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「化石賞をこんなに報じるのも、日本くらいだ」→コレホント

今日の衆議院予算委員会でわが国の温暖化政策と国際的な評価について問われた小泉環境大臣が「『こんなに報じるのも日本ぐらいだ』と不満をもらした。」と報じられています。
「負け惜しみやろ」と思った方もいるかもしれませんが、これ、ホントなんです。

Googleが提供するWeb検索において、あるキーワードがどれくらい検索されているかから、関心の度合いを時系列で追うことができる「Google Trends」でちょっと見てみましょう。

過去5年間、日本語の「化石賞」の検索が赤で、英語の「fossil of the day award」の検索が青で、それぞれの人気度をがわかるのですが、ほぼ赤が上回り、特にCOP25期間中の関心の高まりは突出しています。COP25の期間中にここまで関心が高まったのは、良くも悪くもメディアの関心を集めてしまう小泉大臣効果かもしれません。(対象期間をCOP25開催中の2週間にすると、よくわかります)

化石賞1

念のため「fossil of the day award」のawardを省略した「fossil of the day」で比較してもこんな感じ。

化石賞2


この化石賞を発表する国際環境NGO(Climate Action Network)のTwitterにある画像でも、取材に集まっているのが(多分)日本メディアであることがわかります。

化石賞3


日本メディアは化石賞が大好き、特に日本の受賞したとなると一気に報道します。
日本以外が受賞した時には全く報道されないので、そもそも化石賞がどんなものかご存じない方も多いかもしれません。

以前も私の書いたCOP報告をお読みいただいた方には同じ話で恐縮ですが、(化石賞の実態やなぜ日本が受賞しやすいかを書いた「小泉演説はなぜ批判されたのか-COP25参戦記- 」もよろしければご覧ください)そもそも化石賞とは、国連の気候変動枠組条約交渉会期中の2週間毎日(土日はお休み)、国際環境NGOが毎日3か国ずつ程度発表するものです。「国際」「環境」「NGO」から「温暖化対策に後ろ向きな国」に贈る賞を受賞したと聞けば、「あぁこれだから日本は」と思う方も多いでしょうが、国連気候変動交渉の正式なプロセスとは全く関係なく、会場の片隅で若者がお祭り的に公表しているものです。
一つの声として尊重すべきだとは思いますが、選定のプロセスに合理性が無いと感じることも多くあります。

日本のエネルギー政策、温暖化対策は課題だらけであり、このままで良いとは全く思っていません。人口減少・過疎化や電力設備の高経年化、自然災害の激甚化などにも対応してかねばなりませんし、もちろん気候変動対策もより強化せねばなりません。
とはいえ、その理由が「化石賞をもうもらわないように」ではあまりに残念です。
日本のエネルギー政策をどうするか、温暖化問題にどう貢献するか、今年こそこの議論が現実的かつ実質的に進むことを祈りつつ。


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