こども投票制(ドメイン投票制)で明るい未来をつくるのだ!
令和元年はわたしにとって嬉しい年となりました!
超待望の娘が爆誕したのです🎉🎉🎉
わたしの実家は四人兄弟(全員男)という北斗の拳ばりの家族構成。
娘はもはや姫のごとくジジババ含め叔父さんたちから蝶や花やとチヤホヤされて過ごしています。
でも、家族からは大いに甘やかされている娘ですが、彼女がこれから生きていく社会に目を向けると、こっちは甘くないどころか激辛です…
彼女の同級生はついに90万人を割り込み、86万人となりました。
少子化がヤバイ理由はたくさんありますが、そのうちのひとつは世代間格差を生み出してしまうことです。
例えば、日本の年金は個人が自分の将来のためにお金を積み立てるのではなく、現在の高齢者に対して現在の現役世代がせっせとお金を送る方式(賦課方式)です。
少子化とはこの現役世代がいなくなることを意味しますので、高齢者を支えるひとりあたりの負担が激増します。
下の図は、年金を含む社会保障(年金・医療・介護)の世代間格差を表したものです。
出典:「世代格差ってなんだ なぜ若者は損をするのか」
1940年に生まれた人は、自分が政府に税金を払った額よりも、政府から受け取る額の方が4,850万円(!)も多いことがわかります。
一方で2000年に生まれた人となると、逆に3,260万円(!)損をすることが宿命づけられています。
その差、実に8,000万円😇
うちの娘の世代にいたってはこの金額がさらに大きくなっています。
社会人になって初任給の給与明細をみたとき愕然とするんだろうな…
加えて、国内経済も急速に縮小していきます。
となると、お給料もあがる見込みは薄く、本当に細々生きていくことになりそう…
これってもはや罰ゲームなんじゃ……?
■
親として、この状況を座視するわけにはいきません。
娘に罰ゲームじゃない社会をバトンタッチするには、社会保障制度そのものを改革するしかない!
ならば、同じ課題感を持ってくれている政治家に投票だ!
しかし
そんな政治家はポケモンでいうとミュウツー並みにレア。
出典:ポケモンずかん
それなのに、その力たるやコイキング並みに弱小…!!
出典:ポケモンずかん
なぜなら、政治家(政党)の力とはすなわち投票数だからです。
つまり政治家に力を与えているのは我々有権者。
そんな有権者の構成はこんな感じ。
出典:ニッセイ基礎研究所
1950年には全有権者のうち20~30代の若い世代の割合は50%を超えていましたが、2015年はたったの30%弱。
逆に、60歳以上の高齢世代の割合は14%から40%に急上昇しています。
加えて、世代別の投票率はこんな感じです。
出典:総務省 選挙部「目で見る投票率」
ただでさえ有権者数が少ない若者は、投票にもいきません…😩
(ちなみにこの現象は多くの国で観測されています)
有権者の年齢構成に投票率を加えてみると、2014年の衆院選の際には、約50%を60歳以上の高齢者が占めていました。
一方で、20~30代の若者世代のシェアはたったの19%です。
この差は今後も拡大することが想定されています。
出典:ニッセイ基礎研究所
これが、世代間格差解消に本気で取組もうとする政治家のレア度はミュウツーなのに、力がコイキングの理由です。
政治家が選挙に通るために行動するなら、高齢者の味方をするのが合理的なのです。
そして実際、多くの政治家たちはそのように行動しています(※)。
※:有権者年齢の中央値と、国民総生産のうち年金に使われた割合との間には正の相関関係があることが様々な研究で示されています。参照元はコチラ。
民主主義が多数派の意見を社会に反映させる仕組みである以上、少子化に歯止めをかけ、若い世代の支援を厚くするのはこの状況ではもはや無理ゲーといわねばなりません…
日本、詰んでるやん…
……あれ?
でも、ちょっとまってください。
私たちは本当に国民全員の意見を吸い上げて社会に反映させているんでしたっけ?
誰か、大事な人を忘れているような……?
「代表なくして課税なし」。子どもだって物申す!
そう、うちの娘です!
