美食の国日本を色濃く伝える「ディスティネーション・レストラン」
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
世界一ミシュランの星が多い都市、東京。世界的に美食の街と言えばフランス・パリが筆頭にあげられるが、著名なミシュランガイドのリストに掲載されているレストランの数を見えれば東京が圧倒的であり、京都と大阪を加えた「日本」で見てもその数はまさに世界一。他の著名なリストであるゴ・エ・ミヨや世界ベストレストラン50やOADを見ても、日本のレストランは相当数掲載されています。
インバウンドで日本を訪れる外国人観光客にとっても、訪問の主目的に「食を楽しむ」が挙げられています。仕事柄、訪日外国人の話をよく聞きますが、一番聞かれる質問は「おすすめのレストランはどこ?」です。
仕事で東京を訪れた外国人はだいたい週末まで滞在して、他の都市にも滞在することが多いです。初回は富士山や京都を目指すことがほとんどですが、2回目以降となると私も訪れたことのないような地方都市に行っていたりします(先日も週末どこかいった?と聞いたら、ねぶた祭りを見てきたと言われました)。
ミシュランガイドがタイヤメーカー主催であるように、欧州では高い評価を得るお店は得てして訪れるのに不便な場所にあることが多いです。例えば3つ星の定義を見ても「三つ星:そのために旅行する価値のある卓越した料理」とされています。料理人がその場所にいることで見える景色がある。つまり、動植物の生態系、それは土地の持つ地形や地質、気候や季節の移ろいを投影しており、そこに料理人の創造性、経験や技などが組み合わさって人間の営みを映し出しているのです。
代表的な場所にフランス・オーベルニュ地方のミシェル・ブラスがあります。かつて北海道の洞爺湖に世界初の支店が存在していましたが(軽井沢の話はどうなったのだろう。。。)、自然から料理を創作する天才料理人にとって、土地の風土こそがもっとも大切であるという考え方からこの地に支店を出すことを決めたそうです。
「わざわざ旅行してでも訪れる価値のあるレストラン」は、美食の国日本をより際立たせる可能性があり、またオーバーツーリズムが問題となる現在において集中を緩和する目的地(ディスティネーション)の多様化に貢献するかもしれません。
ジャパンタイムズが発表している「Destination Restaurants」はまさにそのような考え方でリストを構成しています。
東京で26年もの長きにわたり活躍してきた名店のシェフが、理想の土地に出会い瀬戸内でレストランをオープン。まさに料理人がその場所にいることで、新たな景色が立ち上がる好例でしょう。
最近では有名店のお鮨屋さんがニューヨーク進出を目指しています。日本文化を代表する鮨を世界に広める意味ではとても良いと思いますが、国内にもたくさんの魅力的な場所が存在しています。日本人であるわたしも知らなかったような土地に、新たな景色が立ち上がる様子をもっと見てみたいと願っています。
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タイトル画像提供:KONY Photo / PIXTA(ピクスタ)