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「動かしてなんぼ」と改めて。

 スティーブ・ジョブスは最初、iTunesやiPhoneに対し懐疑的だった、という話を読んでびっくりした。

 2007年iPhoneリリースを行うMacWorld 2007のジョブスのプレゼンテーションは大好きで、自分の英語やプレゼンテーションの練習素材として、何百回も聞いて前半はほぼ覚えているくらいなのだが、

 このジョブスのプレゼンは、正直、彼のiPhoneに対する期待や自信がみなぎっていて、世界中の様々なプレゼンよりパワフルに感じるわけだが、そのプレゼンを行った対象であるiPhoneは、当初はジョブス自身は懐疑的であったと。それを説得したのはアップルの社員だと。

 スティーブ・ジョブスはリーダーとして独善的で、エキセントリックで、かつプロダクトのために全てを捧げていた(そのために、従業員を犠牲にしていた)ような印象がある。明らかに「社員一人ひとりとしっかり寄り添って輝きを解き放つようなリーダー」ではないだろう。

 それでも社員は、立ち向かっていき、結果、ジョブスはこのiPhoneが、最初のマッキントッシュ、iPodと並ぶすごいプロダクツだ!と高らかに宣言し、そしてアップルの代表作のひとつとなったわけだ。 

 僕は国内の様々な会社で講演をしたり、ワークショップをしたりしながら、彼らの悩みに応える。

 ミドルマネジメントやメンバーの方々は、口を揃えて「上司が言うことを聞いてくれない」という。上司が自分たちの「正しい」意見を聞いてくれれば、もっと会社は活性化するのにと。

 しかし、「直属の上司」が言うことを聞いてくれないのであれば、その上の役員や、そもそも社長に訴えればいいのでは?と聞くと、それはなかなかできない、やりづらい、と言う。まあ確かに、社長にガンガン突っ込んでいく社員もあまりいないのかもなぁ、と思っていたが、このニュースを見て、自分は甘かった、と反省した。

 いや、スティーブ・ジョブスに突っ込んでいく方が、世の中のほかの社長に言うより明らかに大変だ。でもアップル社員はそれをやった。そしておそらくそれは一人だけではないだろう。

 これを読んでいるあなたはどうだろうか。自分の仕事に自信を持っていれば、社長に直接問いかけてもいいではないか。ラインを飛び越えるのはよくない、と思う方もいるかもしれないが、ラインと飛び越えないことと、自分が自信があるプロダクトやサービスをしっかり世に出すためにやれること全てやることと、どちらが大事だろうか。
 ラインを飛び越えるかどうか以前に、そもそもまず自分の仕事に、それだけの強烈な自信を持てているだろうか。そして、それを自己満足ではなく、実装するためにやれることを全てやれているだろうか。

 そこは会社員的に忖度して、文句だけ言っているようなことはないだろうか。

僕も、しっかりと自分ができる全てをできているか、そしてそのベースとして自分の仕事に対する強烈な自信を持てているか、常に確認しながら価値を出していきたい。「上司」だから言うことを聞く、ということではない。「上司」は意思決定する、という機能を持っているに過ぎない。

「動かしてなんぼ」なのだ。

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