手放すことで得られる新たなもの。Unlearn(アンラーン)の必要性とは
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
気づけば7月も終わりになってしまいますね。今週で31週目ですので、1年の6割弱が過ぎたという計算になります(わたしはスマホやPCのカレンダーに週数を表示するように設定しています。便利ですよ!)
本業ではLinkedIn(リンクトイン)というビジネス専用SNSの運営をしているのですが、コロナ禍に入ってから始めた企画のひとつにライブ番組があります。LinkedInにはさまざまな専門性を持った方々がいらっしゃるのですが、特にユニークな専門性を持っている方などをほぼ毎週だいたい金曜日のランチタイム(12-13時)にお招きして、生放送で対談をしています。
今日は「プレゼンの神様」との異名をとる澤円さんに登壇いただきました(最近はVoicyでも大人気ですね!)テーマは「Being=ありたい自分の見つけ方」です。以下にアーカイブがありますので、ぜひご覧ください。
この中で澤さんは「beingからdoingを決めるのが重要」と指摘されていました。どういうことかというと、特に仕事をしている場面では「やらなくてはいけないこと」が決められており、それをこなす感じになると思います。つまり、やらされていること(doing)の結果として自分がある(being)。
そうではなく、こうありたいから何をするかを決めること。そのためにはやりたくないことを手放す、やめることが肝になるということです。「そんなこと言われても、やらなきゃいけないものはあるし…」と思いますよね。そんな方には「プチグレ(ちょっとだけグレてみるの略)」をおすすめしていました。例えば出たくない会議をサボる。ひとりでサボると気まずいので仲間とつるんでグレる。「仕事上の相談にのっていた」というテイにすれば理由になるし、実際にメンタリングなり1on1なりをすればいいということです。
より具体的な話は最近出版された著書『「やめる」という選択』を読んでいただければと思います。
やめるという話がもっと大きくなると「Unlearn(アンラーン)」と呼ばれるものになります。Unlearnとは学ばないということではなく、今まで学んできたことを一旦ゼロにリセットし、再びイチから学び直すという意味です。リカレント教育、リスキリングが話題となっている今、誰もが意識すべきことだと思います。
人はだれしも過去の成功体験や経験に囚われがちです。年齢を重ねるごとに変化に億劫になるのは、積み重ねた成功体験が厚くなってくるからでしょう。
日本ラグビーフットボール協会において「コーチのコーチ」、指導者を指導する立場であるコーチングディレクターであり、企業のリーダー育成トレーニングを行う株式会社チームボックスを経営している中竹竜二さん。Unlearnについて以下のようなポイントを指摘しています。
Unlearnするためのポイントとしては、「教えてもらう」という意識より「純粋な好奇心を持って学ぶ」ことです。例えば自分にとって嫌なフィードバックを受け取ったとします。そのときに一方的に押し付けられていると感じ反論しようとするのではなく、「なぜこの人はこんなフィードバックをしたのだろう?」と興味を持ってみる。その観点はどこからきたのだろう?と純粋な好奇心を持って捉えてみましょう。
また、Unlearnと言えばすぐわたしの脳裏をよぎるものがあります。大江千里さんです。
「十人十色」「格好悪いふられ方」などのヒット曲を記憶している方も多いでしょう。誰もが知っているポップスターの大江千里さんですが、2008年にその地位を捨て去り、長年の夢であったジャズ・ピアニストになるべくニューヨークの音楽大学に留学します。その顛末が、以下の本にまとめられています。
著者は、日本のポップス界で一時代をきずいたミュージシャンである。だが、その栄光に安住せず、五十歳になる手前で渡米した。ジャズピアノをまなびたいという、その一心で音楽留学にふみきったのである。
留学にいたるまでの話などは以下のインタビューも印象的です。
実は当時、映画音楽をやらせてもらったり別の映画の主演の話がきたりと仕事は割と順調でした。片や、ふとしたときに「ジャズを学びたい」という思いも頭をもたげていました。
ある日、ショーウインドーに自分の顔がパッと映ったとき、充実しているはずなんだけど「どこか笑顔が笑顔じゃない」って思ってしまったことがあって。「底抜けな笑顔で50歳を迎えたいなぁ」と思ったとき、ふとインターネットでニュースクールを検索してみたら、デモテープを送付すれば国外からも受験できるとわかりました。
スティーブ・ジョブズも「もし今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは本当に自分のやりたいことだろうか?」という言葉を残しています。改めて自分自身に問いかけたい言葉ですね。
いま仕事でちょっとつらいなぁと思っている方には、特におすすめできる本です。内容も素晴らしいのですが、文章がまた非常に良いです(作詞家でもあるのであたりまえですね)。読むたびに勇気をもらえる、そんな本です。
「9番目の音を探して」というタイトルもジャズ好きにはニヤッとしてしまいますね。音楽の世界ではテンション・コードというのですが、ルート(コードを構成する一番低い音)から9度上の音ということです。他にも11番目、13番目があります。ジャズでは使わないことがないくらいよく使われるコードでもあり、いわゆる聞いていてジャズっぽいものはこのせいです。
週末のエネルギーチャージに、ぜひ読んでみてほしいなと思います。
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タイトル画像提供:taa / PIXTA(ピクスタ)
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