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改めて問われるオンボーディング(入社時研修)の価値

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

※ 本記事は日経新聞連動企画「#入社後いきなりテレワーク」への寄稿です。

今年の新卒社員の中には、まだ一度もオフィスに出社したことない方々がいるそうです。つまり、「リモートネイティブ社員」の誕生です。

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務に移行する企業が急増し、2020年はテレワークで社会人のスタートを切る「リモートネーティブ」な新入社員が誕生した。入社式から新人研修、場合によっては新人歓迎会までをオンラインで済ませ、5月まで新入社員を一度も出社させない企業も少なくない。

入社式では役員が新入社員一同を迎え、合同研修を通して社会人としての基礎を養いつつ同期の仲を深めさせるのが19年までの「常識」だった。社会に初めて出る新入社員にいきなりテレワークをさせて大丈夫なのかという声も聞かれる。

一方で国土の広い米国や、すべての国にオフィスがあるわけではないヨーロッパなどでは、以前からリモート前提での入社にも対応してきました。外資系日本法人においても、相応の規模にならない限りは日本で完結する採用は少なく、アジアの中心であるシンガポールなどから採用やオンボーディングをすることが多いようです。特にシニアポジションになればなるほど、本社が直接選考し、その後のマネジメントもそのラインで続きます。

私自身、2017年11月に現職(米国外資系日本法人代表)に就きましたが、入社前からフルリモート、入社後も基本的にリモートマネジメント(上司が日本にいない)で仕事をしています。

選考はずっとテレビ会議で、20人弱と面接をしました(初めての外資転職だったのでそんなものかなと思ってましたが、あとで周りに聞くとすごく多かったようです)。途中2回本社のキャンパスを訪れる機会があったのは、いま考えるととても幸運でした。そこで楽しそうに働いている人を目にすることは、自身の入社後をイメージすることにもなりますので効果的でした。

入社時はラップトップと共に、大量の会社グッズがもらえます(会社ロゴのついているリュックに収められていました)。また、グループ会社トップのサティア・ナデラの本もありました。

この本、実は販売されているものとは別のバージョンがあります。著者による手書きのメモやマーカーがひかれています。どのような思いでこのセクションを書いたのか、という内なる声が聞こえ、とても感銘しました。

入社して最初の週は4分の3が本社やシンガポールとの研修やミーティング。残りが日本のメンバーとの面談。最初の週ではこの90日間の私のオンボーディング計画について詳細に説明を受けました。必要な情報のとり方、関係する人々の組織図と相関図、リーダーに求められる役割と研修等々、とにかく盛りだくさんでした。ここで気づいたのは、関係する人々は面接をした人々で(当たり前っちゃそうなんですが)、かなり突っ込んだ話を(面接時に)すでにしているので、ここからの仕事がスムーズに始められました。

オンボーディング期間中は特に「寄ってたかって助けよう!」という意思を全方位に感じるため、こちらとしてもとても安心して業務が進められた記憶があります。一方で、情報はすべて透明性高く、社内のどこかには存在しているのですが、こちらからガンガン聞かないと出てこないことも多いという事実もあります。「こういうことしたいんだけど」という意思が先にこないと遠回りしがち、ないしは「特に課題はない」と見なされて放って置かれることはよくあります。

リモートワークで成果を出す組織の特徴として、COMEMO KOLでもある大分大学の碇さんは以下の3つをあげています。

1) 管理ではなくマネジメントがなされていること
2) メンバーがプロフェッショナルであること
3) 対等でローコンテクストなコミュニケーションができること

これはまさにジョブ型雇用が導入されている企業に見られる特徴とも一致していると思います。また、雑談以外にも突っ込んだキャリアの話を上司や同僚と「リモートでも」できるかというのも重要です。これまでの日本文化だと飲み会とセットで寄った勢いでそういう話をすることも多かったと思います。そうではなく、業務時間中に対面でもリモートでも変わりなく、真剣な仕事やキャリアの悩み相談ができるかというのは、すべての社会人にとって必要な「スキル」であると言えるでしょう。

ことコミュニケーションに関わることにおいて、オフラインでできないことは、たぶんオンラインではもっとできません。テレワークが叫ばれるいまだからこそ、足元の「社会人としての人間関係」について深く考え直す機会が必要だと思います。

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タイトル画像提供: ivector / PIXTA(ピクスタ)

#COMEMO #NIKKEI

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