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MMT理論だけじゃない!財政研究のあれこれ〜財政赤字は正義なの?〜

 みなさま、こんばんは!エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。おかげさまで崔真淑著「30年分の経済ニュースが1時間で学べる」も1万部達成!

 そして、8月には2冊目が刊行されます!翔泳社さんから「日常が学びに変わる!ど素人でもわかる経済学」という少しキャッチーなタイトルではありますが中身は真面目です!本当に貴重なご縁に感謝です。新刊には、計量経済学やファイナス理論ビジネスでこんなに活かせたよ!という私がここは知ってほしい欲しいという経済学の応用ジャンルを掲載しました。理論だけでなく経済学はこんなに社会に応用されているののね!と感じてもらうために、データを使った実証研究の紹介も沢山しています。新刊については、また後日に詳しい紹介させて頂けたら幸いです。

*資本市場でも巷でも話題のMMT理論

 今回は、崔真淑著「30年分の経済ニュースが1時間で学べる」でも紹介した財政赤字の話です。このところ、MMT理論が話題になり、自国通貨建の財政出動は善とする動きが出ています。でも、これは経済成長率を高めるかの因果は定かではないんですよね‥。更には、財政赤字に関してデータで検証されたものでもありません。世の中には、ノーベル経済学賞級の、つまりいろんな批判に耐え抜いた頑健なデータを使った財政検研究も沢山あるんです!これを見ずして、MMT理論ありきで財政問題を語るのは危険だと思います。

そこで、日経CNBCコーナー「崔真淑のサイ視点」に、GOB Incubation Partners株式会社 CFOの村上茂久をゲストに招いてデータを用いた最先端な財政研究を紹介してもらいました!詳細は、同番組のVODを見ていただけたと思うのですが、ご許可を頂いてこれは知ってほしい!という内容を記載していきます。

*金融経済読書会

 村上さんは、FED(金融経済読書会)の代表を務められており、10年以上続く読書会を続けおられます。私も何度か参加させて頂いたのですが、ここで取り上げる本は本当に面白い!村上さんご自身が経済学修士号をお持ちなのと、金融機関でのご経験もあるかと思います。メディアからも注目されている読書会です。この読書家では様々な財政研究の書籍も課題本にされており、村上さんはこの分野についてもサーベイされてこられました。(実は私の書籍も課題本にして頂きました!)


*今回は違うと財政赤字を続けて破綻した歴史!?

 そこで、村上さんから財政研究本のベスト3を出してもらいました。1冊目は、こちらです。村上さん曰く、下記のようにエッセンスを伝えてもらいました。1800年以降、今回は違うと言い続けて財政破綻が300回近くあるのは驚きです。ただ、村上さんとしては、財政破綻とは、あくまで国債の利払いが遅れるなどそういうことも入るのでとのこと。破綻というと、まるで国が転覆するようなイメージですが、冷静に今後を考えたいところです。

一冊は、メリーランド大学のラインハート教授とハーバード大学のロゴフ教授が書かれた「国家は破綻する」です。
https://www.amazon.co.jp/dp/4822248429/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_hAmgDbT44BCRA
刺激的なタイトルですが、原著のタイトルは「This time is different」となっています。これは「今回は違う」と毎度毎度言うものの、このことを皮肉っていて「これはいつか来た道だ」と言うことがメインメッセージです。いつか来た道というのは、具体的には「国家は破綻する」ということです。
本書では、金融危機、公的対外債務危機、国内債務デフォルト、銀行危機、インフレ、通貨暴落等についてこれまでの歴史がまとめられています。
特に衝撃なのがP77にまとめられている金融危機データベースです。こちらには、「1800年から2009年にかけて、ソブリンデフォルトは、対外債務について少なくとも250回、国内債務でも68回あった」というショッキングな数字が示されています。すなわち、歴史的に見ると、国の債務がデフォルトすることはまったく珍しいことではなく、むしろ頻繁に起こっているということです。


*もしも財政破綻が起きたら? 国家運営の課題は?

そして、二冊目は、慶應義塾大学の小林慶一郎先生が編著されts「財政破綻後 危機のシナリオ分析」で、日本の財政破綻のケーススタディ本を紹介してくださりました。

3冊目は、政策運営者が考える日本経済の持続性についてまとめた一冊を紹介してもらい、今後を考えるヒントとなる本を紹介して頂きました。それは、経産省の若手30人があつまってかいた「不安な個人、立ちすくむ国家」です。


さて、私たちは財政赤字や、それに伴う増税についてどう考えるべきなのか?また、なぜそうなってしまったのかの歴史や研究は著書の「30分の経済ニュースが1時間で学べる」でも紹介しています。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

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崔真淑/さいますみ


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