見出し画像

曖昧さと明確さ、もしくは自信と不安の揺らぎの中にあるもの・・・自分のリーダーシップの特性を考えてみる

大企業の経営者の方や人事担当者の方とお話をする時に、よく話題になることの一つに、自分の会社では「マネージャーは育つが、リーダーは育たない」という課題について、どうするかという話があります。

リーダーシップにも多様なあり方があるでしょうし、だからこそ、いろいろなリーダー論があります。

最近、うちの会社におけるリーダーシップってどういうものだろうってことを考える機会があったので、今日はそのあたりのことについて、書いてみたいと思います。

曖昧に経営するというスタイル

私も、ローンディールという会社をかれこれ9年ほど経営してきたので、リーダーシップを発揮してきた部分もあるのだと思います。

・・・「あるのだと思います」と曖昧に書いてしまうのは、自分にリーダーシップがあるとか、発揮しているとかって言い切ることになんだかおこがましさを感じてしまうので、ついこうやってぼやかしてしまうのです。そんなやつにリーダーシップ論なんてものがあるのか、という感じですよね。

でも、そのくらいのテンションが、私なりのリーダーとしてのスタンスで、そこは見栄を張らなくてもいいかな、って思っています。

言い切らないという意味で言えば、うちの会社は明確なビジョンも設定していないし、マニュアルなんかもあまり多く作らないようにしている。なぜかというと、曖昧さがあることによって、自分もちょっと関わってみようかなっていう余白ができたり、みんなの創造性を喚起されたりすると思うからです。

その結果として、ローンディールという会社にいるみんなが、一人ひとりが創業メンバーであり経営者であるっていう感覚で(この辺りの試行錯誤はこちらに)、仕事や事業に向き合ってくれているのです。

そうやって、ローンディールという会社を媒介にして多様なビジョンが育っていくのが楽しいなと思うのです。

つまり、こういう曖昧なリーダーシップのあり方で、会社を経営するということも可能なのだと考えています。

でも曖昧さって結構つらい

これまでもローンディールの経営スタイルを紹介する時に、私はよくこういう、うちの会社の曖昧な側面を紹介してきました。

でも、この曖昧さって結構しんどいんですよね。だって、いちいち合意形成するの大変だったり、拠って立つものが何かという点すら個人に委ねられるから。正解があればいいのに(まぁこれは望むべくもないのでしょうけど)、明確な方針や目標があればいいのに(これは設定しようと思えばできる)・・・そんな声はちらほら聞こえてきますし、私もそう思うことがあります。

でも私たちはあえて曖昧にしている。そしてなんとか成り立っている。

なんでこれで成り立っているのかな・・・と考えてみたら、結局はそうじゃない要素、つまり自分が明確にしている要素というものとセットだから、だということに気づきました。やっぱり全部が全部曖昧なわけじゃないんですよね。(まぁ当たり前ですけど笑)

それに触れずに「曖昧な経営も可能だ」なんて語っても、誤解を生んでしまうな、と。つまり、正確にいうなら、何を曖昧にして何を明確にしているかというバランスに特徴があるということなのかな、と思うのです。

リーダーとしての曖昧さと明確さ

何を曖昧にして、何を明確にしているのか。この曖昧さと明確さのバランスが、リーダーと呼ばれる人それぞれの特性となって現れるのだろう、と思います。もちろん、全てが明確な、強烈なリーダーシップというものもあるのだと思います。一方で、私のように、曖昧さを使いながら発揮していくリーダーシップというのもあっていいんじゃないかな、とも思います。

そこで、このバランスというものを、もう少し理解してみるために、経営のいろいろなレイヤーから考えてみます。

  • ビジョン・パーパス

  • ミッション

  • 価値観

  • 戦略

  • 戦術

  • 行動

というレイヤーがあるとして、たとえば私の場合、各レイヤーでどんな感じかっていうのを考えてみると、以下のようになります。(曖昧度が高い0↔︎10明確度が高い、としてなんとなくSCORE化もしてみます。)

  • ビジョン・パーパス:曖昧(SCORE=3)
    いきなりここ、曖昧!!笑、万華鏡、つまり関わるみんな一人ひとりがビジョンを描いてもらいたいと思っているのです。そのために、半ば意図的に曖昧な状態を維持しているという感覚です。ですから、「ない」ということではなく、それぞれが持っている、ということです。

  • ミッション:明確(SCORE=9)
    日本的な人材の流動化、と標榜しています。表現はいろいろありますが、「越境」の機会をどんどん増やしていきたいというのは、ずっと変わっていません。

  • 価値観:曖昧(SCORE=3)
    自分たちの美意識、みたいなものを大事にしたいと思っています。でも、だからこそ、あまり明確に規定したくないと思っていたりします。文章にしちゃうと固定化されてしまうような気がして。(結果的に危うい価値観が出来上がった・・・という話はこちらに。

  • 戦略:はじめは曖昧、途中から明確(SCORE=7)
    戦略を考え始める時は、かなり曖昧なタイミングからみんなと会話をします。その段階ではあまり自分の中に構想もなく、みんなと話しながら道筋が見えてくると、そこからは結構ガチっとクリアになっていく感じ。むしろ、ちょっと頑固なくらいなのかもな、と思ったりします。

  • 戦術:曖昧(SCORE=4)
    自分の中でこういうやり方がベスト、というのはあるので、明確な部分もあるのですが、メンバーの考えを聞いて融合させて、アップデートしていくことは好きですね。

  • 行動:曖昧(SCORE=3)
    自分のやり方、という意味ではかなり明確なスタイルを持っているように思いますが、一方でいろんなやり方があると面白いな、とは思っているし、比較的その許容度は高いように思っていますので、曖昧なポイントかなと。

・・・といった感じです。

うちのメンバーが見たら、この自己評価がどうなのかなって気になるところですが。笑(それはそれで、フィードバックもらってみよう。)

曖昧さと明確さ、自信と不安

あともう一つ、各要素の曖昧さだったり明確さだったりの背景には、自信があるから明確にしているという場合もあるし、自信があるからあえて曖昧な状態を保てている場合もあるなぁ。

たとえば価値観の曖昧さは自信からくるし、ビジョンの部分に関しては自分も揺らぎながら探しているから曖昧だったり。でもその不安や曖昧さを楽しめているから、いいのかな、と考えてみたり。

ということで、こんなふうに自分の中にある、曖昧なところと明確なところを振り返ってリーダーシップの特性みたいなものを説明できそうです。

ぜひみなさんも、ご自分のリーダーシップについて考える際に、参考にしていただけたら嬉しいです。

ただ、これって自分が各レイヤーを経験していないと気づけない部分もありますね。ベンチャー企業で働くと、こういうのを一気通貫で経験できるという利点があります。そんな機会を得てみたいな、という方はぜひ一度ベンチャー企業で働いてみるといいのかもしれません。転職しなくても、レンタル移籍するとか、いろいろな選択肢もありますし!(と、最後、宣伝っぽくなっちゃいましたが笑)

それでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?