「デート経験なし4割」という環境を作ったのは一体誰なんでしょ?
今日は朝から個人的にこのニュースが周辺を駆け巡り、いろいろとあわただしかった。
テレビの民放のニュースでは相変わらず切り取りとして「独身男の4割がデート経験なし」みたいなどうでもいいけど話題になりやすいことが取り上げられていた。案の定、ツイッターでも「デート経験」がトレンドワードになるなどしている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b277ef7364c202c7b40456a7b58abdcd84ab3ab9
失礼ながら聞いたことのない方が専門家として出て何事かお話されているようだが、ふたつとも的外れ。
これに関しては、もう何度も言っているのでフォロワーの方には大変申し訳ないことだが、あえて繰り返していうと…「別に今に始まったことではない、以上」でしかないのである。
ひとつ目の指摘の「金がない」という経済的要因は、決してないとはいわないが、しかしそれはあくまで経済生活としての結婚の話であり、「金がないからデートしない、恋愛しない」なんてことはない。それは令和だろうが昭和だろうが明治だろうが変わらない。する奴はその辺の公園やファミレスでもデートしている。大体「金がないからデートできない」なんてことを言っている男は「金があってもデートできない」から。
ふたつ目の恋愛に消極的っていうのも、昨今の若者は草食化などという論説に通じるのだが、そんなの別にバブル期の恋愛至上主義時代だって消極的な奴は消極的だった。
問題は環境の問題であり、若者個人の意志の強さの問題ではない。
昭和まで、若者の結婚の大半を成立させてきた職場恋愛も、セクハラ裁判以降の平成以降、へたすればセクハラ扱いされる危険性があり、極端に減っているが、している奴は今でも隠れて、あるいは堂々とやっている。しかし、以前は、あの職場恋愛というものは、恋愛に消極的だった奴も動かざるを得ないような状況に周りが空気が追い込んでくれたというのは無視できない事実である。
大体、昭和の上司は部下を結婚させたがった。披露宴で媒酌人になることは「信頼される上司」としての誉れでもあった。企業も職場結婚を促進した。「腰掛けOL」と当たり前のようにいわれたように、結婚して寿退社してくれる女子社員の流動性が高かった。
学生時代、モテなかろうが、毎年新しい女子社員が入ってきて、そのたびに「お前、あいつのこと好きなんじゃないのか?」と催眠術のように上司に言われる。上司に「俺が仲をとりもってやるから、今度一緒に飲みに行こう」といわれて昭和の若手社員に断る道理はなかった。
一方で、女性側にしてみれば、当該企業に入社する目的は「そこで出世する男を夫にすること」でもあったので、そうした上司のお節介は渡りに船。もちろん生理的に受け付けない相手は拒否するだろうが、不思議なもので「あいつがお前に気があるらしいよ」といわれてしまうと今まで何の感情ももっていなかった相手を意識しだしたりもするし、その仕事ぶりをじっくり観察してしまったりする。
意識をする、相手のことをよく見る…これは単純接触効果といって心理学的に相手を好きになってしまう効果がある。好きというか「慣れ」だ。これはなかなかバカにできない心理効果です。
そうした男女とも互いに上司の計らい(お節介)の下、どんどん結婚していったのが昭和の、特に1970年代から1980年代までの日本の婚姻を構成していた最大要素である。
その数、実に年間約46万組。2021年の総婚姻数が50万組らしいので、実に今の婚姻のほぼ全部を上司が作っていたようなものだ。すげえな、昭和の上司。婚姻が一番多かった1972年と2015年の婚姻数の減少数はちょうど46万組、職場結婚とお見合いが減った数と完全一致する。それが何よりの証拠である。
婚姻数が減った!と大騒ぎするのであれば、その減った本質的要因は何か?ってことを把握しないといけない。専門家なら「金がない、勇気がない」とかの適当な理由で片づけるなよ、って心底思うわけです。だからって昭和の時代に戻せになんて言わないし、できっこない。
さて、その上で「4割がデート経験なし」に言及するとすれば、2020年の私の調査では「20代未婚男性で今まで一度も付き合ったことがない」割合は27%います。この調査は2021年だったわけで、少なくともコロナのせいで外出もレジャーも自粛されていた期間です。一番デートしたいであろう、高校生や大学生たちは「したくてもできなかった」のではないですか?そうしたことをふまえた時でデート未経験4割は別に数字的に違和感はありません。
ていうか、「デートもさせなかったのはお前ら、政治家とかコロナ専門家とか、メディアの大人たちじゃねえのかよ」と若者たちは言いたいと思うよ。
いつまでコロナ騒ぎを続ければ気が済むのか。いい加減5類にすればいいのにと思う人はたくさんいると思うが、岸田決断しない大臣はもごもごするばかり。
これも毎度言ってることですが、そもそも男性のおよそ7割が「配偶者や恋人がいない」というのは別に驚く話でもないし、特に今になって始まった話でもありません。1980年代から恋人がいる割合というのは大体3割です。恋愛強者3割の法則のことです。
わざわざ白書にして「デートしたこともない20代独身男が4割もいて今時の若い男は意気地がない」とでも言いたいのでしょうか?そういう還暦以降の既婚高齢男性だって自分が20代の頃はたいして違わなかったし、恋愛経験もなしにお見合いで結婚した人も多いことでしょう。
白書をちゃんと読むと、こんな図表がある。20代のデートに関する調査の結果です。
普通にスルーしてみてしまうと「なるほど、男の4割はデートした人数が0人なのだな」とそこだけ見て終わりにしてしまいがちだが、これおかしいだろ。
20代既婚男性の「デートした人数0人」が10%もいるなんてことあり得るの?20代で結婚した男の1割は、一回もデートしたことなく結婚したのかい?
普通、既婚者ならデート人数も恋愛人数も「0人」なんていないはずでしょうよ。なんなんだ、この調査、いい加減だな。というか、いい加減な回答をする人は必ずいるんだから、そういうのはちゃんと精査整理した上で公開するのが仕事ってもんじゃないの?
では、ローデータで検証してみるかと思いきや「デート人数」に関する結果の原票すら公開していない。どういうことなの?白書で出典を明記しておきながら、出典元の調査結果報告書をみたらそれが掲載されていないという…。出典になっていないじゃないですか。いい加減も極まれり。
いい加減なはずだよ、この調査を仕切ったのは、あの「婚姻増には学校で壁ドンの練習させればいい」なんて言って炎上した学者らがやってた研究会によるもの。推して知るべしというべきか。
内閣府研究会での「壁ドン練習」提案が炎上 不本意未婚は恋愛格差より経済格差 - The Tokyo Post
最近では、一般の方でも原票をご自分で確認する人も増えている。そもそも総務省統計局にも厚労省にも国交省にも言いたいことなんですが、いちいち加工のできないPDFとか、わけのわからない行を付け加えたエクセルとかでデータ公開するのやめていただきたい。オープンデータとしてローデータを公開すればいい。そうすれば、市井の民が各自自分のやりたいカタチでクロス集計するなりして、瞬時に様々な分析をしてくれますよ。調査結果は国民みんなの財産です。オープンにする必要はあるでしょ?
それともなにかい?分析の名の下で、自分たちの言いたいことを伝えるためだけの資料を作りたいがための調査をするなら、そんなものは税金の無駄使いなので即刻やめていただきたい。
こちらもあわせてご覧ください。昭和も平成も令和もびっくりするほどデート率は変わらない。