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#リテールメディア 元年到来?キャズム超えた?

いよいよ「リテールメディア」という言葉・概念・取り組みが、キャズムを超えそうな空気がでてきました。いまちょうど、この本を読んでいます。

日経紙面にも目にする機会が増えてきました。

この数年、「リテールメディア」というワードがでてくるたびに、僕的には「もやっとしたもの」がありました。それは、ステイクホルダーによって、定義や理解が曖昧だったことに起因します。

今回、冒頭に紹介した書籍内では、下記のようにリテールメディアを定義されています。

(1)小売りを主体とした、顧客と接点を持つメディア、またはプラットフォーム
(2)コンテンツ/広告の配信管理および検証が可能なもの
(3)購買情報との連係は任意とする

望月洋志,中村勇介. 小売り広告の新市場 リテールメディア

と、されていました。
この書籍の筆者は、望月さんは「これまで広告会社や食品卸会社に所属し、現在は小売企業に在籍」というキャリアの持ち主で、横断的な視点、様々なお立場の知見をお持ちです。(ある意味、商業不動産・飲料メーカー・アプリ開発会社、というキャリアを歩んだ僕も近いかもしれません。)

本を読んで、「やっぱり」と思ったのは、いまいまの、この解釈における「リテールメディア」に、百貨店やSC(ショッピングセンター)は、同一の土俵で議論ができないな、と思った次第です。そんないまいまの、コンビニ・スーパー・ドラッグストアのような業態のリテールこそ、リテールメディアの黎明期〜キャズム超えに立ち会えるのだな、と。

小生も、稀に、テックベンダー様や広告会社様から、リテールメディアの技術提案を受ける機会もあるのですが、彼らの「リテール」に対する解像度の低さから、的を得た提案になってこないことが散見されます。

弊社は、以前から、店舗をメディア化して捉えてきていた歴史があります。
僕がパルコに入社する1年前。2003年「ガイアの夜明け」にパルコが特集されたことがありました。(もう20年前…)

「ガイアの夜明け」サイトより

街は巨大な広告だ

若者の街・渋谷には、「広告都市」としての顔もある。渋谷駅前にある3面の大型ビジョン。これらは屋外広告としては日本一の広告効果があると言われている。
渋谷駅の乗降客数は1日約240万人。駅前交差点の1日の歩行者数は約50万人。渋谷にやって来たこれら“消費者たち”は信号待ちの90秒間、大型ビジョン群から流される映像情報の“洗礼”を受けることになる。この大型ビジョン群をはじめ、ラッピングバス、広告カー、屋外看板、街灯フラッグ、さらには、これらを同時多発的に組み合わせる“渋谷ジャック”という手法まで、さまざまな広告宣伝活動が日々、渋谷の街で繰り広げられている。そして、こうした渋谷発の情報がさらにさまざまなメディアや口コミによって全国に広がっていくのである。「シリーズ街を考える」第2弾は、“広告”という視点から「シブヤ」の街の特徴を浮き彫りにしていく。

「ガイアの夜明け」サイトより

まさに、街は広告で、店舗も、その一部なのです。実際、パルコのサイトには、このようなB2B向けページがあります。

僕が在籍していた時の事例でいうと、2013年、ZOZOと組んだ、この事例が大きかったです。(これも10年前..)

パルコの看板ロゴも、当時のZOZO、WEARのモチーフであった「バーコード」にジャックするというもの。文字通り、リテール(店舗)をメディアとして、外部のブランド(サービス・プロダクト)を認知させるもの。広告出稿費として多額の費用をZOZO様からいただきました。

ただ、この取り組みは、先の書籍のリテールメディアの定義には、まったく当てはまりません。

加えて、パルコの基本的な考え方は、入居いただいているテナント様を第一に考えること。

パルコサイトより 出店テナントとのイコールパートナー主義

既に入居いただいてるテナント様からは、出店家賃以外に「宣伝費」という形で、お金をいただいている形となります。事業としては、「外貨を稼ぐ」ことも収益軸として重要なポイントなのですが、それ以前に、「既存テナント様との関係性」のほうが優先されます。
このあたりが、書籍内で紹介されているリテールメディア事例と、根本が異なる部分かと思います。コンビニ・スーパー・ドラッグストアのような仕入れ・販売を行うリテールもあれば、パルコのような販売活動は行わない、商業不動産ディベロッパーも、生活者からみたら、同じ「リテール」。
テックベンダー様や、広告会社様は、そのあたりの理解解像度をあげて、このリテールメディア事業に取り組まれることをおすすめします。

コタツ記事ではなく、実際の事業を行ってきた方、現場を熟知した、のオピニオンから学びの機会を得てみてください。特に郡司さんの記事は必見です。


最後に。僕の一番の、もやっとポイントは、これだった。


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