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異次元の少子化対策や女性活躍などという言葉の裏で進む搾取体制

このニュースなどが炎上して、すっかり増税大臣といわれ始めている岸田総理大臣ですが、



もうさすがに政府というか財務省の手口はいい加減わかったかと思います。

財務省の資料によれば、直近で国民負担率がもっとも低かった2003年と2022年を比べれば約1.4倍増にもなっています。その間、給料が増えたかといえばそれほどあがっていない。皆さんが毎年少しずつ給料はあがっているのに手取りが減っているのはまさにそのためです。
政府の少子化対策も同じようなことをしていて、児童手当を拡充するかわりに、配った以上のお金を税や社保料、各種控除の廃止で穴埋めしようとしているわけです。児童手当をもらう子育て世帯ですらマイナスになりかねない。

選挙対策や支持率確保のために政治家は耳触りのいいことを言い、金をバラマくことで国民を懐柔しますが、官僚は必ずバラマいた分はすべて回収します。だから結局、もらっても損するだけなんです。

おまけに、こんな無意味で無駄なことをやろうとしているわけで…少子化対策なんて実は本気でやろうとしていないことがわかる。

それについては、こちらに記事を書きました。本当は、政治家にこそ読んでほしいものです(実際読んでるくせに無視してるけどね)。

さて、少子化対策の名のもとに徹底的な増税を図るのと同様なことが「女性活躍社会」的なことです。あれも表層的なことばかりに目を奪われがちですが、魂胆は税金の徴収であり、社会保障費の削減です。

すでにいろいろ話は出ていますが、女性に働いてもらうことで政府が本当にやりたいのは、配偶者扶養控除の撤廃であり、第三号被保険者制度の廃止です。ようするに、主婦であろうが誰であろうが、自分で社保料を払い、年金も自分で払えということです。103万とか130万とかの壁の撤廃もそれと関連するもの。

1980年代までと違って専業主婦は減っていますが、さりとてフルタイム勤務の妻が増えたわけではない。以下の記事にグラフを掲出していますが、実際増えているのはパートであって、準専業主婦自体は減っていない。、

それの是非を言うつもりはないし、働きたい女性が働ける環境を整えるのにも異存はない。しかし、それは間違いなく一層の少子化につながるだろうということは確かです。

以前も書いて相当読まれましたが、「女性の就業率をあげれば出生率が上がる」なんてのは大嘘です。

しかし、メディアは、最新の就業構造基本調査の結果を報じるニュースでは、政府への忖度なのかなんなのか知らないが、女性の有業率があがったことばかりを報じている。

それはそれでファクトだからいいとしても、より淡々とファクトを告げれば、女性の有業率と出生率とは完全なる強い負の相関があるということである。以下は、25-29歳と30-34歳の女性の有業率推移と、同じ年齢帯の25-34歳の出生率(15-49歳の合計特殊出生率ではない)をグラフ化したものである。見事に負の相関。相関係数で▲0.8987である。

就業構造基本調査および人口動態調査より荒川和久作成

よく考えれば当然で、今の日本の低出生はまさに25-34歳の出生数が激減しているためだから。この今まで出生していた年齢帯の女性が、未婚のまま働き続けていたり、結婚していても出産に躊躇しているがゆえの出生率低下なのである。これは日本に限らず、他の先進国でも同様。だから全世界的に出生率が下がっているのだ。これもその是非をいうつもりはないが、結果としてそうなっていることは事実である。

東洋経済で正規雇用女性の生涯未婚率は、同正規の男性よりも高いという記事を書いた。これもまた同じような理由である。

キャリアを優先して晩婚化していると、結局は晩婚もせず非婚化する。

夫の育休とかいろいろ躍起になっているが、ファクトベースで冷静に判断すれば、そんなことで少子化が解決されるわけはない。

そもそも、すべての女性がそんなに働きたいと思っているわけではない、皆が育児をしながら働けて年収1600万円ももらえる伊藤忠のような会社に勤めているわけではない。7割は中小企業だし、女性の場合、職種としては看護や介護職、飲食店や物販店、宿泊事業なとエッセンシャルワーカーというか、9時5時ではないシフト制の仕事についている人が多い。そんな時間的にも不規則で、肉体的にも過酷な仕事をしながら育児をやるのは大変だし、大体1600万も給料があればシッターなど外部委託することも可能だろうが、そんなに給料だってあるわけではない。
とにかく、いろいろ個人の諸事情があって、やむなくまたは納得の上で子どもが小さいうちは離職や退職せざるを得ない場合があるわけである。

すべての会社が伊藤忠並みの給料ならば別にかまわないが、そうはならない。しかし、政府は、少子化対策で中間層からもいろいろ搾取しようとしているのと同様、給料の高くない層からも搾り取れるだけ絞り取ろうと思っている。なぜなら人口減少が不可避な中で、現役世代だけではなく高齢者であっても働いて無業者がいては国が困るからだ。「全員働け、そして税金払え」と言いたいのである。
25-34歳の女性の有業率8割のあとは、35歳以上と65歳以上のおばあさんたちもターゲットにされるだろう。

決して女性が働くことを否定しているものではない。働きたい人は働ける環境であってほしいが、一方で「全員が働きながら出産もしろ」と全体主義的押し付けをするのもいかがなものか、と。人それぞれ事情も希望もある。

子育てが一段落した後の年齢で働ける環境というのはあっていいと思うし、むしろ推奨したいのだが、こと女性の25-34歳の年齢において就労と出産はそうそう簡単に両立できるものではないと思う。大企業は別にして。

実際、今出産している層というのは大企業に勤める一部の裕福な夫婦だけになりつつある。

もうひとつ、ついでながら今回の就業構造基本調査の結果で、どこのメディアも触れてはいないが注目するポイントもあると思っている。

それは、女性の有業率が高まっている裏で男性の有業率が減少しているという点だ。

2002年と2022年とで男女の無業者数を比較すれば、女性は267万人減少している(それだけ働き出している)のに対して、男性は164万人の無業者が増えています。 

高齢男性の無業者が増えているのかと思いきやそうでもなくて、25-34歳の若い男性でさえ長期的にみると無業率が微妙に増えている。

就業構造基本調査

就職氷河期ならともかく今は売り手市場のはずなのに。若い男性たちは恋愛や結婚だけではなく、働くことからも降りようとしているのだろうか。

事実、中国ではそうなっている。
中国の若年失業率、46.5%に達した可能性 研究者が指摘

21世紀の革命は、デモとか暴動によるものではなく、若者が働かない・結婚しない・子どもを産まないということで起きるのではないか。


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