未来を変えるタイムリープと現実の社会実装
過去にもどって未来を変えるタイムリープもの。現在の行動が未来を変えていくということも同じです。ただ、自分の日常生活での行動が未来に影響すると思えずに、無力感を覚えていますことがあります。
未来は変えられる
タイムリープという設定が好きです。過去にもどって、未来を変える。さまざまな映画や漫画や小説などがあります。最近では、『東京リベンジャーズ』という漫画も人気で、映画にもなっています。かつて『バタフライエフェクト』という映画もありました。大切な人を救うために、幾度となく過去に戻る、という切ない物語でした。
未来は変えられる。世界は変えられる。その感覚は、閉塞感とは真逆のものです。僕は、この感覚を信じたい。未来は変えられる。そう信じたい。
世界が抱える課題を解決するスタートアップを育てるMistletoeを設立したの孫泰蔵さんも、自分のこどもに、何かひとこと言い残すとしたら「世界は変えられる」という言葉だと言っていました。
変えていけるのか
しかし、一方で、時代を変えるなんて、自分には無理なんじゃないかと思ってしまうことがあります。
コロナ対策の状況をみていても、自分とは関係のないところで、自分とは関係のない人たちが、自分とは関係のないことをやっている。
そんな風に、無力感を覚えてしまうことがあります。この無力感は、けっこう厳しくて、暗澹たる気持ちになります。
後戻りのない変化
話は変わりますが、人体は3次元構造物で、手術も3次元空間の中で行います。しかし、CTやMRIなどで撮像した医用画像は2次元のデータです。医師は、頭の中で、この2次元の画像を、3次元に再構築します。つまり、想像して記憶して、それを頼りに手術を行うわけです。
この医用画像の活用状況は、下の図のように、変化してきました。レントゲンは1枚の2次元の画像を、2次元モニターで閲覧していました。CTやMRIにより、複数の2次元の画像を、2次元モニターで見る時代がきました。次に、3次元データを構築し、それを2次元モニターで見る時代となりました。そして、ようやく3次元データを、3次元オブジェクトとして、3次元空間の中でホログラムとして見ることができる時代を迎えます。
僕が取締役として関わっているHoloeyesが、東京都戦略制作情報推進本部との共同で、都立病院での実証実験を行いました。その結果、上記の「2次元データを2次元モニター」「3次元データを2次元モニター」「3次元データを3次元空間」の比較により、解剖学的理解がどのように変わるか、という定量評価が得られました。
予想通り、「2次元データを2次元モニター」「3次元データを2次元モニター」「3次元データを3次元空間」の順で、理解度が高まりました。
これは、手術件数50件以上、専門分野の手術経験を一通り持つ15年以上のベテラン専門医でも、そうでした。経験の浅い専門医や、後期研修医では、その理解度の違いはさらに大きなものとなっていました。
導入されなければ存在できない
感染症対策による影響に、緊急性の高くない手術が延期になるというものがあります。また、健康診断や検診などの延期、それによる癌などの早期発見者数が減っていることなどもあげられています。
こうした手術は、必要がないわけではなく、今後、状況の変化によって、一気に対応が求められる可能性があります。そうした状況における外科医の確保が求められます。
VRなどの体験は、認知を大きく変えてくれます。現在医療関連でもVRやMRなどの技術活用が進みつつあります。
先のCT/MRIなどの医用画像を用いた臨床現場や教育、患者説明まで広く貢献できるもの。実写映像による臨場感を伴った教育コンテンツ。フルCGで構築されたインタラクティブな教育シミュレータ。
人を救う現場で活躍される人を育て、現場で支える技術です。しかし、技術が存在していても、それを活用することができなければ、存在していなことと同じです。
使う人が未来をつくる
料理は、それを食べる人がいなければ、いずれゴミとなってしまいます。社会実装を図ること。それこそが、社会を変えることにほかなりません。消費者、生活者、利用者などさまざまな言葉がありますが、私たち使う側こそが、社会を変える、最後の1ピースを埋めることができるのです。
今日、何を食べるか、何を使うか、何を買うか、それが明日の世界をつくる。
僕の今日の行動は、本当に小さいものかもしれません。しかし、その積み重ねが、世界を変えていくのだと思いたい。厳しい状況が続いていますが、その中でも、少しずつ、望ましい未来につながるようなことを、積み上げていきたいと思います。
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