つまり、未成年の少年少女たち!この国の未来の当事者です。
「代表なくして課税なし」とはよくいったもので、私たちは未成年の許可なくガンガン負担を彼/彼女らに押し付けています。
うちの娘に銃を持したら革命を起こしてしまうかもしれん(寝返りの練習中だけど)
この状況を打開する一手が「こども投票制」です(※)
※:アメリカ人の人口統計学者Paul Demeny氏が考案。氏の名前をとってドメイン投票制、デーメニ投票制とも呼ばれる。ドイツでは「こども投票権 Kinderwahlrecht」として知られる。
非常にシンプルな話で、投票権を0歳に引き下げよう!というもの。
ただ、もちろんうちの娘(3ヶ月)が投票できるわけはないので、彼女が成人するまでは私たち親権者が彼女の権利を代行するのです。
なお、子どもひとりに対して親権者が二人いる場合は、0.5ずつ分割されます(この権利の付与の方法には議論がある)。
こども投票制が実現すると、例えば2007年の日本の有権者の構成がこのように変化します。
出典:「次世代へのコミットメントに国民的合意を, 世代間資源配分の公平を目指す選挙制度の改革」
年金に対して関心が強まるといわれる55歳以上の有権者数と、子育て層の有権者数が拮抗することになるのです…!
なお、青木玲子教授らの研究によれば、こども投票方式が導入された場合、親たちの投票率があがる可能性があることが示されていました。
この制度が導入されれば、政治家たちは若い世代の話を聞かねばならなくなります。そうしないと選挙で落ちちゃうから。
結果、先にご紹介したような世代間格差は縮小され、僕の娘やその孫も希望の持てる社会になるかもしれない…!
わたしの所属する認定NPO法人フローレンスで取組んでいる待機児童の問題、障害児の受け皿が足りない問題、子どもの貧困問題、児童虐待問題…
子どもが投票できる権利を持てば、こういう問題も一気に展望が開そうな予感がする!
…… いや
もちろんわかりますよ?
「これって完全に机上の空論じゃね?」って思いましたよね。
でも、実はそうでもないんだな!
民主主義の歴史とは、選挙権拡大の歴史だった
驚くなかれ。
このこども投票制、実は日本では子どものいない有権者でさえ44.5%が賛成するというデータがあるのだ!
出典:「ドメイン投票方式はいかに支持されるか, 政策と政党に関するアンケートから」
(20歳未満の子どもがいる層では68.2%が賛成、というのは驚かないけど、子どもが20歳を過ぎた途端に反対に回る親が多いというのは、ちょっと切ない感じがしますが)
また、このこども投票制、ドイツではすでに2003年、2008年の二度にわたって連邦議会で議論されています。
なお、ハンガリーでは2011年に母親に投票権を2票与えることが国会で検討されました。
諸外国では国レベルで本気で検討されているのです。
とはいえ、
まだこの制度は世界中どこの国でも実現には至っていません。
それは事実です。
でも民主主義の歴史は、選挙権拡大の歴史でもありました。
暴力革命を伴った場合もありましたが、合法的に実現した選挙権拡大はいくらだってあります。
わかりやすい例は、女性の参政権です。
かつて、選挙権とは男性のものでした。
有権者(=男性)にとって、女性に選挙権を与えることにメリットなどなかったはずです。
ところが、1893年のニュージーランドを皮切りに、20世紀には女性の参政権が諸外国で続々と認められていきました。
それは、有権者である男性が自らの権利を弱めることを(女性たちの活動の結果)自主的に選択したからです。
なぜこんなことが起きたのか…?
それは、当時の有権者(=男性)が、自分たちだけのメリットを追求していたら結果的に社会全体が衰退することに気がついたからではないでしょうか(※)。
※:諸説ありますが、20世紀になると戦争が総力戦となり、女性の力が必要になったからといわれています。詳しくは「女性のいない民主主義」をチェック!
それは、日本の高齢者の皆さまにだっていえると思うんです。
子どものため、孫のため、短期的には自分たちに不利な決断をなさってくれるかもしれない。
実際、すでにそういう選択が行われた事例は枚挙にいとまがありません。
かつて男性たちは本気の女性たちをみて心を動かされたのでしょう。
わたしは、高齢者の皆さまに「こいつになら任せてもいいかな」と思っていただけるよう、努力したいと思います。
そうやって民主主義はアップデートされ続けてきたんだから。
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