#リテールメディア 元年到来?キャズム超えた?
いよいよ「リテールメディア」という言葉・概念・取り組みが、キャズムを超えそうな空気がでてきました。いまちょうど、この本を読んでいます。
日経紙面にも目にする機会が増えてきました。
この数年、「リテールメディア」というワードがでてくるたびに、僕的には「もやっとしたもの」がありました。それは、ステイクホルダーによって、定義や理解が曖昧だったことに起因します。
今回、冒頭に紹介した書籍内では、下記のようにリテールメディアを定義されています。
と、されていました。
この書籍の筆者は、望月さんは「これまで広告会社や食品卸会社に所属し、現在は小売企業に在籍」というキャリアの持ち主で、横断的な視点、様々なお立場の知見をお持ちです。(ある意味、商業不動産・飲料メーカー・アプリ開発会社、というキャリアを歩んだ僕も近いかもしれません。)
本を読んで、「やっぱり」と思ったのは、いまいまの、この解釈における「リテールメディア」に、百貨店やSC(ショッピングセンター)は、同一の土俵で議論ができないな、と思った次第です。そんないまいまの、コンビニ・スーパー・ドラッグストアのような業態のリテールこそ、リテールメディアの黎明期〜キャズム超えに立ち会えるのだな、と。
小生も、稀に、テックベンダー様や広告会社様から、リテールメディアの技術提案を受ける機会もあるのですが、彼らの「リテール」に対する解像度の低さから、的を得た提案になってこないことが散見されます。
弊社は、以前から、店舗をメディア化して捉えてきていた歴史があります。
僕がパルコに入社する1年前。2003年「ガイアの夜明け」にパルコが特集されたことがありました。(もう20年前…)
まさに、街は広告で、店舗も、その一部なのです。実際、パルコのサイトには、このようなB2B向けページがあります。
僕が在籍していた時の事例でいうと、2013年、ZOZOと組んだ、この事例が大きかったです。(これも10年前..)
パルコの看板ロゴも、当時のZOZO、WEARのモチーフであった「バーコード」にジャックするというもの。文字通り、リテール(店舗)をメディアとして、外部のブランド(サービス・プロダクト)を認知させるもの。広告出稿費として多額の費用をZOZO様からいただきました。
ただ、この取り組みは、先の書籍のリテールメディアの定義には、まったく当てはまりません。
加えて、パルコの基本的な考え方は、入居いただいているテナント様を第一に考えること。
既に入居いただいてるテナント様からは、出店家賃以外に「宣伝費」という形で、お金をいただいている形となります。事業としては、「外貨を稼ぐ」ことも収益軸として重要なポイントなのですが、それ以前に、「既存テナント様との関係性」のほうが優先されます。
このあたりが、書籍内で紹介されているリテールメディア事例と、根本が異なる部分かと思います。コンビニ・スーパー・ドラッグストアのような仕入れ・販売を行うリテールもあれば、パルコのような販売活動は行わない、商業不動産ディベロッパーも、生活者からみたら、同じ「リテール」。
テックベンダー様や、広告会社様は、そのあたりの理解解像度をあげて、このリテールメディア事業に取り組まれることをおすすめします。
コタツ記事ではなく、実際の事業を行ってきた方、現場を熟知した、のオピニオンから学びの機会を得てみてください。特に郡司さんの記事は必見です。
最後に。僕の一番の、もやっとポイントは、これだった。