脱パソコンから考えるデジタルトランスフォーメーション(2): RPAで見直されるパソコン業務
デジタルトランスフォーメーションを、パソコンという身近な言葉で、考えています。デジタルトランスフォーメーションという、未知・未踏の領域を、難しく考えるよりも、良く知っているパソコンという、近年のデジタル機器から、考えたほうがわかりやすいと思うからです。さて、そして今回は、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)について、考えます。
RPAは、誰でも手軽に導入できるツール
RPAは、皆さんの会社で導入しているでしょうか。RPAは、コンピューターで行う単純作業を、自動で行ってくれるツールです。例えば、日次の売り上げのエクセルファイルから、別な週次のエクセルファイルにデータをコピーして、集計するということは、人の代わりにRPAというツールが行ってくれます。
私は、現在フリーランスの立場なので、毎月請求書を発行します。この請求書発行を、RPAが自動で行ってくれています。例えば、UiPathというソフトが、RPAの代表的なソフトです。何か、RPAだから、特別なプログラムの知識が必要かといえば、それもほとんど不要です。非常に簡単な操作で、誰でも安価にRPAを導入できるようになったのです。
このRPAは、人が不足している時代の、省力化ツールと理解されています。もちろん、そうです。人がパソコンに向かわなくても、処理ができるということは、確かに、省力化ツールです。しかし、それ以上に、このRPAは、脱パソコンツールなのです。
パソコンを導入して、約20年。業務はデジタル化されたように思うが
私は、約25年前に、サラリーマンとして、社会人をスタートしました。25年前の、ビジネスを少し振り返ってみましょう。例えば、旅費精算です。当時は、まだ社内にイントラネットなどありませんでした。当時は、ようやくパソコンが、フロアーに数台導入されている時代でした。そのパソコンと使って、旅費を決まった形式で印刷して、提出していました。当時のパソコンは、手書きの書類を、誰でも読みやすい、印字に変えることが主な価値だったのかもしれません。
提出された書類は、経理の担当の方が、提出された書類を目で確認して、今度は専用のコンピューターに、社員のコードと費用コードを整理しながら、紙を見ながら入力します。そして、会社の会計のグループがそれを承認して、自分の口座に費用が振り込まれるのです。
ところで、このように出された書類が、今は紙から電子ファイルになっているのですが、通常コピペ、つまりある書類から部分的にコピーを行い、別な書類に張り付け(ペースト)するような処理は今も多くないでしょうか?そして、このコピペを人が行うことが多く、そのために、書類の確認を人が行うことが多くないでしょうか?
RPAを導入すると、人の確認が不要に
さて、この人が行うコピペを、RPAに任せるとどうなるでしょうか。まちろん、コピペの仕事を人が行う必要がなくなります。そして、コピペ後の、確認作業もなくなるのです。
実は、今私たちが行っている、パソコンを使った業務は、紙の書類業務をベースにパソコン上の業務にしました。結果、ダブルチェックのような仕事が数多くあります。しかし、ここにRPAを導入すると、このような仕事からも解放されます。
先ほどの記事にも、このように、総務省行政経営支援室の植田昌也室長が話されています。
人工知能(AI)や定型業務を自動化するロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)も必要で、人でなければできない仕事により職員を振り向ける必要がある
つまり、デジタルトランスフォーメーションの一つの目標は、「人が人でしか出来ない仕事」に戻ることかもしれません。今までは、パソコンの処理が早い人が、できる人だったかもしれませんが、脱パソコン時代、デジタルトランスフォーメーションの時代には、より「人」が重要になるのではないでしょうか?