SNSを長く続けるための秘訣とは?
私には、あまり忍耐力がないという自覚があります。いつも新しいものに飛びつきがち。しかしSNS運用は20年もの間、本当に長く続いています。なぜだろうと考えたのですが、自分なりの「ある工夫」があるのだと気づきました。
ちなみに、LinkedInに初めて登録したのは2004年4月です。米国でのサービス開始が2003年5月なので、日本人としてはかなり早いと思います。初めて創業した会社を売却後の2010年に(理由は忘れましたが)一度アカウントを作り直し、いまに至ります。
2000年代の私のSNS運用は、GREEとmixiがメインでした。今ではもう知らない人も多いと思いますが、当時の東京のベンチャー界隈の「ビジネスSNS」といえばGREEだったんですよね。"つながる"という価値を知り、これはすごい世界が来たぞ… と感じたものです。そして間もなく、mixiが国内で一世を風靡するに至ります。
その後は、Facebook、Twitter、そしてLinkedInと、いくつかのSNSを渡り歩き、軸を移してきました。
SNS運用は、人にもよりますが、「苦行」だと感じる人も多いようです。一時期だけならまだしも、何年も発信を続けるとなるとかなりの継続力、そして忍耐力が必要だということになります。だからこれを「タスク」にしてしまうと、なかなか続かない。
しかし、なぜ私のような忍耐力のない人間がこれまでSNSを続けてこられたのか。それは、(無意識のうちに)「ゲーム性」みたいな考え方を取り入れてきたからだと自己分析しています。もしこれが完全に義務やタスクだったら、とても20年も続いていなかったはずです。
「継続は力なり」をつねに実践できたとすれば、本当にすばらしいですよね。なんでも長く鍛錬を積めば、人はいつの時点からでも成長でき、成果を上げることができる。成功するためにいちばん大切なのは知識や能力ではなく、「ひたすら地道に続けること」だと思うのです。
一方で、多くの人は「継続は力なり」を実践することがいかに難しいかも知っています。みな、「新鮮な気持ちを失い」、「ルーティン化し」そしてとうとう「飽きる」というプロセスを経て、一つのものごとを続けられなくなるのです。
だからこそ、たとえばビジネスにおいても、「ゲーム性」という考え方はかなり大切な要素だと感じます。
ゲームってすごいですよね。一円の得にもならないのに、ハマる人は本当にハマってしまう。強いモチベーションが延々と続いてしまうのです。先に述べたGREE、mixiがその後はゲーム市場へとピボットしていったのが象徴的ですが、そこにはものすごく大きなマーケットがあるわけです。
ゲーミフィケーションという概念があります。どんなつまらない単純タスクでも、「ゲーム化」してしまえば面白くなると。
しかし、これは単純なことではありません。成功させるためにはいろいろな工夫が必要です。米国の心理学者チクセントミハイは「フロー理論」の中で、人がモチベーションを維持するためには「適切な目標設定」と「即時の成果や反応(フィードバック)」が重要だと述べています。
そのポイントは、
・高すぎず、かつ低すぎない適度な目標を設定すること
・うまく進んでいるという「実感」を持てること
・「活動に本質的な価値がある」と確信できること
ということです。
これ、実はSNSの運用にもすべて適用できるんですよね。特に3番目については、普通のゲームよりもSNSの方がはるかに当てはまっているはずです。単にバーチャルな数字やスコアが伸びるだけではなく、その成果が実生活やビジネスにもプラスになり得るのですから。
かつて私がSNS運用をサポートしたある経営者も、なかなかSNSが続かないのが悩みでした。しかし彼は、かなり本格的なゲーマーでもありました。そこで一旦、SNSを「ゲームのように取り組んでみる」ことにしたのです。
その後は、もう圧倒的に伸びました。自分の戦略通りに数字が伸びていくのがとても面白いんですよと言ってました。SNS運用を、やらなければいけないタスクではなく、進んでやりたい「楽しいもの」に転化させたのです。
ゲーム性が強くなり過ぎる弊害にも気をつけるべきではありますが、要は、「適切なモチベーションを維持する」ための自分なりの工夫が大切だということですね。独自にこの仕組みや環境を整えられた人は、ものすごくSNS運用に強くなります。チームで取り組んでみるのも一つの良い手法です。
ゲーミフィケーションはいろいろな仕事に応用が可能だと思いますが、特にSNSには合っていると考えています。成果が数字としてはっきり表れ、かつフィードバックが迅速だからです。チクセントミハイの理論に適合しているということですね。
自分も、あくまで無理のない範囲ではありますが、「ゲーム性」もうまく活かしながら引き続きSNSの運用に取り組みたいと思っています。まあとにかく、楽しみながらやることが大事ですよね。せっかく、人生の貴重な時間を使うのであれば。