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積極的な「キャリア迷子」が自分をつくる

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

年末年始を挟んで1月になると、企業の求人数は一年の中でも多い時期になります。多くの会社が3月末で年度末ということもあり、転職を含めた自身のキャリアについて考えて動き始める方も多くなってきます。

そんなこともあり、先日もmotoさんの新著を紹介しました。仕事に探される人になるために、目の前の仕事で成果を出すことにこだわることが重要というお話でした。

今回は1月28日に発売したばかりの『Work in Tech!(ワーク・イン・テック!) ユニコーン企業への招待』(森山大朗/扶桑社)を紹介したいと思います。

著者である森山大朗さんはTwitterなどでもキャリア関連の情報を発信しているインフルエンサーで、たいろー @tairo という名前を見たことがある方も多いのではないでしょうか。ビズリーチ、メルカリ、スマートニュースと急成長するテック企業でキャリアを積まれており、その中での気付きを実践的な情報としてまとめたのが本書です。

本の中では『転職2.0』で提唱した「タグ付け」とその掛け合わせにより自分の市場価値をあげる方法も紹介していただいてます。motoさんもたいろーさんもそうですが、上手に自分の時価総額をあげてきた方は自然と意識していることなんですよね。改めて自分自身でも振り返ってみなくてはと思いました。

本書の第1部はいきなり「キャリア迷子のご提案」から始まります。どういうことかというと、実は「成長には「個人の努力」だけではなく、「場所選び」の影響が遥かに大きい」というたいろーさんの経験があったからです。もちろん人材の市場価値を考える上ではスキルなどの内的要因の影響も少なくありません。しかしながら、そのときに所属している業界や会社などの外的要因の影響のほうが遥かに大きいということです。

例えば、成熟した産業での大企業ではまだ年功序列の影も色濃く残っており、いわゆる「上のポジションが空かない」問題や「順送り人事」により自分がその位置にいける年数がだいたい想像できてしまいます。急成長するスタートアップでは1年間で社員数が倍以上になることは珍しくありません。1桁、2桁の話ではなく、今年100人だったのが来年には200人になっていることも。するとどうでしょう。上のポジションもどんどん採用しなければならない中で、会社としてはなるべく社内の人材を登用しようと思っている。がんばってその要求レベルに達することができれば、一気に昇進することも夢ではありません。

たいろーさんが本書で繰り返し説いているのは、自身を拡大する成長マーケットに置くことで「半ば強制的に自分を成長させる」という方法論です。もちろんそのためにはかなり気合をいれて努力することも必要ですが、成長企業は全員がそんな感じで勢いがあるため、それも楽しいと感じるカルチャーがあることでしょう。

また、本書ではキャリアを考える上で非常に本質的な指摘がされています。転職で成功することは大事ですが、それより大切なことがあるということです。

転職はあくまで手段であり、長い職業人生において本当に大切なのは、転職よりも一緒に働いた人たちと築いた「絆」だと思います。

本書P221より

採用においてリファレンスチェックが一般的になってきています。外資系企業では必ず求められ、実際に誰からどのような内容のリファレンスをもらえるかが合否に直接関わってきます。今後、転職や出戻りがより一般的になってくる中では「機会があればこの人ともう一度働きたい!」と思ってもらえるかどうかは、キャリア形成にとって非常に重要なポイントになるでしょう。

最近では企業自らが「卒業生(アルムナイ)」との良好な関係づくりに取り組んでいます。

起業の道を選ぶ社員には概して優秀な人材が多い。どうせ飛び出すなら後押しして友好な関係を築く。南場氏はその効用を「会社の総面積を広げられる」と説明する。OB・OG起業家とのつながりは新たなビジネスチャンスを作り、会社の成長につながる可能性を秘める。南場氏はそのためにファンドを創っただけでなく彼ら彼女らとの対話に今も時間を割くという。

イノベーションの創出は経営者にとって最大の課題と言える。じっくりと育てるも良し。一方で人材の流動化を見越した卒業生との関係づくりも新たな解となる。これからの時代は、社員証を持っている間だけが戦力ではないのだ。

一個人が持つ力がどんどん大きくなる中で、ゆるくつながり続けることの価値は一層大きくなっていくことでしょう。

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タイトル画像は筆者撮影。

※ 情報開示:本記事で紹介している本は、著者のご厚意により献本いただきました。森山大朗さん、ありがとうございました!

#日経COMEMO #NIKKEI


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