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イベントレポート:『「自分株式会社」の視点で考えるキャリア戦略』(2020/6/25 日経COMEMO主催)

6月25日(木)、日経COMEMO主催のオンラインイベント『「自分株式会社」の視点で考えるキャリア戦略』を開催しました。

日経COMEMOキーオピニオンリーダーの冨岡大悟さんがファシリテイターを務め、ゲストには「年収1,500万、副業年収4,000万。」という強烈なキャッチフレーズとTwitterフォロワー12万のmotoさんをお招きし、令和時代のキャリア戦略についてお話いただきました。

今回のイベントに先駆けて、motoさんのインタビュー「転職×副業で年収5000万円超に 経験値を資産に変える」がNIKKEI STYLEのキャリアコラム「出世ナビ」に公開されています。こちらも合わせてご覧ください。


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motoさん

各種SNSを通じて、転職や副業、キャリアや営業戦略に関する知見を発信し、多くのサラリーマンの支持を集めている注目の現役サラリーマン。地方の短大を卒業後、新卒で地方中小企業(ホームセンター)へ入社し、人材広告会社→リクルート→スタートアップ(買収されて楽天)→ベンチャー→スタートアップというキャリアを歩む。サラリーマン年収を240万から年収1,000万円まで上げた「軸ずらし転職」や、副業年収4,000万円を稼ぐ実績が注目されている。2019年8月に著書『転職と副業のかけ算-生涯年収を最大化する生き方-』(2019年8月9日、扶桑社)を出版し、予約段階からAmazon総合ランキング1位のベストセラーを獲得。


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冨岡大悟さん
M&A BANK株式会社 代表取締役

大手監査法人にてIPO支援業務、経営コンサルティングファームにてM&Aアドバイザリー業務、オーストラリアに駐在し海外進出支援業務に従事。その後株式会社Penlightを創業し、新規事業、IPO、M&Aのコンサルティング業務を行う。M&A BANKではファイナンスに関する情報を発信する動画メディアを運営中。その他複数社の社外役員を務める。


■トークセッション

トークセッションでは、今後のキャリア戦略を考える上で大変参考になるお話が伺えました。ここではその一部を紹介します。

ー冨岡さん
「自分株式会社」と言われても、多くの人は具体的にそれがどういうことかわからないと思うのですが、まずはそのあたりからご説明いただけますか?

ーmotoさん
僕はこれまでのキャリアで、「年収を上げる」ということを1つの軸にしてきました。「軸ずらし転職」を繰り広げることで、新卒でホームセンターに就職した年収240万円からスタートして、現在は年収1500万円まできました。「自分の給料をどうやって上げればいいか?」と考え続けたどり着いたのが「自分株式会社」という視点です。

「自分」を「会社」と見なして考えると、「給料」は「売上」になります。会社なら「今月は売上がこれだけなんて残念だな」で終わることはありませんよね。どうすればもっと売上を上げられるかを考えるはずです。会社は貯金箱ではありませんから。

その考え方を自分に当てはめれば、「給料が安くて残念」ではなく、「どうすれば給料が上がるのか?」となるはずです。そして、そのためには何かをしなければならないと気づけるはずですよね。

例えば、取引先が1社しかなければ、そこからの発注がなくなった途端に会社は倒産してしまいます。普通の会社はそうならないように、複数の取引先をもつことでリスクヘッジしているのが当たり前です。それを自分に置き換えて考えれば、本業で入ってくる収入以外の収入源をもつことは、大事なことだとわかるはずです。

売上を上げて「自分」という会社をどうすれば大きくできるのか、ハッピーになれるのかを考える。自分なりのミッションやビジョンを掲げて「自分」という会社を運営していく。これが「自分株式会社」という考え方です。

ー冨岡さん
「自分株式会社」の考え方を、motoさんはいつ頃からもつようになったのですか?

