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京都の洛中クルマゼロは可能か?〜建物より広場に価値のある時代

インバウンド観光客がまた増えるに従い、京都のバスはあてにならないものになる。観光スポットをめぐるバスは混み合うし、道も渋滞して時間が余計にかかる。一方で京都市は、「歩くまち・京都」というすてきなスローガンを持っている。歩こうと思えば端から端まで歩ける距離の京都の中心部、つまり洛中。いっそのこと、洛中をクルマゼロにできないものかと考える。

歩道に広場をつくる

次の記事は、虎ノ門ヒルズ近くのもともと太い歩道を広場にするという話だ。新橋駅から、わがKIT虎ノ門大学院へと歩いて向かう際に通る、私にとってはたいへん身近な場所だ。

新橋と虎ノ門ヒルズを結ぶ新虎通りが都内初の「ほこみち」として本格始動したと言う。「周辺人口が膨らみインバウンド(訪日外国人)も戻る中、新虎は休日も人を引き寄せる「歩いて楽しい道」へと変貌を遂げようとしている」とのことである。

なかなかこんなに太い歩道はないだろうが、歩道を広場にするのは、すぐにできるとても良いアイデアだ。ほこみち(歩行者利便増進道路)は、すでに日本中に広がりを見せている。コロナ禍における飲食店支援として、一時的ではあるが、飲食店が歩道にテーブルや椅子を出すことを緩和したことも、この動きを後押ししたようだ。

道路をホコテンにして広場を生み出す

次の記事は、大阪・ミナミの駅前の歩行者天国化の実証実験である。大阪・ミナミの玄関口が今秋、「憩いの空間」に生まれ変わる、とのことである。
「休憩用のベンチやカフェ、イベントの開催――。エリア一帯の周遊拠点づくりを目指し、南海電気鉄道の難波駅(南海なんば駅)北側に新たな広場を整備し、11月から歩行者天国(ホコテン)として再出発する」と記事にあるように、ホコテンは駅前活性化の切り札だ。

歩道が細い京都は、ホコテンに可能性がありそうだ。実際、各地域でのお祭りの時期は、あちこちで道路の使用許可をとって御神輿をかついだりしている。お祭りはすべてに優先するため、道路もあたりまえのように占用する。この文化を拡大すれば、まち中のどこもホコテン可能な気がする。

広場化という世界のトレンド

次の記事は、Park(ing)Dayの取り組みが日本にも広がっていることを報じている。Park(ing)Dayは2005年に米サンフランシスコの学生集団が行ったゲリラ的なイベントが原点で、公共空間を自分たちの手に取り戻し「文化的表現、社会的交流の場として活性化」しようと始まった取り組み、とのことである。

京都はまさに、公共空間が「文化的表現、社会的交流の場」であることが、まちの魅力そのものである。平安神宮のある岡崎公園は、毎週末、Parking Dayのように使われている。うちの近くの上賀茂神社も、毎週末、何かイベントをやっていることが多い。

京都をさらに美しく、文化的・社会的に豊かなまちにするためには、どうしたらいいのだろうか。今でも十分素晴らしいと思うが、未来に向けて、もっと美しい京都をつくることはできないのだろうか。

京都の洛中を広場に

そう考えると、冒頭にも述べた通り、京都の洛中全体を広場にしたくなってくる

次の記事は、烏丸通がなぜ途中で二箇所、ぐいっと曲がっているのかを教えてくれて興味深い。道路拡張工事を急遽しようとしたときに、皇居や東本願寺に気を遣って、避けるように曲がってしまったということだ。

その背景として、「歴史ある建造物の数多い京都で大がかりな道路拡張工事が実施できたのは、人口増を見込んだ街づくりが求められたからだろう」と言う。そして、少子高齢化を迎えた京都の街づくりのテーマが「歩くまち・京都」に変わったことを指摘する。「人口減の未来を見据え、より居心地のよい街をつくるにはどうすればよいか、京都は再び岐路に立たされている」と、この記事は締めくくる。

人口増加時代には道路を増やしてきた。人口減少時代には、道路を減らしていきたい
高度成長期にはクルマを中心に都市設計をしてきた。これからを文化成熟期にしていくためにも、まちを歩くこと中心に再構築し、すこしでも多くの道路を広場に転換していきたい

100年後に、いまよりもっと美しい京都を残すことができたらと思う。

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