チョコレートが買えなくなる!?カカオ豆の歴史的高騰
カカオ豆が市場最高値を更新し続ける異常な高騰が続いています。約半年で先物価格は1トン当たりで約3.4倍に。銅の価格を超えたらしいです。はっきり言って異常な状態です。史上類をみないカカオ豆の高騰により、チョコレートの価格は大幅に高騰する未来が予想されます。今カカオとチョコレートの世界で何が起こっているのかをお伝えしたいと思います。
史上最高値を更新し続けるカカオ豆
2024年4月19日ニューヨーク先物市場における1トン(1000㎏)あたりのカカオ豆の価格が12,218㌦となりました。もちろんこの価格は史上最高額です。
この額がどのくらい衝撃であるかは、多くの皆様にはわかりづらいかもしれないが、世界中のカカオトレーダーやカカオ関係者、チョコレート関係者には異常といえる衝撃な数字なのです。
約半年前の23年8月31日現在では、3,633㌦/㌧でした。
つまりたった半年の間に価格が約3.4倍に跳ね上がったのです。
なんとこれは、銅の価格(1トン9300ドル台)よりも高い水準なのです。
原因は気候変動。歪んだ供給の現在地
2019年データではありますが、カカオ豆の年間生産量に対して、上位3か国で、67.5%が生産されています。
上位の生産国に極端に依存しているのがカカオ豆の生産の現状なのです。
全世界に60数か国生育地域があるといわれるカカオ豆においてです。
異常な値上がりは、需要に対して供給が追い付いていないことが大きな原因です。ICCOの予測によると、23〜24年度の世界のカカオ豆生産量から消費量を差し引いた供給不足幅は約37万トンと、過去10年で最大の供給不足となる見通しとのことです。
そして、その発端は、2か国で、世界生産の過半数を占めるコートジボワールとガーナの不作に伴う供給不安から起こったといわれいます。
原因は異常気象とそれに伴う病害発生などの影響といわれています。
それにより2か国の収穫が大きく落ちこみました。国際ココア機関(ICCO)によると2月時点でこの2カ国の主要港湾に集まったカカオ豆の集荷量は例年の7割程度とのことでした。つまり前年比3割減ったことになります。
加えて、ガーナでは国政も影響しています。ガーナは22年12月、事実上のデフォルト(債務不履行)に陥ったため、政府の資金不足により、ガーナでカカオ豆の流通を管理する政府機関のガーナココア委員会(COCOBOD)は農家からカカオ豆を購入する資金を調達することに苦戦しており、農家から十分に買付をできていないのです。そのため、ガーナから十分にカカオ豆が出荷できていないことも価格高騰に拍車をかけています。
注目すべきは、生産地の異常な偏りです。
これはヨーロッパの植民地貿易時代からの歪んだ産業構造に起因しています。古くは大規模な黒人奴隷農園として西アフリカに整備されたカカオ農園の構造がそのまま残り続け、生産量のほとんどをそこに依存する体制です。効率的な奴隷システムから、カカオ豆はかなり安い値段で世界に流通して、それに世界中のチョコレート業界が支えられているという現実なのです。
この構造により、先進国の私たちは安価でチョコレートを食べられるという恩恵の裏に、カカオ農家の貧困と児童の強制労働の問題があります。
カカオバイヤーとして10年以上取引をしている身からして、この問題は一筋縄で解決はできないと常々感じながらも、過度に依存するこの体制には常に警鐘を鳴らしてきましたが、今回の生産量減により、その異常な偏りの弊害が大きくでたといえます。
チョコレートが買えなくなる!?価格高騰はいつから?
カカオ豆という原材料が歴史上類をみない高騰となったことは、チョコレートの価格高騰がほぼ確実に起こります。
問題は、それはいつからで、どの程度高くなるのか?
多くのチョコレート加工業者は1年半前から買付をしているため、現在高騰した価格で買ったカカオ豆がチョコレートの価格に反映されるまでにタイムラグがあります。
そのため、ここからは私の完全に予想ですが、市場に出回るチョコレート商品の価格が本格的に上がっていくのは、今年の夏以降で、9月から年末にかけてではないだろうか。そして、来年のバレンタインには確実に値上がりするのではないかと予想します。
ではどの程度高くなるというと、それはチョコレート商品を売っている各社の方針次第と言わざる得ないためとても難しいが、値上げは確実に避けられないと思います。そして、当人のMinimalでも商品価格をどの程度上げざる得ないのかを今まだ決めれていません。
しかし、確実にカカオ豆の平均買付価格はMinimal史上最高値を更新する見込みであります。
具体的な金額はなかなか言えないが、チョコレート業界の構造上何が起こるかというと、廉価な安い商品の方が確実に値上げ幅が大きくなるだろうと思います。
スーパーやコンビニに並んでいる廉価なお菓子商品は、カカオ豆の価格が2,000~3,000㌦/㌧という価格を前提に成り立っている商品です。
その原材料であるカカオ豆が3倍~4倍になると、その上げ幅を価格で吸収することが難しいため、価格は2倍~3倍、下手したらそれ以上になる可能性が高いと予想します。
考えるべきタイミング
この異常な状態は、ビジネスを行っている立場の僕からするとかなり厳しい状況といえます。
上述した高騰した価格はコモディティといわれる品質が劣るカカオ豆の価格です。コモディティ豆がここまで高騰すると、当然Minimalが買っている高グレードのカカオ豆にも影響して、さらに高くなります。
さらに日本に限って言えば、急激な円安が直撃します。
つまりMinimalの買付価格は、ただでさえドルベースで高くなったカカオ豆が、円安の影響でさらに高くなってしまうのです。
正直Minimalを始めて10年間で一番厳しいと言わざる得ない状況です。
しかし、経営者としてはその外部環境を憂いていても誰も助けてくれないし、現実はどんどん進んできます。
こういう時こそ、ビジネス全体構造や、自分たちが提供したい価値を考えるタイミングではないと自問します。
チョコレートは嗜好品です。
生活上なくても成り立つものです。今回のカカオ豆の高騰によるチョコレート価格が高くなったとして、お客に選ばれるものであり続けられるかはとても重要な問題です。
創業以来、嗜好品としてチョコレートを価値を高めていきたいと思っていました。そのために、自分たちの技術やサービスを常に磨き続けていきました。
創業以来、カカオ豆とチョコレートの業界構造の歪みや甘くない現実(農家の貧困や児童の強制労働など)を見つめて、この構造を変えることができないかをずっと試行錯誤していきました。
廉価なお菓子チョコレートから高級ショコラまですべからくビジネスを見直し、値上げをせざる得ない状況です。これはMinimalも例外でなく、とても厳しく経営の根幹を揺るがす事態といえますが、カカオとチョコレートが本当にお客様にとって必要なものかが問われる状況は、確実に何かしらチョコレート業界を変えるきっかけになると思います。
自分たちの提供するチョコレートの価値は何か。
カカオとチョコレート産業が抱える問題をどう解決しながら、サステナビリティを担保していくのか。
この歴史的な節目に、そこを徹底的に考えて、実行したいと思います。
この先も、生産者と消費者、そして社会にとって意味と価値があるチョコレートを届けれらえるブランドになれるように努力します。
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