ーmotoさん
副業を始めてからです。副業で売上を作るというのは、「会社の看板」ではなく「自分の看板」で仕事をするということです。「個人の売上を上げるにはどうしたらいいのか?」という考え方は、まさに個人のキャリアを考える上でも言えることだと思います。

ー冨岡さん
副業には反対という人はまだまだ多いですが、その理由の1つが「本業が中途半端になる」ということだと思います。そのようなことから、副業を始めたくてもなかなか始められないという人もいますが、それについてはどのようなお考えですか?

ーmotoさん
副業にもいろいろあって、自分の資産をもとにお金を稼ぎ出すやり方や、自分の資産とは関係なく株や不動産などの投資によってお金を稼ぐやり方などがあります。

前者は僕のようなパターンで、本業で経験を積むことで、自分の中に知見が溜まり、それをアウトプットすることによって売上を上げていくことができます。僕は「本業は副業で売上を立てるための仕入れ」と考えていますが、要するに、本業にコミットすることで自分の経験値が上がります。

一方で後者は、自分が本業を頑張ったところで、株価が上がったり、不動産価値が上がったりはしません。

ですから、どういう副業をするかによって、考え方も変わってくるでしょう。ただし、どちらも目的は「自分の安定」のはずです。収入において会社に依存しない自分を作り出すというのが最終的なゴールで、やり方が違うだけだと思います。

ー冨岡さん
今と昔では「安定」の定義が変わったと思うのですが、これからの時代、何が「安定」だと思いますか?

ーmotoさん
社会から必要とされる人材であることが「安定」なのではないでしょうか。大手企業でも、ベンチャーでも、フリーランスでも、労働市場において「あの人がほしい」と言ってもらえることだと思います。

僕は、お金を払ってでもあの人に働いてもらいたいと思ってもらえる人でいられるかどうかを、「安定」の1つの基準だと考えています。

極端なことを言えば、市場価値が高い人は、会社で働かなくても稼げます。起業することもできるし、フリーランスで活躍することもできる。いろいろな選択肢がある中で、あえてその働き方を選べるということは、社会から必要とされているからこそできることだと思います。

そういう人材で居続けることが大事ですし、企業側もそういう人を採用できる採用力をもつことが大切です。どんな場所でも働いて活躍できる人材になることが大切で、それが「安定」につながっていると思います。

■質疑応答

Q.転職の際の、履歴書や職歴書を書くときのコツはありますか?

ーmotoさん
僕は面接が終わった後に「自分の評価を聞く」ということをやっていました。面接試験のフィードバックは、基本的にはもらえません。でも、面接直後の帰り際などに「今日の僕どうでしたか?」などと聞くと、「次に進むのは難しいかな」とか「あの質問でこう答えていたけど……」とか、結構いろいろなことを教えてもらうことができました。気づきになることが多く、それを次の面接に活かすようにしていました。

実はこの話を公の場で言ったら多くの人がこれと同じことをやるようになってしまい、この方法が使えなくなる、ということが起きてしまいました。

つまり、どうすればいいかは「自分で考えましょう!」ということです。「どうすればいいんですか?」と、答えを求める傾向はよくありません。自分なりの文脈があってその行動をとるということが大切で、表面だけをなぞっても意味はありません。

そういう前提の上で、履歴書や職歴書を書くときのコツを言えば、「相手が求めているものがなんなのか?」ということをしっかりと考えた上で書くことです。相手はあなたが、自分たちがやってほしいと思っていることをできる人なのかどうかが知りたいだけです。履歴書や職歴書には「自分には何ができるか?」を書くべきで、これは「自慢」とは違います。向こうはあなたの自慢話には興味がありません。

「で、あなたは何ができるの?」ということです。

ですから、書く内容は提出する会社によって変わるのが当たり前です。転職活動において、すべての会社に同じ内容の書類を出している人が多いですが、僕は絶対にそんなことはしません。

Q.「自分株式会社」という視点は、これからの時代みんながもったほうがいいものですか?

ーmotoさん
会社の将来がどうなるかわからない中で、それに寄りかかり続けるということは、ある種の「リスク」だと思います。自分でしっかりと考えて行動することが大切です。

そのために、「どう考え、どう行動したらいいのか?」の指針の1つとなる考え方として、「自分株式会社」という視点を取り入れておくと、いいのではないかと思います。


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