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善か悪か。白黒つけて論破するよりグレーを理解することが大切だ

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

最近、論破が流行っているらしい。相手の説の矛盾を突いて破り、言い負かすことに快感を覚えるのでしょうか。なるほど、ネット世界で「はい論破!」としてマウントを取りたいほど、日常生活で不満が溜まっていることの現れかもしれません。

正解か不正解か。善か悪か。そのような二元論は昔から見られます。一方で、世の中はそれほど単純ではなく、どちらかというと右よりかな?左寄りかな?というような渾然一体となったものでしょう。必要なのは意見の裏にある背景の理解であったり、相手がもっている情報をよく知ることによってこちらの考えもアップデートされる。結果としてよりよい落とし所が見つかる。社会においてこのような対話が重要であり、ひいては民主主義社会を適切に運用することにもつながります。

このような概念が男女という性別にも当てはまると言ったら驚くでしょうか? 実は近年の研究では、性の捉え方は男女という2つの区分ではなく「グラデーション」として捉えたほうが適切なのではという指摘があります。

――性スペクトラムの考え方を教えてください。

「2015年ごろから性を再定義する研究が広がり、完全な男、完全な女はむしろ少数派だとわかってきた。男と女の特性はグラデーションでつながっているというのが新しい性の概念。ホルモンのバランスによって女性でも声が低かったり、男性でも胸が膨らんだりすることが頻繁にある。いろいろな性のバリエーションを持っている人が多くいる」

(筆者略)

――多様な性が共通認識になると、社会はどう変わりますか。

「性とは人間の個性のことで、その人らしさを作っているものと理解したい。何かができるのも、できないのも個性で様々なバリエーションがある。人種や民族もグラデーションだし、国境も人工的に引かれたもの。性スペクトラムの概念は、人間が多様であることを前向きに受け止めるきっかけになると思う」

日経電子版

確かに性別でさえグラデーションなのであれば、あらゆるものの多様性が理解できてくるかもしれません。これまでの常識を元に物事を単純化して判別することは比較的容易なことですが、もうちょっと思考を進めることで見えてくる新しい世界が社会を進歩させるのでしょう。

この記事を読んで思い出したことがあります。それは「量子コンピューター」の世界です。ちょっと難しい分野ではありますが、その仕組みをわかりやすく解説したものがありますので紹介します。

デジタルの世界が0と1の組み合わせで情報を処理していることは広く知られています。このビット(0と1とで表す情報単位)使って演算処理をすることで、求める計算を実現しているのがいまのコンピューターです。

量子コンピューターは「0でもあり、1でもある」という量子ビットを単位にしています。直感的に理解がし辛いと思いますが、0と1とが重ね合わさった状態をつくりだすことで、同時に大量の情報を扱えるようになりました。これにより、飛躍的に計算回数自体を減らすことができるので、考えられないような高速の演算が実現できるという原理です。

まさに先程の男女をビットとして考えると、どちらでもある状態(グラデーション)を認識することで飛躍的に社会が進化しそうな気がしていますし、そうなることを個人的には願っています。

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タイトル画像提供:EKAKI / PIXTA(ピクスタ)

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