2023年1-3月を10のニュースで振り返る【前編】~賃上げ、就活解禁、コロナ5類への移行~
日経COMEMOのKOLをしております、大林です。50,000名以上が実名顔写真付きで登録する複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を運営する株式会社Another worksの代表をしております。
2023年も3月が終わろうとしていますが、1-3月の3カ月間で多くのニュースがありました。2023年4月1日からの割増賃金率の引き上げや、24卒新卒採用活動の情報解禁、新型コロナウイルスの5類への移行など、様々です。
今回は、中でも大きな話題を読んだ10のニュースを前編・後編に渡って、ご紹介していきます!
1.年収最大4割上げ「ユニクロショック」どうなる春季交渉
2023年の春季労使交渉が始まり、日経電子版でも「賃上げ・春闘2023 企業や業界の最新動向」として特集が組まれています。ファーストリテイリングは3月から国内従業員の年収を最大約40%引き上げることを発表し、大きな話題をよびました。記事によれば、柳井正会長兼社長は「日本の賃金はあまりに低すぎる」と強調したといいます。日本労働組合総連合会によれば、2023年春季労使交渉の第1回回答集計の結果について、賃上げ率は平均3.80%と、前年同時点から1.66ポイント上昇したと公表しています。
また、人材の獲得競争が進む現在、大手企業が揃って人への投資を打ち出しています。日立の田中執行役常務によれば、24年度までに国内の全グループ会社にジョブ型を導入するといい、人材投資の重要性が増しているといえます。
賃上げ論争はまだまだ続いていくことになると思いますが、私は”目的”が重要だと考えます。従業員の働き方改革という目的を果たすために、賃上げの実現は1つの手段であり(前提として、賃上げは重要な論点であり継続的な議論は欠かせません)、給与が上がったからといって即時的に解決する問題ではありません。賃上げやジョブ型の導入、柔軟な働き方への対応など様々な手法を用いて、従業員が最適な働き方を選択できる環境を整えていくことが必要でしょう。いかに企業の魅力を高め、人材流出を防ぐと同時に、優秀人材を自社に誘致するか、が鍵となっています。
2.若手が「リスキリング迷子」 何を学ぶ…先輩の姿に焦り
2022年以前より話題となっているリスキリング。2023年も引き続きホットなテーマです。人生100年時代を迎えた現在、キャリアチェンジやキャリアアップを考える中間管理層、ミドルシニアのリスキリングが注目されてきました。記事によると、実際35〜54歳の転職者(キャリアチェンジ)が増加していると言います。
そんな中、印象的な本記事は、若手のリスキリングがテーマとなっています。記事内では、20〜30歳のリスキリングへの関心が高まっていることを示し、キャリアが先行き不透明な中、戸惑う先輩を目にする機会が増えたことで、若手が「学びの迷子」に陥りやすい状況が生まれているといいます。グロービスのデータによれば、学びを実践できていない人の3割以上が「必要な学びが分からない」と回答したとのことです。
私は、「何を学ぶか」はもちろん、その前提である「自分に何ができるのか」を知ることが重要だと考えます。リスキリングとは、目標と現実の差分を埋めるために自ら学び直すことだと解釈しています。そのため、現時点のスキルを棚卸しし、ハッシュタグをつける感覚で言語化し、自分自身に身につけさせることが重要です。洗い出してみることで意外なスキルが身についていたり、逆に、会社やチームメンバーの功績であり、看板を外したら役に立たないスキルかもしれません。つまり、何が必要か、何を学ぶか、の前に、自分に何ができるのか、自己認知は欠かせません。目指す理想を言語化し、そのために必要なことを学んでいきましょう。
3.就活生調査、半数が転職視野 「終身雇用信頼できず」
2023年3月1日、2024年卒業新卒入社にあたる情報解禁を迎え、就活生の最新動向に注目が集まりました。記事によれば、アンケートに回答した学生の半数以上が就活時に転職を視野に入れているといい、「終身雇用は信頼できない」との声もあがったといいます。また、就活時に副業(複業)ができる企業を視野に入れている学生が33%と、一つの収入源に不安を覚える学生も出てきています。中でも特徴的なアンケート結果は、成長重視の企業選択です。「仕事の負担は重いが成長を感じられる企業」と「仕事の負担は軽いが成長を感じられない企業」のどちらに関心があるか、という質問に対し、71%の学生が前者を選び、成長を重視する姿勢を示した点です。
