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依然として厳しい女性の就業環境

1月の有効求人倍率は2か月ぶりに上昇しましたが、より先行性の高い新規求人倍率は低下に転じております。背景には、緊急事態宣言再発出により対人関係の希薄化というところに関連する業種で大きく求人が減ったということがあります。

特に、対人関係の希薄化に関連する業種の特徴として、主に2つ挙げられます。1つ目が、女性の非正規比率が高いことです。しかし、非正社員の方が雇用調整を行いやすいため、より求人が減りやすかったと考えられます。実際、コロナ前の 非正規雇用比率を男女別に見てみると、男性は2割強に対して女性が 55%以上あり、こうした要因も女性雇用が大きく減りやすい背景になっています。

そして2つ目が、緊急事態宣言の再発出で、サービス関連や卸・小売といった、女性比率が高い職場で求人が減ったことです。実際、就業者数の男女別変化を業種別に見てみると、コロナショックの第一波が到来した昨年春にかけて宿泊・飲食サービスや生活関連サービス等で女性がかなり減っており、夏にかけては卸・小売のほうで女性の減少が目立ったことがわかります。

また、昨年夏以降は就業者数が回復傾向にある医療福祉分野でも、昨年春から夏にかけては大きく女性の就業者が減っており、コロナ禍によって人のニーズが強まっていたにもかかわらず、労働市場から女性を中心に退出をしていたことを垣間見ることができます。

こうした中、政府もコロナ禍の女性への影響と課題への対応を進めつつあります。例えば、3 次補正には、DV、性暴⼒、⾃殺等対策として、新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付⾦の創設(厚⽣労働省 140 億円の内数)、配偶者暴⼒被害者等への相談・⽀援の強化(内閣府 4.3 億円)、性犯罪・性暴⼒被害者等への相談・⽀援体制の強化(内閣府 3.4 億円)等が盛り込まれています。また、エッセンシャルワーカーの処遇改善として、新型コロナウイルス感染症緊急包括⽀援交付⾦(医療、介護、障害福祉、児童福祉)(厚⽣労働省 1 兆 1,763 億円)、診療・検査医療機関をはじめとした医療機関等への感染拡⼤防⽌等の⽀援(厚⽣労働省 1,071 億円)なども盛り込まれています。

さらに、ひとり親家庭への⽀援として、ひとり親世帯臨時特別給付⾦(厚⽣労働省 737 億円)が予備費から計上されており、ひとり親家庭等相談体制強化事業(厚⽣労働省 4.0 億円)、テレワーク対応として、中⼩企業⽣産性⾰命推進事業(特別枠)(経済産業省 2,300 億円)も3次補正に盛り込まれています。

一方、人材育成・就労支援として、地域⼥性活躍推進交付⾦(内閣府 1.5 億円)、⼈材開発⽀援助成⾦による他業種転換⽀援(厚労省 10 億円)、雇⽤と福祉の連携による離職者への介護分野への就職⽀援(厚⽣労働省)、感染症の影響による離職者を試⾏雇⽤する事業主への助成(トライアル雇⽤助成⾦)(厚⽣労働省)が3次補正に盛り込まれています。

しかし、いずれの政策も各自治体の対応次第で成果も変わってくることになるでしょう。このため、政府は予算を配分するだけではなく、各自治体の取り組み状況を厳しくチェックすることが必要になってくるでしょう。

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