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オンライン「口コミ」の行方

アニメ配信の世界最大手クランチロールは7月にユーザーによるコメント機能を停止しました。今回はこうしたオンラインの「口コミ」情報についてドイツから考えてみます。

きっかけとなったのは日経新聞で今月取り上げられていた小売大手「ドン・キホーテ」に関する記事です。顧客の声を重視しており、レビュー機能を充実させていると紹介されています。

そこで冒頭のクランチロールがコメント機能を停止した件を思い出したのです。ドイツのアニメニュースサイトの記事(日本国内からは読めない場合があります)によると、配信大手のネットフリックスなども何年も前にコメント機能を廃止し、クランチロールも同様の措置を取ったと紹介されています。

ただし、クランチロールの場合は、背景に直近のコメント欄の炎上事件があったようです。といっても、そこは筆者も詳しく把握していないので今回は触れないでおきます。

クランチロールのヘルプページには、コメント欄の停止措置について回答が掲載されています。およそ、安全で尊重し合えるコミュニティの形成を優先するとされ、星の数による評価システムのみを継続する旨が説明されています。

実は筆者はこのコメント機能を愛用してました。クランチロールの場合、まず、アニメ作品単位でコメントが可能で、膨大な数の新旧アニメが配信される中、これから見ようというユーザーの参考になっていました。一方で、各話にもコメント可能で、そこでは見終わったユーザーのいわゆる感想戦が繰り広げられており、ドイツの視聴者の反応を筆者も楽しんでいました。

さらに、コメント欄が各国語別に表示されているのに気づき、ドイツ語圏における作品の人気を推し量るバロメーターの一つとして参考にしていました。過去の投稿でも実験的に統計データを収集してみたこともあります。

「ドン・キホーテ」の記事を読むと、ファンコミュニティの形成にはレビュー機能はやはり必要ではと考えてしまいます。一方で、レストランなどの口コミサイトではレビューが意図的・恣意的に利用され、本来の目的が機能しなくなりつつあるようにも思われます。NGワード/表現の投稿付加といった仕組みもかつては人力で対応したケースもあったようですが、最近は自動化されつつあるとも聞きます。アニメのレビューについては、配信サイト上でなくても別サイトで感想を読むこともできます。こうした棲み分けが進行するのでしょうか?ただ、動画直下にあったコメント欄が非常に便利だったのも事実で、筆者としては復活を望んでいます。

皆さんはどう思われますか?

余談ですが、クランチロールは先日、アパレル大手Zaraの姉妹ブランドBershkaとコラボした『葬送のフリーレン』、『チェンソーマン』のコレクションを発表しました。報道関係者向けの情報によると、欧州、中東(『チェンソーマン』のみ)、北アフリカで800店の規模で販売されているそうです。筆者もフランクフルトの目抜き通りツァイル通りの大型店で先日見かけて驚いたものです。

クランチロールが全方位でアニメの普及に取り組んでいる姿勢は高く評価して良いと思いますが、コメント機能が無くなったことでアニメ視聴の楽しみが減ったのも事実です。今後、どういった動きがあるのが引き続き注目していきたいと思います。


タイトル画像:クランチロールのヘルプページのスクリーンショット


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