学生の意識変容が起こっている中、新卒を採用したい企業は対応しきれているといえるでしょうか。私自身、中学生・高校生向けにキャリア講演をさせていただく機会が増えています。その中では、キャリアを自分で描く、という話はもちろん、複業や起業といった1社に就職するという選択肢以外の新しい働き方に関心を寄せていただくことが多くあります。若手の離職率の増加が課題と叫ばれる現在、魅力をいかに伝え、制度設計をするか、時代に併せて企業も変化していくことが欠かせません。
4.コロナ5類、暮らしどう変わる? 通常医療に移行
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行され、感染対策に関する基本方針が5項目に再編されました。屋内では原則着用とされていたマスク着用が、屋内外を問わず個人の判断に委ねられるなど、流行開始時〜2022年以前と比較し、対策が大幅に緩和された形となっています。
日本の出入国審査も緩和されるなど、社会活動が戻りつつある一方、私は戻らない生活様式も存在していると考えています。例えば、リモートワークの浸透は、皮肉なことに日本全体のDX化を加速させ、多様な働き方を促進したという点で、良い面でも作用しています。(もちろん、対面で会うことができなくなったことによるコミュニケーションの希薄性や、急速なオンライン化による情報セキュリティの担保、仕事とプライベートの境目が曖昧になったことによる過重労働のリスクの高まりなどの課題は山積しています。)ズバリ、今後の課題は「定着」だと考えます。変わった・変わらなった、という事象に目を向けるのではなく、その事象における課題は何か、良い点を定着させ、改善点をいかに消していくか、に向き合っていく必要があるでしょう。
日経電子版では、東芝が柔軟な働き方をどう定着させるか模索している事例が紹介されています。新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、従業員の在宅勤務を推奨した結果、出社を前提としなくても生産性は維持・向上できると判断、良い点を定着させるべく「遠距離勤務制度」を試験運用しているといいます。企業はアフターコロナのニューノーマルを作るべく、動き出しています。
5.企業の人手不足、コロナ禍で深刻に 旅館・ホテル約8割
深刻な人手不足がトピックスとして多く挙げられました。少子高齢化による生産年齢人口の減少や4で引用した新型コロナウイルスコロナの5類移行に伴う事業再開も要因の一つです。記事では、正社員が不足と感じる企業は51.7%と、慢性的な人手不足が発生していることが分かります。また、旅館・ホテル業界では7割以上の企業が人手不足を感じ、業種別では最も高い割合となっているといいます。従業員の退職による倒産も増えてきており、人手不足の解消と人材の定着が課題です。
特に地方企業の正社員人材採用は年々厳しくなっています。1,000社70自治体に導入いただく弊社複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」も、地方に拠点を構える企業・自治体様から、採用に関するご相談をいただくことが多くあります。その際、私がご提案しているのが日経でも取り上げられるトレンドの採用方法である複業で接点を持ち正社員化する複業転職という採用手法です。世の中の当たり前が簡単に崩れると実感した人々は、今の環境を大きく変える転職や移住に、より慎重になっています。そこで、オンラインで複業から接点を持ち、滑らかに正社員へ移行する、リスクの少ない形でキャリアチェンジをするニーズが高まっているのです。複業転職では、企業も正社員候補の即戦力人材を迎え入れることができ、人材不足の解消に直結していきます。
後編でも5つのニュースに焦点をあて、紹介していきます!
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