円安とクロスボーダーM&A
色々な論点があるかと思いますが、マクロ(特に為替市場)的にはこの一件だけで対外直接投資(FDI)が例年のペースを遥かに凌駕することになります。言うまでもなくFDIはアウトライトの円売りであり需給的には明白な円安要因となります。ここに前月こぞって公表された大手生保の18年度運用計画におけるオープン外債への意欲が本物だとすると、ドル/円相場は下がりにくいという話になるでしょう。もっとも、オープン外債への意欲は例年示されているものであって今年限った話ではありませんが・・・本音は「(ドルが良いところまで)下がったら買いたい」でしょう。
いずれにせよ為替が円高であろうと、円安であろうと、本邦企業のクロスボーダーM&Aはこの10年間でしっかり伸び続けており、相場に振らされない経営戦略と言って良さそうです。金融危機後は円高を活かして増えているという解説が目立ちますが、アベノミクス直後に50%円安になってもFDIは増えました。人口減や電気代の高さなどが説明変数でしょうか。だとすると、今後もこの流れは続くと見て良さそうではあります。しかし、対外的に積み上がったFDIは将来的な第一次所得収支の黒字として円買いの遠因になることも留意したい所です。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30175920X00C18A5MM8000/
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