社長は、どこででも働けるようにする。それが、事業の継続だろう。
日経COMEMOの意見募集で、とても面白い企画があったので、私も自分の意見を述べてみたいと思う。ずばり、「#社長に出社してほしいですか」である。
ここでの「出社」とは、会社に出ることを意味しているだろう。とすると、私の考えは、「社長は出社しなくても働けなくてはいけない」である。つまり、この質問に対する答えは、「出社して欲しくない」に近くなるだろう。
なぜ、社長は専用車
今回、コロナ禍になり、確かに私たちの働き方に変化が発生し、結果社長の働き方にも、変化が出てきた。これは事実だ。しかし、社長の働き方の変化は、以前から継続していたものだろう。
例えば、FAXが登場した時に、多くに企業の社長宅にFAXが導入され、重要な書類に関して、会社と社長宅に、ホットラインが開設された。これにより、社長のWorkinhg From Home、在宅勤務が顕著になった。
そして、バブルの頃の、社長専用車には、大きな移動電話(自動車電話)が積み込まれた。このことより、社長の専用車は、動く会議室になった。もちろん、もともと社長専用車の導入の理由は、移動の安全性や、時間の効率性などからからだろう。しかし、その車が自動車電話と出会い、社長といつでも会議ができる状態になった。そして、今はもっと、簡単な携帯電話になり、社長の電話は、本当に重要なものになっただろう。
つまり、時すでに、社長はどこでも働ける状態になっているのではないだろうか?それも、テレワークという言葉が、一般的になる前から。
今後は、詳細な会社のデータにアクセスできる状態になっているかが重要
このように、社長はすでにテレワーク可能な状況になっている。しかし、そのテレワークは完成ではない。今後は、より詳細なデータ、例えば、会社の財務状況や、人事データなどに、社長がどこからでもスムーズにアクセスができることが求められている。そして、タイミングを逃さず、関係者と協議ができ、重要な判断を伝える。このことが求められている。
例えば、会社のデータ・サーバーと、社長の自宅や、社長の車が専用のネットワークで結ばれていれば、社長はどこでも経営ができるはずである。これは、テレワークの普及とは別の事件の、会社の事業継続のために欠かせないものだろう。
つまり、社長のテレワークは、コロナといった感染症の問題だけではなく、震災の時に多くの会社が議論していた、事業継続に関係する事柄なのである。多くの企業で、東日本大震災の直後に、BCP(事業継続計画)について、取りまとめたと思う。例えば、地震で本社機能が失われたとしても、会社の経営を持続させるためにどうしたらよいのか。つまり、BCPの中に、おそらく社長がどこからでも経営できるという状況について検討していたのではないだろうか?
同じことを、政府機関も行っており、参考になる取り組み例は多い。
最後に実際に、社長が出社しなくても、経営できるか行う
私の考えは、このように社長は出社しなくても、働ける状態にすることが重要だ、ということになる。
そして、最後にこのBCP(事業継続計画)を、実践したことのある会社はどの程度あるだろうか、問いたい。1年に1度の防災訓練とは言わないが、一度本社機能を、仮想的に別な場所に動かしてみる。社長に、実際に出社してもらわずに、1日会社を運営する。などなど、実際に実践してみたほうが良い。
そのことで、出社しないといけないことも、明確になるはずである。