米国の対中貿易強硬姿勢に対し、中国は一歩も譲らずにここまできた。8月4日に米国による2000億ドル相当の対中輸入関税25%引き上げ計画に対する報復として、米国からの600億ドル相当の対米輸入関税引き上げを発表。8日に米国が160億ドル相当について25%の関税引き上げを発表すると、中国は160億ドル相当の米国製品を対象に25%の関税を米国と同じ発効日8月23日から賦課することを確認。

 中国は米国主導の報復合戦に引きずられず、うまく受け身でやり過ごすもの、と金融市場は受け止めていたがこれまでは真っ向勝負で来たため、意外でもあり、米中貿易戦争による実際の影響を図りかねてもいる。実際、これまでの中国は自動車や商業銀行分野などで外資出資規制の撤廃を発表するなど、米国を含めた外国勢に対して門戸を広げるなど懐柔策を取ったり、成長安定策として内需刺激策を取る姿勢を示したり、受け身も披露してきたからである。

 中国は次の一手をどう置くか。報復合戦を続けることも、懐柔策を取ることも想定できる。しかし、中国が最も望むのは、少なくとも米中間選挙の結果が出るまでの時間稼ぎ、ではないか。なぜなら、中国は米政権の一連の行動が米国経済にとっても自滅的だと気付いているし、目先ではEUや日本が必ずしも米国と組んでいるわけでもない、からである。一気に不利にならないのなら、どちらかに過度に進むより、米中間戦争の結果次第では中国への強硬姿勢が一気に緩和する可能性を待ってみるのは賢明な選択であろう。

 米国と中国の貿易摩擦をめぐる事務レベルの協議が22-23日に開かれる。目立った進展があるか不透明ということだが、そう考えれば、進展などしなくていいのではないか。中国にとっての次の一手とは、時間を稼ぐ、ということに他ならない、ように見えるから、である。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34251190X10C18A8000000/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?