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数は揃えられても、インクルージョンが苦手な日本の組織

厚生労働省の発表によると、2024年10月時点で日本で働く外国人労働者は230万人となり、前年より12.4%増加した。この増加幅は25万人で、2008年の統計開始以来最大となる。人手不足の影響で、企業が外国人労働者の採用を強化した結果だ。

国際的な外国人労働者の獲得競争が激化する中、日本で働くことを希望する外国人は依然として多い。しかし、日本の組織は多様な人材のインクルージョンに課題を抱えており、単に外国人労働者の数を増やすだけでは長期的な解決にはならない。

外国人労働者の増加とインクルージョンの課題

外国人労働者は日本の人手不足社会における重要な担い手となっている。産業別の伸び率を見ると、医療・福祉が28.1%増、建設業が22.7%増、宿泊・飲食サービス業が16.9%増と、多くの業界で必要とされている。一方で、インクルージョンの視点から見ると、日本の企業は多様な人材を組織に定着させることに苦戦している。

学術的には、インクルージョン(inclusion)とは「組織において多様な属性の人々が受け入れられ、尊重され、平等な機会を持ち、積極的に関与できる状態」と定義される(Shore et al., 2011)。しかし、日本企業はこのインクルージョンの実現において遅れを取っている。

組織と人事のシステムを変えなければならない

外国人労働者の長期的な活躍を期待するのであれば、単なる雇用の確保にとどまらず、組織内でキャリアを積み、重要なポジションに就けるような環境整備が必要である。しかし、現在の日本の企業文化では、外国人労働者がリーダーシップポジションに就くケースはほとんど見られない。

さらに、日本企業は外国人労働者どころか、女性社員のインクルージョンですら諸外国と比べて成果を出せていない。例えば、世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」では、日本の女性管理職比率は依然として低水準にとどまっている。このような状況の中で、外国人労働者の活躍を推進することはさらに困難である。

日本でのキャリア成功を可能にする組織改革

喫緊の人手不足に対応するため、外国人労働者を増やすだけではなく、日本で長期的にキャリアを築き、成功を掴めるようにするための組織改革が求められている。

  1. 昇進機会の提供 - 外国人労働者が中核的なポジションに就く道を開く。

  2. 多文化環境の整備 - 言語や文化の違いを尊重し、インクルーシブな職場文化を構築。

  3. 人事制度の柔軟化 - 日本特有の年功序列から脱却し、実力主義の評価制度を導入。

  4. キャリア開発の支援 - 外国人労働者向けのスキルアップ研修やネットワーキングの機会を提供。

これらの施策を進めることで、日本は外国人労働者にとって単なる「労働市場」ではなく、「キャリアの成功を実現できる国」へと変わることができるだろう。

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