見出し画像

夫婦別姓で問題となることはなにか?

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

個人的に注目していた訴訟ですが、25日に東京地裁で退けられました。

2015年に最高裁が合憲と判断した「夫婦同姓」を巡り、別の論点から国相手の訴訟を起こしていたソフトウエア開発会社「サイボウズ」の青野慶久社長(47)らの訴えが25日、東京地裁で退けられた。家族のあり方が多様化するなか、司法判断の確定後も夫婦別姓を求める声はやまず、議論はくすぶり続けている。
(略)
夫婦の姓を巡って最高裁は15年12月、「夫婦同姓は日本社会に定着しており、合理性がある」などとして「夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を称する」とする民法の規定を合憲と判断した。
そこで青野氏らは民法ではなく戸籍法に着目。同法の規定では、日本人が外国人と結婚した場合、同姓か別姓かを選べることになっているのに日本人同士の結婚で選択できないのは不平等だ、と主張した。

「夫婦同性は日本社会に定着している」のは確かにそうでしょう。しかしながら、近年のライフスタイルも変化しており、家族のあり方も多様化しています。そもそも「夫婦同性」は明治期に施行された旧民法で規定され、今の民法にも継承されているものです。さすがに明治期と現在ではかなり時代が変化したわけで、改定の議論があるのも当然だと思います。

例えば、ここ30年あまりで共働き世帯は600万世帯から1200万世帯弱とほぼ倍増していますし、都内に絞ってみれば49%の世帯が共働きとなっています。

現状では法として夫婦別姓が認められていませんが、職場での運用状況はどうでしょうか。

結婚後も職場での呼び名に旧姓が使えた職場は約75%。使えなかった職場の5.6倍もあって、かなり多い。
旧姓を使い続けることにした人と新姓に変更した人の割合は大体半々。旧姓を名乗ることは珍しくなくなっている。

なんと、半分の人は旧姓を利用し続けることを選択していました。意外と多いと感じる方も多いのでは? 新姓を選択した人も「職場で認められなかった」「結婚を報告したら自動的に戸籍名に変更された」など、職場環境や職場の方針などを理由とする回答が多くを占めました。

旧姓を利用するメリットとしては、

・改姓前から付き合いのある仕事関係者に同一人物と認識してもらえるため
・取引先・顧客等社外の人に姓が変わったことを伝えなくてよいため
・結婚・離婚などのプライベートな情報を知られたくないため

等があげられています。個人的にはキャリア育成上もメリットが多く、むしろ旧姓と新姓で分断されてしまうと不都合が生じる局面もあります。

・掲載されたインタビューや論文などの実績がわかれてしまう
特許は戸籍名が必須のため、旧姓利用をしている場合は説明が面倒
・ホテルの予約をクレジットカードですると戸籍名になってしまい、出張時には困ることがある
・旧姓と新姓をつなげる証明書が、戸籍謄本しかない(最近はパスポートに併記できるようにはなりましたが)

デメリットについてはいくらでも書けそうです。なぜなら、わたしも提訴した青野さんと同じく、旧姓 村上でずっと仕事をしているからです。状況としては女性と結婚し子供がいるという家族ですが、家では新姓・職場では旧姓で使い分けています。仕事関係の友人と子連れで遊ぶときは、当然旧姓で呼ばれるわけですが、子供にとってみれば聞き慣れない名前で呼ばれるわけです。それでなにか問題があるかというと全くなく、「お父さんは仕事では結婚前の名前のままなんだよー」とすんなり理解しています。

わたしの経験上、夫婦同性を強制されたことによるデメリットは山ほどありましたが、別姓で課題を感じたことは皆無です。今回の議論も「選択的夫婦別姓」ですので、同性がよい人はそうすればよいですし、別姓がよいひとはそれを選べるようにするだけ。これだけ旧姓利用が一般的になっている現在においては、十分に「日本社会に定着している」と言えるのではないでしょうか?

本件は控訴する予定とのことなので、引き続き応援していきたいと思います!ぜひみなさんの意見も↓にコメントしてくださいね。

---------
みなさまからいただく「スキ」がものすごく嬉しいので、記事を読んで「へー」と思ったらぜひポチっとしていただけるとモチベーションが高まります!

タイトル画像提供: Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

いいなと思ったら応援しよう!