カーシェアの普及と展望
カーシェア業界首位のタイムズレンタカーは売上は2019年上半期で163億円(前年同期比125%)、設置台数は2万5千台(前年同期比115%)と順調な伸びをみせています。
設置場所、設置台数が増えていることで、借りたい時に借りたい場所で、いつでも借りられる状態が実現されてきています。
将来不安による経済合理性の高まり
人は不安に突き動かされる側面があります。
年金問題は最たるもので、若年層は将来への不安から、できるだけ無駄な出費を避けたいという気持ちが働くのは自然な感情です。
車の所有は、生活の中に占める大きな支出ですが、一般的な車の稼働率は5%程度と言われており、年間12,000km以下しか車に乗らない人は、カーシェアにした方が安くなるという試算があります。
公共交通機関が発達していて通勤・通学に車を使用する必要のない都会の若者が、車を所有せずに、必要な時にだけ使うカーシェアを選択するという判断は、いたって普通の考え方だと捉えられます。
「持っていない不安」が消失
社会的に車が不足していて、乗りたいときに乗れない状態が頻発すれば、たとえ稼働率が低くとも、自分で車を所有して、いつでも乗れるように占有したくなります。
それでは、現代日本では何人が運転できて、何台の車が存在しているのでしょうか。
日本では8,215万人の運転免許証保持者に対して7,662万台の車が存在しています。ほぼ1人に1台ある上に、稼働率を考慮すると、余るほど車があり、占有する必要性がないことがわかります。
経済が成熟して、ものが溢れた結果、所有する必然性が少なくなっていることも、カーシェア普及を推進する大きな要因です。
カーシェアの将来展望
現時点のカーシェアは、都市部での普及が進んでいます。
しかし、将来は田舎の分散した集落の維持が難しくなり、地方都市への集約が進んでいくことが予想されます。コンパクトシティでは移動距離が限られるようになるため、12000kmルールが適応できて、カーシェアの利用の合理性が高まっていき、より全国的な普及が期待できます。
そして、現状では車を借りた場所で返す必要があり、乗り捨てに耐えられる程の柔軟な運用ができるまでには、カーシェアは普及していません。
今後、閾値を超えて乗り捨てが実現されるようになれば、経済合理性だけではなく、利便性の観点でも自動車保有に対して優位に立ち、さらに加速度的に利用が推進されていくでしょう。
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