。そして、そこには日本の強みを発揮することができる。
水平式宇宙港の可能性は大きい。再利用可能なスペースプレーンが使えるようになると、将来的には日本からニューヨークまで1時間でいける未来がくるかもしれない。Space Xのイーロン・マスク氏は、火星移住用ロケットを国際線旅客機として使用することで、地球上のどこでも1時間以内に到着できるという構想を国際宇宙会議で発表している。
宇宙ビジネスは、自動車の次に来る新産業が期待できるポテンシャルを秘めている。

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